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Anniversary~アニバーサリー~  作者: chie
Act3.救出作戦1

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chie

 部屋は簡単に三つに区切られてて、そのうちの一つをあたしと美来で使うみたいだ。

 ベッドに落ち着くと美来は少し怖い顔をした。

「あのね、マリノ。マリノはリック達を助けたいと思う?」

「もちろん思うよ」

「ここではね、リックはああいってたけど、あたし達何の力も持ってないわけよね」

 力とか助けってやつね。

「うん」

「実際、本当は足手まといだよね……」

「でも、リックはあたし達を"力"だと思ってるわけでしょう」 

「そうは言ってたけど、あたし達に"戦争"ができると思う?」

 思わず黙り込んだあたしを見て、美来はふっとやさしい目をした。


「あたし、ここにいたいの」

「美来?」

「ううん、いなきゃいけないの。……までは」

「え?」

 最後になんて言ったか聞こえなかった。

「なんでもない。あたし達にできるだけのことをしようって言いたかっただけ」

「うん」


 窓の外には、満天の本物の星が散らばっていた。

「きれいね」

 美来がささやくように言った。

「今戦いが起こってるなんて信じられないわ」

「……そうだね」

 戦いか…

 まだ夢の中にいるような気がする。

「おやすみ、マリノ」

「おやすみ」


   ★


 次の朝、一番初めに目がさめたのは、なんとあたしだった。

 自分でも意外すぎて、びっくりを通り越して笑ってしまう。まだ五時半だったんだけど、なんだか二度寝する気にはなれなくて、そっと部屋を抜け出した。

 そこでは、昨日の位置でリックがテーブルに突っ伏して寝ている。隣に座って頬をつついてみたけど、ぐっすり熟睡してるみたい。

 リックって寝てるとかわいいなぁ。

 昨日ムッとしたことも忘れてしまう。


 暇つぶしにリックの腕の下からずるずると地図を取り出す。これを暗記してたのか。 

 あたしは少し考えてからリュックを取ってきて、底から小型の機械を出した。それからその地図をそのコンピュータにインプットし、それが終わるとそのコードを二本こめかみにつける。軽い振動と共に、あたしの頭の中にその図が流れ込み、同時に目でしっかり画像を見る。二〇秒ほどで赤いランプがつき、あたしはその図面をすべて覚えた。


 今あたしがやったのは記憶圧縮学習っていうもの。

 個人で一人一人違う、手のひらサイズのコンピュータで、個人の得意分野を伸ばしていくための装置。あたしは図、特に地形などを覚えるのが得意なので、そのタイプの"マリノ専用コンピュータ"ということになる。ついでなので、この世界の地図なんかも覚えてしまった。

 でも、あたしは歴史とか暗記ものってぜんぜんできないんだよねぇ。だから苦労するんだわ。あたしみたいに極端なのも珍しいとは言われるんだけどさぁ……。

 ちなみに北くんは理数、特に機械工学が得意で、美来は語学に長けている。


 さて、アマカーテア軍内のことも地形的にはわかったし、もしもリックが度忘れしてもOKね。あたしの「よけいな物持ち」も今回はかなり役に立つじゃなーい♪


 コンピュータをしまい、代わりにインスタントコーヒーを取り出し、お湯を沸かす。このコーヒーはママのオリジナルブレンドなんだぁ。

 お湯が沸くと、ちょうどリックが目を覚ましたので、あたしは二人分のコーヒーをついで、そのひとつをリックの前に置いた。

「あ、サンキュー」

 まだ少し眠そうな声でリックが言った。

 あたしがリュックからスティックシュガーを取り出すと、彼はくすっと笑った。

「おまえのそのリュックには、いろいろなものが入ってるんだな」

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