第117話:【ネットの反応】騎士(ナイト)が「鬼」になった日――アイリスの1時間配信
アイリス・ヴォルガが、これまでの「10時間全肯定配信」を捨て、わずか1時間で「選別」を宣告した衝撃の夜。ネット掲示板には、困惑と熱狂が渦巻いていました。
アイリス・ヴォルガさん、豹変して「切り捨て」配信を開始www
1:名無しのVオタ
昨日のアイリス、マジで何があったんだ……。 「あなたの甘えに付き合う時間はない」って冷たく言われて、ブラウザバックしちゃったよ。
2:名無しの生徒
俺も。いつもなら「大丈夫、頑張ってるの知ってますよ」って言ってくれたのに、昨日は「却下」の一言。 正直、怖すぎてちびったわ。
3:名無しのガチ勢
でもさ、最近のアイリスってマジでボロボロだったじゃん。 声もガサガサ。12時間とか付き合わされてるリスナーも、正直「共依存」っぽくて不気味だったよ。
4:名無しの考察担当
今回の変貌、ましろの時と同じ流れだな。 これ、咲良(咲子)プロデューサーの仕業だろ。 「全員救おうとするのは心中だ」ってセリフ、あのお婆様が言いそうな、残酷だけど本質突いた言葉だわ。
5:名無しの現場監督
俺は昨日の配信、支持するわ。 アイリスが「残りの時間は自分のために使う」って言った瞬間、なんか救われた気がした。 推しが目の前で削れていくのを見るのは、救いでもなんでもないからな。このままだとマジで倒れそうな勢いだったから安心したわ。
6:名無しの生徒
アンチスレは「アイリスが天狗になった」とか大騒ぎだけど、同接の質は上がってる気がする。 今まで「よしよしして~」って寄ってきてたクレクレ層が消えて、アイリスの『決断』をリスペクトする奴らが残った感じ。
7:名無しのVオタ
そういえば、アイリスが最後に一瞬だけ見せた「穏やかな顔」見たか? 無理して笑ってない、仕事を終えた時みたいな、凛とした顔だった。
8:名無しの考察担当
「嘘」を捨てたましろと、「無責任な優しさ」を捨てたアイリス。 櫻守事務所、これ完全に『一期生の再教育』に入ってるわ。 次はHALか。ネットの王様みたいなアイツに、咲良さんは何を捨てさせるつもりなんだろうな。
9:名無しの生徒
HALは画面の外を極端に嫌ってるからな……。 「現実の人間関係」という一番の毒を飲まされるんじゃないか?
【櫻守事務所・社長室にて】
咲子は、掲示板の書き込みを三郎の上に乗せたタブレットで眺めながら、満足そうに扇子を閉じました。
「ふふ、『嫌いになった』『冷たくなった』……。素晴らしい評価ですわね、アイリスさん」
背後で、アイリスが静かに一礼しました。 今日は目の下のクマも消え、背筋が真っ直ぐに伸びています。
「咲良様、ご指摘の通りでした。全員の顔色を伺っていた時の私は、ただの『便利な道具』に過ぎませんでした。……今は、誰を救い、誰を突っぱねるべきか、自分の意志で選んでいる実感があります」
「よろしい。……孤独を恐れぬ者だけが、真のリーダーになれるのですわ。さあ、次は……」
咲子の視線が、モニターに映る「HAL」のアイコンに止まりました。 常に数千の回線を操り、ネットの裏まで知り尽くす天才。しかし、その実体は、誰とも目を合わせられない「孤独な少年」。
「HALさん。あなたには、少し『外の空気』が冷たいことを思い出していただきましょうかしら」




