激怒。
「何故だ!!」
医務室に居る地下牢の門番を殴り飛ばす。
同じくここに居る治癒師の2名も殴られ叱責を受ける。
「あぁー!くそ!!何故逃しんだ!!!」
暴れる男。激しく勲章同士が擦れ合い揺れる音が鳴り響く。
止まらない癇癪。なでつけていた白銀の髪が乱れる。
「僕の計画が全て崩れるだろうが!!」
医務室のカーテンは引きちぎられ、患者用の水差しは床に落とされた。未だ体の痺れが取りきれない治癒師2名に門番はただ、ただ、頭を下げて謝罪の意を示す。
「今直ぐに捜索隊を派遣させろ!必ず見つけ出せ!!」
3名の面倒を見ていた医務官は飲み物に体が痺れる毒を盛られていた、と説明する隙も許さない宰相に怯えていた。
これ以上怒らせたらこの医務室ごと破壊されかねない。
「シルヴィア様…?大丈夫ですか?」
そこへアイリーンがやって来る。誰かが彼を鎮める為に呼んだのだろう。怒りでいっぱいな彼を心配そうに見やる。
「……アイリーン僕は大丈夫だよ。取り乱してすなまい。」
「いいえ、何か大変な事が起きたのですね?」
後で行くのでガーデンで待っていて?と、彼女の手を取りキスをする。
アイリーンの姿に暴君は落ち着きを取り戻し紳士を演じた。
「はい、待っていますわ。」
淑女の礼をしてその場を離れるアイリーン。
それを見送ると、幾分か冷静になった男は捜索部隊の人員を決めては医務官に言いつけ派遣をさせろ、と命令を出した。
必ず生かして捕まえること、封魔の手錠をかけること。それらを付け足し彼はガーデンへ向かった。
愛する女性の前では彼も紳士でありたかったようだ。
彼は子供の頃から彼女が好きだった。
呼ばれたお茶会には必ず彼は参加した。例え、話せる事が少なくとも彼女に会えるのが楽しみだったのだ。
替え玉や身代わり等どう言われようとかまわなかった。
ただ、会いたかった。
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