1-2 魔王、冒険者になりました。
『イツキ・クロガミ
レベル 5
クラス テイマー』
受付嬢から差し出された羊皮紙(本物の羊皮紙なんて初めて見た)にはそう書かれていた。
ちなみに文字を読めるのも、言葉が通じるのも俺に憑いている自称神様のおかげだ。
『君のレベルについては、さっき言ったように私の魔力を参照させたよ。
肝心のクラスはかなり強引に手を加えさせてもらった。
…君が冒険者となる上でこれ以外のクラスは足枷にしかならないと思ったんだ』
(足枷?)
『例えば…剣士や魔術師のような平凡なクラスでも、剣聖や賢者みたいな最上位のクラスであっても、魔王である君にとっては不要どころか障害にしかならないんだよ。
君はこの世界における正規の手段では強くなることが出来ないんだから』
(強くなることが出来ない?)
とりあえず羊皮紙を受付嬢に返し、冒険者登録の続きをお願いする。
『この世界における強さとは、つまりレベルのことなんだよ。
どれだけ魔力を保有しているか、それが現れる数値こそが絶対的なステータスなんだよ。
そして、そのレベルを上げるための最も効率的な手段が魔物を倒すということなんだ』
(魔物を倒すことでそいつの魔力が増えるのか?)
『魔物という魔力の集合体を倒すと、それを構成していた魔力が霧散するんだよ。
この魔力を浴びる形で吸収する。
これによってその者が保有する魔力、その絶対量が増えるんだ』
(それで、俺はその方法がとれないってことか?)
『…君はこの世界の人間ではないよね。
元々魔力なんてものが存在しない世界から来た君には魔力を吸収する機能が備わっていないんだよ。
どれだけ魔力を浴びようとも、君の魔力量は絶対に増えない。
レベル測定の際に私の魔力を参照したのは、神といえこの世界の存在である私は魔力を多少なりとも吸収できるからだ。
だからこそ、初めに街に繰り出すんじゃなくて魔物を数匹倒すように助言したんだ』
「お待たせいたしました。
イツキ・クロガミ様の冒険者登録が完了しました。
イツキ様のランクはFとなり、こちらが冒険者とそのランクの証であるギルドカードとなります。
再発行には罰則と調査が必要となりますので亡失にはお気をつけください」
自称神様との心の中での会話に夢中になっている内に手続きを終えた受付嬢が灰色の金属片を差し出していた。
これで晴れて俺は冒険者となれたようだ。
「続いてギルドと冒険者について簡単にご説明させていただきます。
ギルドは、つまるところ冒険者の互助や管理、依頼の斡旋を行っている組織です。
ギルドの規約や機能についてはギルドカードでもご確認出来ますが、こちらでご説明いたしましょうか?」
『その辺りの基本的な知識は私が教えるからだーいーじょーぶ』
「既に知っているので、大丈夫です」
「かしこまりました。
何か不明な点がございましたら、いつでもご相談下さい」
受付嬢は綺麗な一礼してみせた。
「イツキ・クロガミ様
ようこそ冒険者ギルドへ。
私達は貴方を歓迎いたします」




