すれ違い。
アリアの魔法銃がメンテナンスを受けている間に1人客が入って来た。
シャランシャランと鈴が鳴る。
服装からしてどこかのメイドのようだ。大人しそうな雰囲気でカインを呼び出す事もなく彼がカウンターに来るまでずっと待っていた。
「アリア、メンテ終わったぞ、…と、いらっしゃい。」
「…味のしない毒を3つ程下さいな。」
見た目に反して過激な毒の要求に店内にいたアリア達は驚き、声をあげたのはユリヤだった。
「なーに、毒殺でもするつもり?」
茶化すように笑えば、至極真面目な表情で、ええ。とメイドは答えた。
その顔は何処かで見たことがあった。復讐に燃えている時のアリアの表情に似ているのだ。ユリヤはその後声をかける事もなく押し黙った。
「水の加護を受けし魔女のためのものです。」
要求に足すようにカインへ〝魔女〟の名を出すと、彼ははぴくりと反応する。直ぐに棚にある薬品を複数取り出しては調合の鉢に数個入れて混ぜ合わせ匂いを嗅ぎ、首を傾げ、また複数の薬を入れ混ぜて毒を作り上げる。
「…急ぎだろう?」
ゴリゴリとすり鉢で撹拌しながらメイドに問う。彼女はこくりと頷くとカインはやっぱりな、と呟く。
アリア達はあまりに早い調合の姿が珍しく、その作業に注目していた。手際の良さが知識が無くとも腕の良さがわかる。
カインにとって〝水の加護を受けし魔女〟はよく知った名前だったのだ。
一体誰が飲むことになるのか、そんな事はどうでも良い。間違いなく、あの男は生きているのだ。
カインは喜びにもにた焦りを感じた。毒を調合しながらアリア達が店を出て行くのを見送り、店内には2人。
「あいつは無事なんだな?」
「はい、生かされています。」
2人は夕方になるまで会話をした。
いいね、ありがとうございます!




