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悔恨。


夜の調合屋。

ガタン、と2階の窓から誰かが侵入した。カインは強盗かと短剣をかまえながらそろりと窓に近づく。相手の息遣いが荒い事がわかる静寂の夜。


「誰だ!」


「…俺だ。窓から失礼した。」


仮面の男は両手を上げて戦意がないことを見せながらカインに近づく。


「…シルヴィアか?」


あぁ、と一言答える。


「…お前、どういうことか説明しろ。」


短剣を下ろし、親指の先に炎を灯し煙草に火をつけるカイン。すーっと吸い込むと溜息と共に煙が吐き出される。2階の部屋が白んだ。


「仮面を外したい。どうにかならないか。」


「説明が先だ。」




2人は朝まで話し込む。


現在の戦争を王に進言し仕掛けたのは自分の双子の弟シルフィードということ、魔力を封じられ三年間監禁されていたことを言葉少なく話す。

民を苦しめる戦争を止める為、当時食事を運んでくれていたメイドのクラリスの手を借りたことも伝える。


「はぁ…、クラリスの件は本人から聞いた。だが、アリアの事は何も知らないのか?」


「アリア、元気にしているか?」


そうじゃない、とテーブルをダンっと拳で叩きつける。

彼シルヴィアはアリアが背中から刺されて重傷を負ったことを知らなかった。


「そんな…彼女は何もしていないのに。なんで…、」


そんなものこっちが聞きたい、と酒を棚から取り出したカインはグラスに魔法で氷を作り出し荒っぽく片手でブランデーを注いだ。2人分だ。

一口飲むと怒気を含んだ声色で言う。


「知らなかったとはいえ、アリアは復讐心に縛られたままだ。愛したお前に裏切られた、ってな。」


「俺はその時にはもう監禁されていた。となると、弟のシルフィードに違いない。顔だけは同じだからな…。」


自嘲するように話すと出されたブランデーを口にする。


「助けてやったのはアリアの為だからな。」


勘違いするなよ、と2本目の煙草に火をつけるカイン。


「とにかく、戦争を止めるよう王に進言し、宰相は弟だということを伝えなくては。」


ガチャ、と鍵を外したい彼は癖のように仮面に触れる。


何で監禁なんてされたのか。

それはシルヴィアが貴族のアイリーンを選ばず冒険者のアリアを選んだ事の恨み。

ローレライ家では双子は忌み子であった。先に生まれたシルヴィアが1人生まれたことにされ、シルフィードは後に生まれたというだけで影の存在であることを強いられていた。

そんな彼の楽しみはお茶会に誘うアイリーンの存在であったのだ。シルヴィアが貴族の躾を受けている間、替え玉としてシルフィードが参加していた。

そして最大の恨みは魔力が微量しかない嫉妬心だろうと考える。鳥籠と呼ばれる地下牢には仕掛けがあった。それは中に監禁されている者の魔力を吸い上げ術者へ送られるものだった。


部屋が煙草の煙でいっぱいになる。


「腕の良い鍛冶師が必要だな、それ。」


カインはグラスを傾けて仮面を指す。


「アリアに会えないだろうか…。」


「今会ってもどうにもならない。身内の不始末を片付けてからにしろ。幸い、アリアはうちのお得意様だ。」



彼も決してアリアを忘れていた訳ではない。

弟の我儘に3年も付き合ったんだ。もう良いだろう。

ローレライ家の血は執着心が強い。


「全て片付けて、アリアを迎えに行く。」


紅い瞳は死んでは非。

















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