愛を乞う。
シルフィードの幼少期は悲惨だった。
幼い頃から人を殺す方法を学び、実践させられ、子供らしいことをしていられなかった。
どうしてアイリーンに執着していたかというと、辛く寂しい日々の中でも時折あった、慕う彼女と会う事が、アイリーンとの思い出が彼の全てだったから。
魔力量が微量であった為〝出涸らし〟等陰口を言われていたのも知っていた。それでも双子の弟として、影として生きろと道が決められていたから弟として自己研鑽しながら暗部の師からの教えを守り続けてきた。
双子の弟は影となれ、残酷な言葉。彼を生まれてからずっと縛り続けていた呪いだ。
王城、薔薇の咲くガーデン広場にて。
「兄上の方から戻っていただけるとは思ってもいませんでした。一体どこへ遊びに行ってらっしゃった?」
「あぁ、ちょっと野暮用でな。」
キンッと、互いの剣が交わって鍔迫り合い。辺りに水蒸気が上がった。
シルフィードは炎の剣を、シルヴィアは水の大剣を使い互いの命の取り合いが始まる。
「魔力切れが起きないとは成長したなぁ!!」
水の大剣を大きく振りかぶり跳躍。シルヴィアはシルフィードの肩に狙いを定め、加速の魔法で落下速度を上げながら一閃。
シルフィードは炎の剣でそれを受け止める。ガキンッと金属音は鳴るが辺りには水飛沫が舞う。
「三年間、魔力を頂いていたんでね!!」
兄上のお陰です、とシルヴィアの大剣を薙ぎ払い吠える。
「アイリーンは僕のものだ…!!」
「俺はローレライを捨てる!」
だから、お前が継ぐんだ!、と更に一閃。薔薇の花びらが舞い散り芳醇な香りが漂う。
「…だから、お前のやりたいようにやれ。ただ、戦争は許さない。」
警戒をしながら大剣を一度地面に刺して一呼吸、会話をする。その中でも腕力強化、スピード強化、身体能力向上等の魔法陣が宙にいくつも展開しシルヴィアを囲んだ。
「兄上が影をなさると…?」
「いや、影などしない。そんなものは終わりにする。」
異変に気づいた近衛騎士団がガーデンに集まりつつあった。
次々と王城内から走る音が近づいてくる。
「シルヴィア様、これは一体何が…?」
「……シルヴィア様がお二人?」
騎士団長が狼狽えながら2人の争いを止めた。が、隙をついてシルヴィアは水の大剣でシルフィードの腹を貫いた。
瞬間、大剣は水蒸気となり消える。
「…誰か治癒師を呼んでくれ。」
静まり返ったガーデンへ治癒師を呼びに騎士達が動き出す。
血を吐きながら片膝を地面に着きシルフィードは悪態をつく。
「…これだから、兄上は…甘いの、ですよ…何故わからない……。」
げほっと、大きく咳をし、腹と口から血を流す。白い軍服がじんわりと赤く染まっていく。
「……甘くて結構。」
眉間に皺を寄せながら瞼を綴じる。
シルヴィアはその場を去り、後のことは騎士団長へ任せ、ローレライ家の家紋がついた王への手紙を持たせた。
いつもいいね、ありがとうございます!




