超電磁バリアの中の壊れた電気犬は柵の外に出る夢を見るか
後藤三世が申し訳無さそうに連絡してきた。
「お疲れ様です。ここ数日疲れが出て連絡できませんでした。魔法や陰謀は押し付ける気はありませんので、気になさらずに。地図の販売、協力出来ず申し訳ありません。現状、会社では新参者の上に内部統制部門所属なので、全く身動きは取れません。外部を紹介したいですが地図を買うような富裕層の知り合いは、そうそういませんので、期待に添えないです。今の病気が完治して個人の破産処理が終われば、もう少し協力できるかもしれません」
陸奥六郎がすかさず、ビジュアルフォンから落ち着いた声で返答してきた。「まあ、とにかく趣味充実してきたところを見ると、かなり回復してきたという事じゃないですか。地図は、個人的や会社的にメリットを見い出せるようであればご協力ください。別に、富裕層のみ紹介するが答えではないです。お宅の会社でインターナショナルなイベントする等、どうも会場や寂しいと思った時、世界地図を飾るよう主催社や場貸しの立場として、大いに職権乱用してください。隣のアステロイド・インペリアル・ホテルとコラボして、関東星雲に住んでる外人向けにそこからアクセス出来る観光地への提案等、イベントの企画のサポート等、なんでも出来てアイデア絞れば地図仕える事も出来るでしょ。鷲ライオンやミスター島さん使って、動かしてくださいよ。総務な仕事であることは分かったけど、職務範囲は、二時間一緒に居て全く分からないままですよ。分かった事は、自分は給料貰ってるだけで満足、他の奴は評価してもらえないで不満足、だたそれだけです。はっきり言ってアホ丸出しですよ。宮水カツオ氏と余り変わらないじゃないですか。紹介で入ったからって、それは入り口の話で、今後活躍する人材になるかどうか、自分の行動次第でしょ。破産処理が終わればで良いし、別に地図売って欲しいから言ってるんじゃないですよ。今まで惑星大崎で、『バカな奴ら』と避難していたグループに加盟したいんですか? 固定給もらって、定時で上がって、家でネットサーフィン、当然個人には自由な権利が認められていますが。それが、後藤三世さんの声高に叫んでいた、成功なんですか。週末、後藤三世社長の部下と同姓の安田総三郎の本を図書館で見つけたので、年末読んでみます。安田君は、元気にしてるんですか?」
後藤三世が元気なく返事をした。「なんか、毎日仕事に終われて、定時で帰れず疲れが溜まっています。今日は寒かったですね。寒いのは子供のころから苦手でして。北国に生まれたのを苦にしていました。安田君は虎の穴建託で結果出なくても固定給で辛うじてやっているんじゃないでしょうか。彼といっしょにやったのも失敗でしたね。自分の食いぶち分も稼ぐ力なかったということを、今更ながら気づいています。まあ、自分もそうだったわけで、声高に人を非難する立場にないですね。今後十年近く、社畜やるしか能ないわけで、懲役中の身の上です。グループ会社のひ孫会社であっても職務専念義務と知り合いに便宜を図るのは御法度なので、細心の注意が必要です。総務というのは、私も長い社歴の中でも初めて配属されましたが、会社の秘密を全て知ることができる部署で、社外に対しては、酒に酔っていようとも、喋ってはいけないことが山程あります。配属されてすぐに、酒に酔って話したことで、物凄く、注意と叱責を激しく受けました。それからは、死んでも拷問を受けても口を割らないよう耐え続けています。ということも、話してはならないことのようで、この前の飲み会で、役員に厳重注意を受けたことを話したら、周りの皆ドン引き状態になりました。まあ、アホ丸出しに見えていれば合格という世界ですね。まあ、私に限れば演技はいらないですが。本当、自分は賢くないこと、賢くなかったことを、とことん思い知らされますね。取り留めもなく書いていますが、現状、物価高で公務員が一番の成功者の世の中ですから、何もしないで閉じ篭るのが、今いま、大成功だと思いますよ。自分で何かやるのは、どんなことでも罰点だと思います。前も書きました惑星大崎の奴らが事故保身なのは、しょうがなかったと今は思いますね。無能な人間ほど『放り出されるイコール死』そのものですからね。保身しないで死ねとは言えないですね。そういえば、確かに安田君のターゲット客層は金持ちの爺婆ですから、地図買う余力ありますね。かつ家が一戸建てで無駄にデカイ持ち家層なんで地図買う層にマッチするんじゃないかと思います」
陸奥六郎が慰めるように。「そりゃ、今日は寒さ一際でしょ。総務部門が、民主主義人民共和国だとは知りませんでした。賢い人なんて、世の中一握りですよ。自分に居心地の良い場所を見つける、ぐらいが凡人には関の山でしょう。だから、今の会社がそんなに悪くないなら、良い椅子が見つかったようなものでしょう。 その昔、ジャーナリスト作家の決め台詞は、『超電磁バリアの中の壊れた電気犬は柵の外に』、裏読みすると『能力に自信がないなら、公務員または社地区になりなさい』って事ですね。 安田君は、ただ見つけた本のタイトルなだけで、彼の顧客に売ってもらうとか無いですね。賃借人からの不労所得を得る多くは、諭吉コレクターだから壁に万札貼っておけば良いのです」
陸奥六郎が続けた。「惑星半島や惑星大陸は破廉恥ですね。過去の歴史がねじ曲げられた経緯、分かる気がします。戦いに負けて、そんな土地と民を手に入れなくて正解だったかも。惑星朝鮮航空の『チョウセン副社長事件』パク氏は『チョウセン前副社長から暴言のほか暴行まで受け、会社側から偽りの陳述も強要された』と主張している。パク氏は女性乗務員を叱責するチョウセン氏に『許しを請うた』が、チョウセン氏から激しい暴言を浴びせられた上、サービス指示書を入れたケースの角で手の甲を数回刺されて『傷もできた』、惑星中国人観光客のグループが、格安航空会社の機内で立腹してカップ麺のお湯を客室乗務員にぶちまけ、顔にやけどを負わせたとして大問題、でも国内では、『美人すぎる生物学者、愛宕望研究員(三十一)が細胞を作れず、論文に記載した実験内容を再現できなかった』、彼女の職業がイケてますね。正にデザイナーではないかと。論文に対するコピー&ペースト研究の日本における第一人者として知られおり、『盗用の魔女』という異名を持つ。またフォトショップを用いたグラフィックデザインもこの職業の一環である、だって、イケてますね!」
「惑星半島の歴史が捻じ曲げられたという表現ですが、歴史というのは、いつでも勝者が作るもの、勝者の歴史なのですから、正確さは惑星アステロイドのみならず、当てにならないと思います。真実は歴史の奥に眠ってしまっているものですよ、盗用の魔女も然り。本当の魔法使いはそう簡単に尻尾は出さないものです」と達観したかのように後藤三世がいった。




