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maki
「で、最後に俺は北真幸です。ミスター・リチャード」
「リックでいいよ」
そんな穏やかな雰囲気になった瞬間、突然あたしのおなかが鳴り出した。ううっ、はずかしい。みんなはびっくりしたようにこっちを見て笑い出す。
ぷん。あたしはおなかがすいてるんだい。
「ああ、もう六時半になるのか」
時間を確認してリチャ……リックが言った。
「とりあえず、腹ごしらえが必要だな」
そう言いつつ、リックは難しい顔をする。
「ここにも保存食が少しあるけど、そろそろ底が着きそうだったんだよな。調達の予定はまだ先だし……」
と黙ってしまった。
「あたし達、やっぱり邪魔になるんじゃないかしら……」
美来がこそっと言う。
「え? どうして?」
「だって、ココって今色々大変だと思うの。そんなところに私たちがひょっこり現れて。四人分の食料って馬鹿にならないと思うわ……」
「そうなの?」
今ひとつぴんとこない。
「ま、とりあえず、奥に行って少し落ち着こうや」
リックがおどけたように言って、奥の部屋へとあたし達を案内した。部屋といっても古いビルの地下室。汚いしボロだけど、どことなく落ち着ける雰囲気で満たされていた。
「ほかに人はいないんですか」
ポチが聞くと、リックはコーヒーをいれながら
「ほかの連中は軍のほうに行っててね……。うまくやってるといいんだけど。ま、そろそろ戻ってくる頃だと思うよ」
そう言って、リックはいれたてのコーヒーをあたし達に振舞ってくれた。カップにはひびが入ったりしてるけど、コーヒーはとてもおいしかった。あたしはそれを半分くらい飲んでから、ポチに持っていてもらったリュックをごそごそとあさった。
「何やってんだ、マリノ」
北くんが不思議そうに覗き込む。
「へっへっへ。じゃーん!!」
あたしは得意満面で、お菓子の山をテーブルに載せていく。
「あら……」
美来が一瞬きょとんとする。
「マリノってば、お菓子、結局全部持ってきちゃってたの?」
美来のうちでみんな置いていけって言われたから、非常時まで隠してたんだよ。
「うん、えらいでしょ♪」
よく言うよ、なんて声も聞こえたけど、あたしの"よけいな物持ち"も結構役にたつでしょ。
「ドライフードもあるからね」
このドライフードは最新の非常食で、味もばっちりなの。新しいもの大好きなママがこの前買ってきたのを、こっそり持ってきちゃったんだ。
みんなにお菓子を配って、改めて周囲を見回してみる。




