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1-4 魔王、初めての魔物。


 とりあえず助言に従って小突いてみる。


『魔王特性、『魔物に対するステータス確認』起動。


 以降パッシブでの起動に固定』


 なんだかゲームのシステムボイスめいた仲間第一号の言葉の直後に、目の前の景色がガラッと切り替わる。


 いや、正確には何処か見覚えのある情報がつけ足されている。


 残り体力、保有している最大魔力量に現在の残存魔力量、現在の状態異常や種族名に個体名が、目の前のスライムに重なって見える。


「まるでゲームだなぁ…」


『どちらかと言うと因果が逆なんだけどね…』


 意味深気そうな言葉を聞き流して、とにかく目の前のスライムの体力の残りは3分の2、あと一発小突く程度は耐えてくれそうだ。


「そう言えば今の俺には魔力が無いんだよな。


 どうやって魔力を与えるんだ?」


 もう一度軽く小突くと、残り体力はちょうど3分の1程度になった。


 スライムは苦しんでいるように微振動をし、動きを止めている。


『ひとまず今回は私の魔力を貸し出すよ』


 そう言われた瞬間、何だか自分の身体が仄かに温かくなったような感覚がした。


 下腹部、丹田とかいう辺りに何だかムカムカしたような不思議な感覚を覚える。


『それが魔力だよ。


 とりあえず今は、感じている違和感を目の前のスライムにぶつけるようにしたらいいよ』


 そう言われても流石に要領を得ない。


 何度か試行錯誤した末、スライムの魔力量の数値が上限を超えて上昇し、状態が【眷属化待機】になった。


『おめでとう!


 これでこのスライムを眷属、魔王の仲間にできるよ。


 最後は君が名前をつけてあげれば、正真正銘の仲間だ』


「名前を…つけなきゃいけないのか?」


 何だか初めての戦闘よりもかなりハードルが高く感じる。


『名前を与えることで、このスライムは魔物という全体から離れ、個を得ることが出来る。


 それはこの世界において魔物であって魔物ではない、別の存在になることでもある。


 それが、魔王の眷属になるということだよ』


「よく分からんが、名付けは必須ってことだよな」


『うん』


 名前…か。


 当たり前だが前の世界では名前をつけたことなんてなかった。


 弟や妹もいなかったし、ペットも飼っていなかった。


 そんな俺が仲間、それもスライムに名前をねぇ…


『そう難しく考えることはないけど、このスライムにとっては全てとすら言えるものだ。


 あまり思いのこもっていない名前は可哀想だよ。


 悩ましいなら、存分に悩んであげてよ』


ーーー


「決めた。


 お前の名前は【シズク】だ」


 結局、馴れ親しんだ和名にすることにした。


 透き通っている粘体が、水の塊のようにも見えるから、【雫】。


 単純だがそれらしい名前になったと思う。



 

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