第12話・どうして?
仲間の元に戻り、状況報告する。
「ごめん。仲間の名前聞いて反応見る前にやってしまった・・・・・・ついでに言い訳は私のことを名乗ってもいないのに知っていてニヤニヤしはじめたから・・・・・・なんか、気持ち悪くて。」
「ふーん。こちらは何時もどおりかな。あ、でも、シノン!もしかしたらお前、契約主が見つかるかもしれないぞ。」
ルークがシノンの肩をつかみながらうれしそうに言った。
なんだ・・・・・・ルーク、やっぱりそうなんだ。
「よかったね。シノン!」
シノンはコクコクと頷いて笑った。
可愛い・・・・・・。
私とは裏腹にルークはつらそうな表情を見せていた。
「ルークもすぐ見つかるから。絶対捜し出してみせるから。」
そうルークに言い残して私は走りだした。
シノンには今、ルークが入るから悪魔が来てもルークが問いただしてくれるだろうし・・・・・・何よりなんか、逃げたかった。
あの空間から。
「あ、あんた、おいら、知ってるよ。」
悪魔らしき声が聞こえて結晶が剣になると構えた。
最近、構えるまでの時間が短くなった気がする。
「うわぁぁあああ!!何するだ!」
可愛らしいまだ声変わりをしていない少年のような声がする。
私は空を浮いている人間ではない物体を振り落とし、剣を突き付けていた。
「あなた、悪魔でしょ。」
「そ、そうだ。おいら、変わりもんって評判の悪魔だ。」
「なら、ルーク、ナツハ、シュウナン、シノン、セーナ、スィルの中で知ってる名前は?」
「お、おいらが知ってんのはあんただけだ。」
「そう、なら私の契約主はどこにいる?」
「あんたの契約主の悪魔、ありゃ変わりもんだ。おいらより嫌われて・・・・・・ひぅ。」
私はさらに剣を近づけ、怖く冷たい声で言い放った。
「そんなこと聞いてるんじゃない。私の契約主の悪魔は、どこにいるの?」
「あ、あんた、おいらたちの世界で有名だ・・・・・・でも、あんたと契約した奴はあんたの名前を全くしゃべらねぇ、だからあんたの顔だけ知れてて・・・・・・それでだな・・・・・・実は・・・・・・あんたの契約期間はすでに切れてるだ・・・・・・そして居場所もあいまいでよくわからねぇ。」
「なに・・・・・・それ。」
え?よくわかんない。悪魔が悪魔の居場所を把握していないのは分かる。
でも、その悪魔を知っていれば悪魔が変わってても悪魔なら同じ悪魔か分かるから案内程度にはなる。
でも待って?どういうこと?
契約期間が過ぎてるって……そしたら私は、もう死んでいるはずで。
悪魔も私の命を狙ってるんじゃ?それに契約期間を過ぎた悪魔は絶対に倒せなくなるんじゃないの?
「と、とりあえず刃先どけてけれ・・・・・・。」
私ははっとして構えなおした。
「お、おいら、誓って誰かを傷つけたりしねえだ!」
「悪魔なんか信じられるわけないでしょっ!」
「ほ、本当だ!おいら、契約もしねえ、力も興味ねえ!ただの傍観者だ!」
確かにアタフタするばかりで気持ち悪さはあまりない。
「本当・・・・・・ね?」
「本当だ・・・・・・。」
頷いたので刃先をためらいながら地面に向けた。
すると、悪魔はフーッとため息をついて座り込んだと思うと小さくなった。
そして白くて丸いフサフサの物体に変わった。
「な、何これ・・・・・・ホコリ?」
私がそのわたぼこりみたいなものをつまりあげると声が聞こえた。
「あぎゃー!?い、痛いだ!はな、離せー!」
「おわっ!」
それはふわーっと浮くと、私の方のうえに乗った。
「い、いたいじゃないか!」
「な、なんなの!?」
ポンッという音がしてそれは地面に落ち、小さな小動物に変わった。
「何これ、かわいー!」
目の前に現れたオレンジと水色のリスやモモンガに近い生物を拾い上げた。
「あ!これっ!やめろ!」
バタバタと暴れだす。
「ほこりだったり小動物だったり、あんた、何なの?」
「だからおいらは悪魔だ。人間にも悪魔のゲームにも干渉しねえだ。時折ゲームに干渉しては去る、そしてその後は知らない。そして悪魔の中で一番人気のあるターゲット、それがおまえだ。おいらみてえな悪魔をあんた、知ってるはずだ?」
「え?人間にも悪魔にも亀裂を生まない傍観者?」
なんのことだか・・・・・・さっぱりわからない。
「んだ。知ってるだ。あんたの母さんだ。」
自信有りげに私の手の中で胸を張る小動物。
「え?私、過去のこと知らないの。私の母親って、悪魔だったの?」
するとしまった!とでも言いたげにそれは慌てだした。
「んにゃ、あんたの母さん、人間だ。そうか、あんた、記憶、戻ってないから・・・・・・そしてあいつも望んでる・・・・・・あんたに殺される事を・・・・・・。」
「何ぼそぼそ言ってんの?」
私が小動物を覗き込むと小動物は咳払いをして私の肩に乗ってきた。
「んにゃ、あんたといたら面白いゲームが見れそうだ。おいらも仲間に入れてけれ。」
「名前は?」
「ココット=ルビウス。ココットだ。」
「ココット・・・・・・ね。わかった。仲間にも言ってみる。」
「頼もしいねぇ。」
しばらく歩くとシノンが辺りを見渡しながらうろうろしていた。
「あれ?シノン?」
シノンが私を見る。
「まさか・・・・・・また方向オンチ・・・・・・?」
シノンはかすかに頷く。
「シノン、たぶんルークあっち、行こう。」
ははっと笑ってルークの元へ戻るとシノンが笑顔に戻った。
「シノン!スィルも、あれ?それ、何だ?」
私の肩のうえにいる物体をルークが指差す。
「仲間になりたいって・・・・・・えっと・・・・・・なんだったけ。」
最近、度忘れがひどい。
「ココットだっ!」
「ああ、そうだ、ココット。」
「スィル、こいつ今、しゃべらなかったか?」
ルークが引いている。
「当たり前だ!おいらは悪魔だ!」
「悪魔ぁ?これが、かぁ?」
「む、むぅー!おまえら、揃いも揃っておいらをバカにしたなー!?」
「いや、バカにはしてないよ。」
って、何で私がカバーしなくちゃいけないんだろ。
「とりあえずだ、かりにおまえが本当に悪魔だとしても仲間になることはできない。」
ずいっと悪魔に近づくルーク。
「お、おいら、お前も知ってるだ!おまえ、強いな?悪魔、沢山倒してるだ!だから皆、争いを好む奴ら、力をお前と競おうとしてるだ!おまえ、名前、ルークだ!あたりだ?」
「悪魔に名前なんか教えるか。スィルもスィルだ。スパイだったらどうする。」
「あ、うん。でも、私の悪魔の居場所知ってるし、ルークのも知ってるみたいじゃない。だから一石二鳥?みたいな。」
「何!?知ってるのか!?」
「知ってるだ。おいら、傍観者だからな!知らないのはそこの娘だ。」
「おい!はけ!どこにいる!」
「おいらを仲間にしないかぎり教えねえだ。殺して見ろー?おいらの情報全部パーだ。」
「くそっ!」
「大丈夫だ。おいら、傍観者するだけだったから仲間に嫌われてるだ。だから空中散歩してただ。けど、おまえたち見つけただ、これは先が楽しみだぁ。おいら、本当に一番いい席みっけただよ!」
悪びれもせずに楽しげな声をあげる。
「仮にお前が嫌われもんでも、悪魔に、仲間に俺らの情報を流さない保障がどこにある?」
「この姿だ。おいらたち悪魔はみな、この世界に実態を持たねぇ。もったら死んじまうからだ。悪魔は実態を持たねぇから何度でも復活できるけぇ。この姿は悪魔界では永遠の死に等しい最上級の呪い魔法だ。この世界に実態を持つことはそれだけ嫌われてるけえ。でもおいら、傍観者だからな!契約もしなければ特に何にもしないけぇ。そして過去に一人、おいら以外のこの世界に実態を持つことを決めた悪魔がいた。そいつは実態を持つことは呪いだとは思っていなかった。姿は人間のようで、争わず、人の魂も集めなければ、契約もかわさぬ人間の想像した・・・・・・あれだ、女神みてぇなかっこの悪魔がいただ。そいつ、人間の女とかになって最終的には死んじまったけぇ。」
「ねぇ、悪魔はよく俺とか使うけど、悪魔に性別なんてあるの?」
しみじみ話すココットに思わず気になってることを聞いてみた。
「んなのねぇだ。人間はめんどくせえだ。男と女とかいう人種をわけてさらに国とか言うのをめぐり、人種がわけられてるだ。悪魔はんなことねぇだよ。性別もなければ言葉の違いもねぇ、たまにおいらみたいな変わった傍観者があらわれたり、たまにさっきみたいに人間になったりする奴が本当にたまにいるだけだ。俺と言うのは言いやすいからだとおいらは思うだよ。」
「そう・・・・・・。」




