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「鷹志とサン・ジェルマン」(セーラー服と雪女 第13巻)  作者: サナダムシオ


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10/13

⑩ コーヒーブレイク

 その後、コーヒーを飲みながら、しばらく三人で世間話をした。

 曰く、ここの時空は西暦1987年であること。

 この件に関しては、窓から見える風景を確認するだけで、一目瞭然だった。

 曰く、このアジトのモデルとなった名護屋テレビ塔について。

 これは純粋に、サン・ジェルマンの趣味だった。

 まるでエッフェル塔のミニチュアのような、この塔のデザインが、大のお気に入りなんだそうな。


 曰く、なぜ名護屋市にアジトを構えることにしたか。

 それは、関東には、東京という強い結界を張った都市が有り、関西にも、京都という更に強い結界都市がある。しかし名護屋市だけが、そこそこな規模の大都市なのに、影響するのはほぼ、熱田神宮と愛知縣護国神社のチカラだけという、比較的結界が緩い場所だった。サン・ジェルマンは、そこに目を付けた。と言ったようなことだった。


 ……などなど、鷹志もグレン・ミラーの隣席で、その他にも色々な話を、一つ一つ興味深く聞いていたが、サン・ジェルマンが、そろそろ話を切り上げる感じになってきた。

「じゃあ杉浦君、キミは姫島君に仕事を教えて貰ってきなさい。私はこの後、少佐をお部屋にご案内して来ますから。」


 彼はそう言うと、先ほどの可愛らしい、小柄で金髪の、メイド服の少女を呼んだ。

「お呼びですか?店長。」

「いつも所長と呼びなさい、と言っているでしょう?」

「ええ~。じゃあ、せめて旦那様とか御主人様では?」

「ウチはメイド喫茶じゃありませんよ。」


「ちぇっ。じゃあ、杉浦君、コッチに来て。」

「ああ、ハイ。」

「この私が先輩として、ビシビシしごいてあげるからね!」

「どうか、お手柔らかに。」


「姫島君、キミもバイトでしょ?優しくしてあげてね?」

「やだなあ。冗談ですよお、店長ぉ。」

 姫島さんはカラダをクネクネさせて見せた。

 鷹志は、やれやれ先が思いやられるな、と思った。


 その後、先程の宣言通り、サン・ジェルマンは、グレン・ミラーをエレベーターに乗せて降りて行き、このフロアから姿を消した。多分、あのコレクション・フロアに案内するのだろう。

 鷹志は、彼から姫島君と呼ばれていた少女について行き、カウンターの内部に入った。


 二人は食器類や調理器具を確認しながら挨拶をした。

「私は姫島冴子。こう見えても、もうハタチのフリーターよ。シフトは土日だけだけど、今日からよろしくね。」

「僕は杉浦鷹志です。大学院の1年生です。」


「へえ。頭がイイのね。私は動物を操るのが得意なんだけど……主に犬や猫ね。鳥も頑張れば何とか出来るかな。そのチカラを見込まれて、伯爵にスカウトされたのよ。貴方は?どんなチカラを持っているの?」 


「僕は、ちょっとしたアクシデントで、ここで働くことになったんだよ。だから特に、超能力の類は持っていないんだ。ただ少し、勉強が得意なだけかな。まあ、ちょっとだけ、先のことが見えると言えば見えるけどね。」


「それは定期テストの対策に役立つ程度?」

「……まあ、そうかな。」

「なあんだ。つまんないの。」


 彼女は天真爛漫というより、むしろ子どもっぽかった。何だかホントにハタチなのかも怪しい。

 鷹志にとってみれば、今まであまり身近に居なかったタイプなので、新鮮だった。


挿絵(By みてみん)


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