③ エビデンス
「……そう言われても、にわかには信じられません。例えば、貴方が本当にサン・ジェルマンだという証拠でもあれば……。」
鷹志は当然の疑問を口にした。
「証拠をお見せしてするのは、やぶさかではないのですが……インパクトが強すぎて逆に貴方を混乱させるかも……。」
サン・ジェルマンは少しだけ顔を曇らせる。
「いいですよ。何を見せられてもそんなに驚きませんよ。こう見えても僕は、今までに色々と不思議なモノを見て来ているんです。」
何故か自身満々の鷹志。
「……そうですか。それではこちらへどうぞ。」
サンジェルマンはそう言うと、鷹志を部屋の外へ連れ出した。
部屋のドアは自動で開閉された。
振り返ると、ドアには❝TREATMENT ROOM❞と書かれたプレートが付けられていた。つまり❝処置室❞といったところか。
そして廊下の向こうまで、まだまだ別の部屋がたくさんあるようだった。
随分と大がかりな建物らしい。
そう言えば、この男はどこの国の人間なのだろう?やけに日本語が堪能な……ハーフかな?廊下を歩きながら、そんなことを鷹志が考えていると、またサン・ジェルマンが話しかけて来た。
「私はスペイン出身です。ただ長い間、フランスやイギリスでも過ごしたことがあり……今ではどこの国の人間なのか、自分でもよく分からなくなりました。」
二人は会話をしながら、廊下の突き当りにあったエレベーターに乗り込んだ。
「……実を言うと年齢も、初めて日本に来た時には35歳だったのですが、それから不老不死になったので、これまた今、何歳なのか分からないのですよ。笑えるでしょ?」
いや。それ、笑えないけどな。と鷹志は思った。
エレベーターの操作盤はテンキーになっていた。
サン・ジェルマンが、いくつかのボタンを素早く押して、最後にエンターを押すと、エレベーターは上昇したようだった。
鷹志は動体視力が優れている方なので、何となくその番号を覚えてしまった。昔、野球部では万年補欠だったが、選球眼だけは、誰にも負けなかったのだ。
エレベーターは目的の階に着いたようだった。
サン・ジェルマンの後に続いて廊下に出ると、また、先ほどの階と同様に、たくさんのドアが並ぶ様子が見て取れた。
鷹志は彼と一緒に歩きながら、一つ一つのドアのプレートを見る。
全て、アルファベット表記だった。
彼は何となく、それらを読んでみた。
え~何々……NIKOLA TESLA、……LEONARDO DA VINCI、……WOFGANG AMADEUS MOZART、ふ~ん、テスラにダヴィンチにモーツァルトか……ってコレ、まさか中に本人が居たりしないよな!?
鷹志は今さらながら、自分が大がかりなドッキリにかけられているような気がしてきたのだった。




