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鳥籠。

大きな大きな鳥籠。堅牢な鉄に多すぎる封印札。

中には仮面をつけた男が1人。

〝餌〟 は食べようが食べまいが毎日変えられる。水浴びはさせてもらえず清浄魔法を1日2回朝晩だ。

男が檻に手をかけると火傷を負うことになる。そうなれば慌てて治癒師が治療を施す。治癒師は2名で1日交代で男を見張り時々暴れる男の治療をしていた。


「おい、今日は何日だ…。」


「知る必要は無いですよ兄上。」


鳥籠の前に軍服に身を包んだ男が立った。左胸にびっしりと勲章バッチがいくつもつけられており、歩くとチャリチャリ、と音を立てる。


刹那、じゅうっと、火傷も厭わない様子で鉄格子を握り怨みがましく仮面の男は言う。


「……お前、戦争なんて起こして何になる。一番苦しめられるのは民だぞ!」


「…治癒師の手間をかけさせないでください。」


男が溜め息を吐くと同時に治癒師が走り寄って来ては仮面の男の手に治癒を施す。それでも鉄格子を握り続ける為火傷をし続ける。じゅうじゅうと手が焼ける音がこの地下室に響き渡った。


「…兄上は何もせずここにいてください。」


「シルフィード…!!!!」


怒号。

ガンガンと頭突きを繰り返し、仮面で鉄格子を叩きつける。壊れることも外れることもない仮面の隙間からシルフィードという男を睨みつける。


「絶対に、許さない…!」


「ええ、僕も許しません。」


小さな水溜りを指先に作るとピン、と弾くよう仮面の男にぶち撒ける。

パシャリと水を浴びせられた仮面の男は憎々しく鉄格子を握るのを止めた。治癒師が急いで男の手を再度治療する。




ローレライ家は太古の魔女の末裔。代々引き継がれていく魔力の強大さを誇る家系だ。貴族の中でも古くから続く血でその血は王家に繋がった時代もあった。

そして今世、シルヴィア=ローレライが嫡子で長男。王家に近しいアイリーンとの婚姻が成された。


「僕はアイリーンを愛しています。この呪われた血でも彼女は僕を愛してくれた。」


恍惚とした表情で愛を語る男に見向きもせず、仮面の男は滴る水を頭を振り水気を飛ばす。

今日の拷問は惚気話。




読んでくださりありがとうございます!

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