12
maki
★
そこは、この前までいた街に比べると、ずいぶんと破壊された町だった。
ココで何があったかはわからないけど、現実の世界という気がしなかった。
窓が割られ、壁が崩れ……。
そんな中、あたしはあるビルの一角で立ち止まった。
「お嬢さん?」
「ポチ、あれ……」
あたしは前方を指差す。人がいた。……いたのはいいんだけど、普通、地面にうつぶせになって寝てる?
あたしはポチと顔を見合わせ、興味津々でそっとその人に近づいた。
男の人だ。
「アマカーテアの兵士のようですね」
そっと彼を仰向けにしてポチはそう言った。
確かに胸にはアマカーテアの紋章。
「生きてる……よね?」
半分確認するような口調で、あたしはポチに聞いた。
「ええ、心拍に異常はないし、呼吸も正常。眠ってるだけですね」
だぁぁぁぁぁ……。力抜けちゃう。なんだってこんなところで昼間っから寝てるのよ!
二十三世紀の人って道端で寝る習慣があったの?
あたしはずかずかその男の人に近づいて顔を覗き込んで……びっくりした。
この人、キレイ。北くんよりずっとハンサム。
白色人種だよね。白い肌。茶色がかった金色の髪。背は結構高そう。やぶけた袖から伸びた腕にはかなり筋肉がある感じ。
「どうしよう?」
その時北くんたちが後ろから走ってきた。
「誰かいた?」
あたしは振り向いて、この男の人を二人に示した。
「いたには、いたんだけどね」
「死んでるの?」
美来が恐る恐るたずねた。
「ううん、しっかり生きてる。眠ってるだけだって。でも、どうやって起こそうかなぁ」
かがみこんでそう言ったあたしに、ポチは少し困った顔をした。
「起こさず、このままにしておいたほうがいいんじゃないでしょうか? 軍人のようですし、下手にかかわるのはあまりよくないのでは?」
「俺もポチに賛成。ほかをあたろう」
そういって北くんはくるっと背中を向ける。
でもなぁ……。
そっとその男の人の頬にふれてみる。
「美来ぃ、この人めちゃくちゃかっこいくない?」
「あ、ほんと……」
「でしょ?」
あたしたちはニーッと笑った。
「起こしちゃおうか」
「キスでもしてみれば?」
「えー、それじゃスリーピング・ビューティー……」
そこまで言って、声のしたほうを振り返る。
「あ……はは……。北くん」
「真幸ってば、まだいたの?」
後ろには怖い目をした北くんと困った顔をしたポチ。
「まだいたのじゃないよ、ほら行こう」
「でもぉ……」
ねぇ、とポチに目で「助けて」の信号を送る。
ポチはやれやれって顔をしてあたしたちのほうに再びやってきた。
「いくらこんな時でも、地面に寝る物好きはそうそういないでしょうしね」
北くんはだから危ないんじゃないかとか何とか言ってたけど無視してしまった。
ごめんね♪
そしてポチがいろいろな方法で起こしにかかったんだけど、彼はまったく起きる気配がなくて、
「まるでお嬢さんのようですね」
だって。
失礼ね! と思いつつ、否定できないのが悲しいところね。
すると美来が、それじゃぁとつぶやき、彼の耳元まで近寄った。
何する気だろう?
「ごはんですよ、早くおきて」
思わず脱力。
「み、美来ぃ……。それでおきたら古典ギャグだよぉ」
「だってポチがマリノと同じだって言ったから」
もう美来まで! 北くんもいつまで笑ってるのよ!!
ところが、その時彼がうーんって声を漏らしたかと思うと、
「ん、ロティー……? 」
とか言いながらおきちゃったのよ!
とたん、みんなはじけたように笑い出すし、事態の飲み込めない彼は一瞬きょとんとした。
「う、うそだろ……?」
ボーっとしながらつぶやいた彼は、次の瞬間自分の体を調べ始め、異常がない事を確認すると、あたしたちをまっすぐに見た。
その緑色の目は驚いたように見開かれ、同時に期待するように輝いてるように見えた。
だけど、次の瞬間、彼はきっとあたしたちを睨みつけたのよ!!
なんなのよ、いったい!?
「おまえらどうしてこんなところにいるんだよ!」
どうしてっていわれてもなぁ。
「ココは危険区域だぞ! なんだってシェルターに行かないで、こんなところをうろちょろしてるんだ?」




