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死刑囚、中二になる  作者: 凛1129
ナイス・ガイの一学期
27/47

一章 26わりと最近!銀河系のこの辺りで

挿絵(By みてみん)

六月十九日 月曜日


「えー今日は、気づいている人も何人かいらっしゃるようですが、担任の三日月先生が体調不良から回復されました」


「ご心配をおかけしまして、すみませんでした」


「嘘つけ!うちの母ちゃんが先生を、まいばすけっとで見たって言ってたよ!」


「マジ?」


「なんかビールをケースで買ってたって」


 クラスのみんなは、大笑いしているが、美月は恥ずかしそうに俯いている。


(あ〜ビールは俺様のせいだー)


「はい、はい、静かにね」

「というわけで、今日から三日月先生が担任に戻ります」


「「「「おーー」」」」

 クラスメイトから拍手はしばらく続いた。


「待ってたぞー」


「ビール飲みすぎるとまた体調不良になんぞー」


「おかえりーせんせー」


 歓声と共に、美月は生徒たちへ受け入れられていった。

 美月は「ありがとう」「みんなありがとう」と、涙をハンカチで押さえながら何度も頭を下げた。


 昼休みになると豪樹や優希、綺羅羅も美月の元へやってきた。


「配信してたらいきなり酔っぱらいでしょ?マジであんときは、終わった〜って思ったよ」


「先輩の所についた時の美月っちの顔、マジヤバかったんだけど〜」


 今回一緒に動いた六人が、それぞれの思い出話を美月と花を咲かせていた。


(尊があんなテンションたけーの初めて見たな……)


 そんな様子を後ろで黙って見ていた。


 ◇


 放課後


 学校を出る時には小雨が降っていた。夜中に台風が近づくと、誰かが言っていた。

 放置されていそうなビニール傘を拝借して、家路へ向かった。

 グラウンドには誰もいない。

 朝から響いていた生徒たちの笑い声も、雨音に溶けるように消えていた。

 

(終わったな……)

 美月。悠真。澪。 いろんなことがあった。

 

 六月も、もうすぐ終わる。

 角を曲がると、家の前に一台の車が止まっていた。

 

(誰だ……?)

 車の横で一人の女が傘を差している。

 

「……」

 美月だった。


「美月ぃー!復帰直後で忙しいんじゃねーの?」


「今日は一日中『先生、大丈夫ですか?』しか聞かれませんでした。ついには『もう帰って休んでください』って……」

 

 美月は「えへへ」と照れ笑いを浮かべた。


「あとは悠真の結果だけだな……」


「君はなんでも解決しちゃうからね」


「……?」


「まだ解決できていないことも……」

「解決してくれたらいいのに……」


(泣いた?)


 ゆっくりと美月が近づいて俺の前に歩いてきた。

 傘を美月の後ろへ落とし、くちびるを重ねてくる。


 美月の口が離れると胸元に寄せられ抱き締められた……


 力強く、震えながら彼女の精一杯の力で。


 そして耳元でそうささやかれた。


()()にビール飲みたくなったらいつでも来いよ」


「んっ、ああ、まぁ……」

 

「!?」


(ぬあっ!)


 美月に抱きしめられながら、ふと、自宅を見たらリビングの窓からコイツの親父が母親の肩を抱き、銀河系の映画のエンディングみたいになって見ているぞ!


(うわぁ……目を潤ませて何度も頷いている!)


 さらにその横で下着姉ちゃんが、ポテチ食いながら、冷めた目で俺らを見ているだと!?


 気づかない美月はもう一度俺にくちびるを重ねた。


「待っているね」


「ああ……また」


 そして美月は車へ乗って帰っていった。

 とんでもなく……ゆっくりと……

 


一章【ナイス・ガイの一学期】 おしまい 

  


挿絵(By みてみん)

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