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「鷹志とサン・ジェルマン」(セーラー服と雪女 第13巻)  作者: サナダムシオ


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⑨ メリット

「ところで…⋯。」

 グレン・ミラーが話を続ける。

「キミのメリットは何かね?」

 もっともな質問である。

「見たところ、私一人の救出のために、相当な技術と労力を費やしてくれているようだが…⋯。」


「⋯…私のメリットは。」

 サン・ジェルマンが答える。

「貴重な才能を持つ、貴方の存在そのものを、身近に置く、と言う贅沢です。」

「ほう。」


「もちろん、貴方には、専用の寛げるお部屋を用意いたします。運転手付きのクルマで、外出も自由です。ただし、未来社会の混乱を防ぐため、本名や正体を明かしての活動はできません。」


「そして、貴方の作曲活動に必要な、あらゆる物資を、こちらで調達いたします。不自由な思いは、決してさせません。更に、生活に慣れてきたら、覆面作曲家として活動できますし、新しく楽団を編成するなら、手助けもいたしましょう。」


「よく分かった。しばらく厄介になることにしよう。」

「重ねて、お礼を申し上げます。これで貴方にも、貴重な友人を紹介できます。」

「⋯…友人?」

「まあ、それは、いらしてからのお楽しみということとで⋯…。」

 サン・ジェルマンはいつもの含み笑いを見せた。

 鷹志は、きっとそれはモーツァルトのことだな、と思った。


 やがてビートルは時空を越え、無事に久屋大通公園地下駐車場と、微妙にズレた亜空間に帰って来た。

 鷹志から見た感じでは、ホンモノとの違いが分からなかったが、サン・ジェルマンによると、そういうモノらしい。

 その証拠に、実際の場所には無いはずの、更に地下深くまで、彼のアジトは広がっているのだった。


 しかしながら、グレン・ミラーにクルマから降りてもらうと、彼をエレベーターに乗せ、更に上階に向かった。上昇の途中で地上の様子も見えたが、それはもうテレビ塔から見る景色そのものだった。

 これは言われなければ、ホンモノと見分けがつかないな、と鷹志は思ったのだった。


 目的のフロアに到着し、3名はエレベーターから出た。そこは、見かけ上は、実際のテレビ塔のレストランと見分けがつかない場所だった。


「今後、暇な時は⋯…。」

 歩きながら、サン・ジェルマンが鷹志に話しかけてきた。

「⋯…こちらのフロアで、ウェイターとして待機して下さい。」

「はあ。」

「いつもいつも、今日のような冒険があるわけでは無いのでね。」

「⋯…。」

「もちろん、貴方にも、自由に研究できる時間は差し上げますから。」

「分かりました。」

 鷹志は渋々承諾した。


「さて、こちらのテーブルに座りましょうか。」

 サン・ジェルマンにそう言われて、3名が席につくと、可愛らしいウェイトレスがやって来た。

「皆さん、コーヒーでよろしいかな?」

 グレン・ミラーも、それでいいということだったので、すぐに三杯のホットがリクエストされた。


挿絵(By みてみん)

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