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巣から落ちた小鳥。


「お前なぁ、2階から入るの止めろ。」


シルヴィアは鍛冶屋にて仮面を外す事に成功した後に調合屋に再びやってきた。


「すまない、目立つ訳にはいかないんだ。」


彼は仮面は取ったが口布を着けていた。

これから王城に向かい、弟と会うつもりであった。その前にカインに頼みがあった。

もしも自分が死んだらアリアを頼む、と言った。

それにカインは言われなくともこれからも変わらずメンテナンスは続けると答える。


「そして、愛していると、」


「それは直接言うべきじゃないか?」


咥え煙草のカインは呆れて煙をシルヴィアに吹きかける。

シルヴィアはけほっと咽せた後、また言葉を紡ぐ。


「ずっと、愛している、と。」


伝えてくれ。










母との対峙。3年ぶりに顔を合わしたにも関わらず、母親として喜ぶどころか怯えている。白銀の長い髪と赤い瞳は紛う事なきローレライ家の血筋だ。


彼女は全てを分かっていながらシルフィードのやりたいようやらせていたと認めた。幼い頃からシルヴィアの影であった彼を生まれてからずっと不憫に思っていた、と。


「…シルヴィア、…ごめんなさい。けど、あの子にはこんなやり方でしか貴方に勝てなかったのよ。」


「戦争で多くの命が失われた。あいつには償ってもらう。俺の愛した人にも手を出したのだから。」


確かに幼少期はシルヴィアの影となるよう暗殺等、貴族教育以外にも強制的に学ばされていたのは幼いながら理解していた。しかし、兄を騙し監禁と、その愛する者を重症にさせるなど許し難い事実がある。何かと庇ってきたはずの弟を1人の男として、また貴族としてこれは許せない。

母上はシルヴィアの怒りに染まった顔に怯えていた。


「たった1人の弟のです。私がケリをつけます。」


「…お願いよシルヴィア、あの子を許してあげてぇ…」


泣き崩れる母、それを無視して自宅邸から走り去る。

呪われた血、忌み子。そんなもの関係無い。


屋根傳を走る中、幼少時に木から落ちた小鳥を巣へ帰してやろうとするシルフィードを思い出した。

あの頃の彼は影の何たるかを学ばせられようとも心優しく、兄上、兄上、と慕ってくれていた。

一体どこから間違えたのか。今となっては理解しようともう遅いのだ。

双子は戦い、勝ち取った者がシルヴィアの名を継ぐ。














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