とかく人の世は移ろいやすいもの
陸奥六郎が思い出したように付け加えた。
「エレンのお姫様が、『寝たい』と言ってるとか、嘘トークでも作れば良いじゃないですか。独身で年金ガッポリファミリーなんだから、不労所得とカネと女、良いコンビなんじゃないですか。なんか、演歌の題名でありましたね。不労所得と花と老男と毒女―― ちょっと、言い過ぎました?」
「いいえ、いつもの陸奥六郎節から逸脱していませんから、全然大丈夫です。その話を聞いて、惑星横浜で粋な不動産屋で有名な『ファーストクラス社』を思い出しました。ファーストクラスは女性だけの不動産屋を子会社に持ってます。その名も、花柳!」
「それを聞いて、こっちこそ、ヒフ民と通った惑星横浜のキャバクラを思い出しましたよ。勝列庵の近くだったかな。シラフで見たら、不細工なチャイナレディに酔いが醒めましたよ、二人で――」
陸奥六郎が得意な話なのか、勢いに乗って続けた。「で、チャイナキャバもどうでも良いですけどね、そのファーストクラスの花柳お嬢さんグループは、土曜の真っ昼間から、事務所で極上サービスでもしてくれるんですか? それとも、そのサービスを受けたら惑星横浜一の不動産王に刺されるんですかね?」
「そんな、子羊か勝烈庵を食わせる位の内容じゃないですか?」
ここまで話していて、突然、陸奥六郎がしょんぼりといった。「すみません、アステロイドの都行きは延期となりました。申し訳ございません。股の機会にお願いします!」
後藤三世も呆れ気味に。「あらあら、計画も急ですが、延期も急ですね。衛星虎ノ門のドラ息子を怒らせてしまいましたか? それとも、エロイムエッサイムの天草四郎魔界の呪縛でしょうか?」
「朝令暮改! 中小じゃ当たり前だし、今じゃ大手でもありますよ。計画も急ですが、延期も急ですね なんかエー型のとんがり系の人が良く使う表現ですね。もしかして、隠れエーじゃないですか?」
陸奥六郎が絡んで来た。「そもそも、何時なら急じゃなく、その知らせた人が納得するんですかね? そういう発言する人は、多分、一年前ぐらいに知らせれば納得するんですよ。で、当然ながら一年前に知らせれば、早すぎるとか。馬鹿馬鹿しくて、相手にしてられないですよ、全く」
「面白い表現ですね。『とんがり系列』、新しいお菓子の名前に良いんじゃないですか? それにしても、ヒフ民の売上だけ二百万ボッタクリ円を奪うが利益は粗末作戦に一票。陸奥六郎さんは、乗らないでしょうけど。そんなの、やろうと思えばとっくにやってる能力ありますもんね。しかも、この話をしている間に、木曜日は別なオファーが入りました。私の文芸作品に興味のあるお方からのオファーです。業種をまだ聞いていないので聞いて見ることにします」と冷静に後藤三世。
話題を早々に変える陸奥六郎。「今年も役に立たない展示会が幕を開けましたね。『ネプコン ジャパン、会場、惑星アステロイドビッグサイト、同時開催、第一回 ウェアラブル・エクスポ、オートモーティブ ワールド、ライティング ジャパン等など――」
「ライテングはヒフ民に役に立つのでは? オートモーティブも。今日は、ずっと定時で上がり続けていた罰が下って、十時越えです。入社後、初の深夜扱い残業です。明日は、衛星川口出張なのです」
「ライ天狗なんすね。道理でヒフ民がテングになりたがるんですね。衛星川口は、惑星横浜から出張というエリアですか。古巣のユニファウスト社でも出張は、百キロメートル超じゃないと出張手当でないって、競馬好きの営業本部長がぬかしてましたけど――」
陸奥六郎が続けた。「衛星川口が終わったら、虎ノ門郵便局に寄って帰ってください。四次元世界地図と美人のネーチャンを展示していますので。でも、十七時までですよ」
「残念です。衛星川口の出張は完全拘束型の仕事なので、帰り道であろうと寄り道はご法度です。」
陸奥六郎が情報展開した。「一月九日に国の今年度補正予算が閣議決定されました。今回のメルマガでは、この補正予算の経済対策のうち、中小企業・小規模事業者向けの補助金を取り上げたいと思います。『ものづくり・商業・サービス革新補助金』とか『小規模事業者の持続化支援』、『小規模事業者が商工会・商工会議所と一体となって取り組む販路開拓の費用』(チラシ作成費用の三分の二を補助します(持続化補助金)―― それと、コレ、欲しかったんじゃないですか? 惑星アステロイドのエレキメーカーが復活をかける『変な新製品』まとめ、天井からスピーカーを吊り下げ、メガネに超小型画面を装着して――」
「補助金情報ありがとうございます。既に私の方で、このような雑多な情報は、スキズマトリック手法によって、完パケ・リサーチ済です。しかし、古巣の親会社殿、頑張ってるじゃないですか。『選択と集中』とかいう愚か過ぎる戦略で、その時、売れているものだけ残した結果ですね。もう遅いくらいですが、間に合うでしょうかね。古巣の例だと、その時売れているロス茶の菓子だけ残して、ロス茶が撤退したら、新たなものを売れる人間もいなくなって、あとは会社を縮小していくだけ、という感じですね」
「かなり根に持ってますね。ロス茶の菓子をやってて切られた私は、その意見にどう反応したらよいのやら。残った奴らは、給料上がってヘイヘイ凡々と生き残ってますけど」」と陸奥六郎。
「そういうものですよ。とかく人の世は移ろいやすいものです。今、送りましたよ、自立呼吸型四次元地図販売の販促アイデアです」
「これは、後藤三世さんが作る新しい不動産業ですね。これも似たようなアイデアじゃないですか? 『仲介サイトを通じ、有料で外国人旅行者を自宅に泊める動きが広まっています。ホストと仲良くなり日本の日常生活も体験できると利用者には好評の一方で――』自宅を「宿」に、急増中です」
陸奥六郎が続けた。「もう、知ってるかもですが―― ハリマオの会社の社長、死去だそうです。怖いですね、これも使い捨てだったら――」
「自殺じゃないですかね。上場企業の社長が、自殺じゃ、みっともない上に株価か爆下げになる、しかも、ハリマオやガラッポンを産み出した社長が自殺だと、子どもの教育上も良くないし」
陸奥六郎が本当に残念そうに。「真相は明らかにならないでしょうが。土曜志望の、月朝一報道という、何かしら計画染みてますもんね。また、娯楽企業の社長が、娯楽を楽しめずに。志望って、皮肉な脂肪社会ですね、ホントウに。合掌――」
陸奥六郎が続けた。「そういえば、最近、後藤三世さん専売特許の爬虫人類とか、薬や病気とか、猿が人から進化したとか、ネットの釣りアフィリの情報が流れて来ないですが、もう釣られない免疫でもできたのですか?」
「まあ、最近はヒフ民とメール共有のシーンが多いですからね、リアル世界の土建業の現場に爬虫烏類とか、ガッツ星人とか、光のイルミの国のウルトラマンとか、そぐわないですからね」と軽くいなす後藤三世であった。




