魔法は本当に存在するのか? メルヘンみたいなお話
後藤三世が残念そうに返事をしてきた。
「私も好みではありません。十九時半惑星新橋、蒸気機関車型銀河超特急の前で待ち合わせ如何ですか?」
「大丈夫かと思います。ヒフ民は一次会があるから、参加遅れるそうです。フライト遅れで、もうバテましたよ。やはり九州星雲から参加するの、ハンデはデカイです」
「遥かなる昔、惑星アステロイドの文明開化の時代に後藤一世、後藤一二の父親である謎の占い師の手によって、初めて惑星横浜と惑星アステロイドを結ぶ銀河超特急を開通させた、曰くある惑星新橋の地に向かっています。当時は銀河列車でしたね」
「私は築地市場で冷凍解体されるすんでのところから、逃げ切り、惑星新橋で、と殺されに向かう素浪人ですかね」と陸奥六郎。
「なんか、ドナドナが聞こえそうなコメントですね」
惑星新橋での宴が済んだ翌朝、後藤三世が陸奥六郎に電話を掛けた。「昨日はお疲れ様でした。当たりの場末中華での忘年会を存分に楽しむことができました。その後、ヒフ民とは何時までおつきあいされましたか。やはり、キャバクラ、王将からカラオケまでフルコースでしたか?」
「いや、ヒフ民は広島アテンドが充実していたようで、衛星銀座で合流し、豪華なラーメン? で〆ておきました。部屋がツインでしたので、無銭宿泊させてあげ、翌朝築地市場の観光と海鮮丼を堪能しましたよ。 伝説の保険外交員、宮水カツオ氏呼んで、メリットありましたか? 保険入れてもらって、販促物渡す機会を与えてあげた割には、謝意が感じられ無かったですけどね。今回の営業活動の結果ですが、惑星新橋では当然地図については無反応でしたが、衛星虎ノ門や衛星六本木では好評でした。ニューヨーカーは、即決即買でしたよ。NYからのスタートのほうが早いみたいです、惑星新橋より(笑) 。予定変更で、今から富士山眺めながら、FDAで博多経由で帰ります」
「今回の惑星アステロイドにおけるセールス活動はなかなか、充実されたようで良かったですね。宮水カツオ氏は、なかなか面白かったんじゃないですか。相変わらずで、ある意味、あの態度は不変なんじゃないですか。保険はまあ、ぎりみたいなもんで、いつか、着流しが似合う元上司の資本でも入れてもらって恩返ししてもらったら如何ですか?」
「惑星新橋が楽しめたら良かったんじゃないですか。 ん? カツオ氏の保険に義理で入ったら、着流しが似合う元上司資本入れて恩返し? 全く理解不能ですよ。役に立たない奴らに、何を話しても無駄という論調の元社長が、戒律の厳しい会社に入ったら、改宗か改心でも出来ましたか?」
「そうですね。ずいぶん反省しましたよ。ユニファウスト社時代では、自分さえ助かれば、部下が死のうが、どうなろうが構わないというような奴らに対して憎しみさえ抱いていましたが、今は、なくなりましたね。今まで、世界の支配者層が人間だと思っていたので腹が立っていましたが、まさか、人間じゃないとは。しかも、人間を本当に食い物にしているとは。そんな奴らが支配しているのですから、操り人形の奴らの品位が低いのは、しょうがないと思うようになりましたよ。あとは、世の中の真理は、因果応報が基本に流れていることもわかりましたので、今の自分の状況は、今まで勝手気ままに生きてきた結果の罰なんだな、と思うようになりました。ある意味、『改心して改宗した』 その通りです。そういえば、ある筋の意見では、神社は神隠しの元締めとか。まあ、奴等には餌が必要ですからね。献血だけじゃ足りんでしょう。さもありなん」後藤三世が流暢に続けた。
「八百長選挙の結果が出ている最中ですが、突然の啓示がありました。これは自分としては、なかなかの閃きでしたね。なにかというと宝くじが一つの引き金です。当然、宝くじも八百長で、一等など元々ないものを売っているか、一等は奴らの仲間に当たるようにしていることが、証明する必要もなく自明の理なのですが。私は突然、はっと、ひらめいたのです。奴らは一等が当たらない魔法を我々にかけているわけですが。こちらの魔力を高めて、奴らの魔法を解いて、魔法を逆手にとって、例えば宝くじの印刷ミスで、本来『はずれ』にするはずの私の買った宝くじが当たりになってしまうとか、手違いで矢が外れてしまう等、自分が当たる魔法を勝ち取ればいいことに気付きました! 要は奴らの裏をかいて当てるのです。決して簡単な魔法ではありませんが、例えば気に入らない政治家を呪い殺すとか、要人ほど強い結界が張られていると思われますので、容易な魔法でできるだろうとは思いません。もちろん、宝くじも結界は張られているでしょうから、それを破らなければ打ち勝つことはできません。来年の年末ジャンボは勝ちに行きたいと思います。魔法のためにマンドレイクと銀の杯等が必要かもしれません。それが銀杯と金杯とマンドラゴラか、まず最初は、身を清めた後に東を一として東西南北の順に自分の年齢まで数えていたところからです」
陸奥六郎が完全に呆れて。「私は、貴殿ほど暇じゃありませんので、趣味は自分で楽しんでください。趣味友達は、SNSとかで簡単に見つかるでしょう。改心改宗したのだから、カツオ氏や着流しが似合う元上司と惑星大崎の二階のバーで彼らとその続きは話せばいいのでは。良い出し汁が分かち合えるのでは――」陸奥六郎が続けて話した。
「今、後藤三世さんがいる会社の高級ビルで四次元世界地図を格安にて展示させてもらえるのであれば、話は別ですが。どうせ、選ぶ権利があるのはこちらということで、条件に満たしてないとか実績が無いとか理由で断るのでしょうから、頼んでも無駄なんでしょう。購入してもらうのも良いですが、四次元世界地図の意味が分からないのであれば仕方ないですね。私が爬虫類が支配者とか人工地震が分からないのと同じなのでは――」




