天知る地知る人ぞ知る
後藤三世が電話してきた。
「12月に突入したら、とたんに定時で帰れなくなりました。残業に体が慣れませんね。しかも、今日は、病気の原因がまだ取り除けていないことが発覚。その辺の医者では私の病気の症状も原因も理解不能なため、自力で頑張るしかありません」
陸奥六郎が素早く返事をした。
「はっ? 理解出来る医者に行かないんですね。でも、残業代出るなら相殺なんでは? こっちは、ずっとサービス残ですけど。読み物してたら、アステロイド通信工業社が資本金を増やしてるじゃないですか。アステロイド通信工業社の電池の神様の社長に地図売って来てくださいよ。後藤三世さんが紹介してくれたの、鶴見の泡ランド抜けたスナック物件の管理の兄ーちゃん? 名前も出てこない――」
「以前、陸奥六郎さんが地図の見込み顧客リストを作ると言ってましたが、ひきわりの会のメッセージを寄せる方々がホームページに並んでいるじゃないですか?」
「それかどうか知りませんが、昨日の九党首の討論、ニュース二三かな。アステロイド国家主席の回答は、非常に怪しかった。でも、手のひらは、シワだらけじゃなかったですよ。爬虫類というか、要注意類って感じでしょうか」
「ジャパンビールス社の住所は老魔法王大使館に近いですね! 今更ですが、ベーア星人は恐竜じゃないですよ。大したことない小者です。M島やおぶ○のほうが大物じゃないですか?まあ、八百長選挙の政治には何も期待しないことです。どんな政治体制でも自分だけは稼ぐ体制にならないと」
「ひきわりの会にも老魔法がきいていました。単なる偶然とは思えませんね」と陸奥六郎。
「銀ケシネーマーって、懐かしいメール読みました。C社殿は、二十執念を迎えて好調のようじゃないですか?」
「今年八月には『今後どのように経営していったらいいか』を公募するという前代未聞の手段面白いですね、子供寿司! オヤジ寿司に名前変更して、不動産業に変更するよう提案してあげてください」
陸奥六郎が調子づいて来たようで更に続けた。
「古巣の親会社の創業者一族の末裔氏は、地図がお好きなそうな感じですか? それとも、爬虫類に狙われた昆虫でしょうか?」
後藤三世はそれには答えずに。「こちらは一足先に忘年会でした。ほろ酔い状態です。先週金曜は懇意にしている社長からのお誘いでクリスマス会でした。このは異業種交流会な感じで、異例な会社では、緑屋号の半導体関係者が来てました。さすがに半導体の仕事をしていたことは隠しておきました。懇意にしている社長に大型地図の話しましたが、全く興味なしでしたよ」
陸奥六郎がすかさず。「たぶん、爬虫類のしっぽだったんでしょうね」
「メガネの小売り業なんで興味の対象外だったと思います。爬虫類の気はないですね。メガネなんて、売れそうもないモノなのに業績を伸ばしています。士業の先生の紹介が発端でかなり良くして頂いています」
陸奥六郎がメガネというキーワードに反応したようだ。「近眼老眼遠視癌の人が、そのメガネ店で新しいメガネを買えば、視界良好になって――しかいりょこう、せかい旅行、世界旅行=世界地図! 飲んだ後なら、笑えるでしょ」
「近眼老眼遠視癌の人て私のことですね。笑えました。でも一本五万ボッタクリ円以上しますので、とても買えません。次回は現物支給をお願いしました。でも、社長の店に飾ってもらうことは頼めるかもしれません。この惑星の一等地ですよ。マジ、検討して下さい。土日ならご紹介可能ですよ、陸奥六郎さんが売りにくれば買ってくれるかもしれません。銀河山手線の内側に二店舗ありますので二枚お買い上げですね」
「了解しました。そちらに出向く時、紹介下さい。ヒフ民に、木曜日にジェトロのセミナーに行って欲しいんですが、電話に出ないです。エアコンで忙しいのかな?」
後藤三世がそれには返事しないので、陸奥六郎は話題を変えた。「後藤三世サン 無料のお仕事です。
キラリト銀座のテナント料金、調べて下さい。先月オープンしたから、空いてないのは百も承知です。うちの会長から、調べてくれコマンドがありましたので。爬虫類みつけるより、容易いでしょ。宜しくです」
後藤三世が相変わらず無言なので、陸奥六郎が話を続けた。
「八十一歳創業者はなぜトイレを素手で磨くのか? 『物事が成功するまでには三段階ある。第一段階は嘲笑される。『なんだ、トイレ掃除なんかして』と。これが始まり。第二段階は、反対される。誰もやれと言っていないのに抵抗するのです。その段階でバカバカしくなり、やめてしまう。こんなことやったってしょうがないという気持ちになる。でも、そこを乗り越えると、第3段階は、笑いものにしたり、反対したりしていた人がいつの間にか同調する。私は地図を売る。後藤三世さんは、爬虫類の存在を布教する(布教ではなく、真実を語るですね) ヒフ民は、エアコンの室外機を掃除する。ヒフ民が、一番成功に近いかも――」




