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乙女ゲームで存在しない悪役令嬢の双子の兄に転生してしまった【第三章◇進行中】  作者: かみながあき
第二章◆初等部編

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【Past Day 2 】きみとの出会い ーSIDE Darylー

なるほど?これはつまり可愛すぎてバグを起こしたとそういうことですねわかりますわかりみしかないです……

 

 カーティスから手紙が届いたのは、夏季休暇に入って三日目だった。

 気長に待てなんて言っておきながら、思っていたよりも早く返事をくれたことが少しおかしくて、ちょっと笑ってしまう。

「ふふっ」

 わたしは、封筒の端にそっとペーパーナイフを差し込んで、丁寧に開封する。


『親愛なる僕の友人ダリルへ。

 約束通り、手紙で返事をするよ。

 君のことだから、待っている間にもまた、読み終えた本が積み上がっているんじゃないのかい?

 こちらは首尾よく許可を得て、この週末すぐにでも君を招く算段がついたよ。

 図書室の本では、君のあふれる学びへの意欲を存分に満たす事は難しそうだから、特別に我が家の書庫へと案内する予定だ。

 そういう訳だから、週末はうちに来るよね?

 迎えが必要なら気兼ねなく言ってくれ。

 君の友 カーティス』


 カーティスらしい、整った文字で書かれたその手紙に、わたしはすぐに返事を書くことにした。

 われながら本当に得難い友人を得たものだなぁと、しみじみ思いながら。

 

 

 ◇    ◇    ◇

 

 ガルブレイス邸に着いたとき、わたしは設定資料通りの美しくて荘厳なお屋敷に感動してしまった。

 どきどきしながら玄関ホールまで案内してもらったら、そこには三人の人物がわたしを待ち構えていた。

 

「カーティス、今日はお招きありがとう」

 

「ようこそダリル。歓迎するよ」

 

 カーティスは、気さくなのに優雅に、略式の礼で迎えてくれる。

 そんな彼の後ろには、まだ幼いのに美麗と形容したくなるような……可愛すぎる男女の双子が立っていた。


 信じられない……ただでさえ可愛いのに双子なんて……こんなの、もう罪じゃない?尊いがすぎる罪で捕まっちゃうよ?

 ……こんなふうに内心で悶えていても、わたしは一般人に擬態して紛れることができるタイプの腐女子だったので、たぶん顔には出ていないはず。

 

「アシェル、アリシア。彼が友人のダリルだよ」

 カーティスが、双子ちゃんたちに紹介してくれる。

 わたしは、間違っても興奮が滲み出て怯えさせちゃったりしないように、あくまでも自然に笑いかけた。

 

「はじめまして、ダリル・フローレスです。今日は突然の来訪を許してくれてありがとう」

 

 女の子の方が悪役令嬢のアリシアちゃんのはずだから……こっちの男の子が、例のアシェルくん、なんだよね?

 なんだかぽやーっとしてるけど、大丈夫なのかな。

 

「アリシア・ガルブレイスと申します、お会い出来て光栄ですわ」

 

 八歳の子供とは思えないような、完成された挨拶を返してくれるアリシアちゃん。

 それに続くように、さっきまでぼんやりしていた男の子も口を開いた。

 

「アシェル・ガルブレイスです。今日はカーティス兄様のご友人にお会い出来るのを楽しみにしておりました。どうか気兼ねなくごゆっくりお過ごし下さいね」

 

 アシェルくんは、いざ話し始めると、十分しっかりした子のようだった。

 でも緊張してるのか、顔を真っ赤にして一生懸命に話してくれるのが、とっても可愛らしかった。

 

 お互いに紹介も済んで、書庫へ向かおうと話が進んだとき、アシェルくんが控えめに尋ねてきた。

 

「あの、ご迷惑でなければ書庫までご一緒してもいいでしょうか?」

 

 どうしても彼のことが気になっていたわたしには、むしろ大歓迎だった。

 彼と、もう少しちゃんと話してみたかった。

 

 ◇    ◇    ◇


 たまにカーティスとお話ししながら書庫に着いて。

 彼から「ここからここまでは好きに読んでいい」とお墨付きをもらったわたしは、書架を見上げて、思わず「わあ……」と感嘆の息を漏らしていた。

 ほんの少し眺めただけでも、ここにある本たちがとても古くて貴重なものばかりだと分かる。

 

 さっそくいくつか気になるタイトルの書籍を見つけて、手を伸ばしかけたとき。

 

「みゃっ!?」

 

 ……という、猫が驚いたときみたいな声が聞こえて、思わず振り返る。

 そこにはまた顔を真っ赤にしているアシェルくんと、なんだか苦笑いしているカーティスの姿があった。

 どうしたのかと思って近付くと、なんと二人はわたしのことを話していた。

 

「…………うーん、確かにダリルのファンは男子生徒の方が多いし分からなくもないけど……いくら美人だとしても、彼は男性だよ」

 

 そんなカーティスの言葉に、中身がこんな感じのわたしは、どう受け止めて良いのか分からずに居た堪れない気持ちになった。

 

「すっ好きだなんてそんなっ!いや確かに好きか嫌いかで言えば一目で好きになってしまいましたけど、それは人として?というか、女神様を崇拝する様な気持ちに近くてですね。性別とかもはや関係ないと言いますか、そんなもの超越してる存在なんじゃないかと思うわけで、つまりただ純粋に素敵な人だなぁと思っているだけですっ……」

 

 アシェルくんはひどく慌てた様子で。

 なんだかやけに大袈裟で……わたしにとっては気恥ずかしいようなことを、早口で捲し立てた。

 女神って、最近学園でもそんな風にからかわれることが増えたけど、みんな女神様のハードル低すぎない……?

 でも……性別とか関係ないとか……純粋に素敵な人だと思ってる、なんて、嬉しいけど恥ずかしくて、顔が熱くなってきちゃった……。はぅ……。

 内心の悶える声が漏れてしまいそうで、手で口元を覆って必死に耐えていたら、ほとんど全部聞こえてたのがバレちゃった。

 

 照れ合いながらも、なんだか一気に仲良くなれた、わたしとアシェルくん。

 そんなわたしたちを置いて、カーティスは一人で本棚へ向かった。

 わたしは、もう少しお話ししてみたくてアシェルくんを誘ってみることにした。

 アシェルくんは、「ぴゃっ……」という不思議で可愛い鳴き声をあげたあと、はにかみながら了承してくれた。

 

 どう見ても彼は、照れ屋で可愛い普通の男の子でしかないんだけど……やっぱりわたしは、アシェルくんの反応を探ってみたかった。

 イレギュラーである彼には、この世界の特別な知識があるのかどうか。

 

 あくまで冷静に、慎重に言葉を選んで、ところどころにキーワードを織り込んだ。

 クリスタの名前を出したときに、アシェルくんは不思議な反応をした。

 じっとわたしを見つめる瞳には、困惑の色がのぞいていた気がする。

 

 もしかしたら彼も「コモハナ」を知っているのかもしれない。

 ちょっとそう思ったけど、確信には至らなかった。

 

 むしろ、彼と話していくうちに、やっぱりそうじゃないのかも……という思いの方が強くなった。

 わたしの言動に、すぐに頬を赤くして慌てるアシェルくんが、あまりにも可愛かったから。

 

 つい可愛がりすぎて、カーティスに「弟の純情を弄ぶな」というようなことを言われてしまったり、あやうく出禁になりかけちゃったりもしたけど……。

 アシェルくんが庇ってくれたおかげで、出禁にはならなかった。本当にありがとうね、アシェルくん……!

 

 そうしてわたしは、その日から毎週のようにガルブレイス邸の書庫へとお邪魔することになったのでした。

 

 

 

ここまで読んでいただきありがとうございます。

(ダリルさん、擬態が上手すぎます……)

よければまたアシェルに会いに来てくださいね!


☆乙兄の更新は週2回(火・土 20:00)の予定です。

__

***

 

【 SYSTEM MESSAGE 】

2-4:フローレス伯爵家 の update 完了。

【資料保管庫:02】 の update 完了。

 

 

***

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