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自身の仇。

ユリヤという女は刀使いの剣士だ。

ズバっと一閃刀を奮えば一撃でモンスターを蹴散らせる。


「さっさと終わらせて夕食にしたいところね!」


目にも止まらない速さで刀を操り煙草をまた一口吸う。

すーっと吸い込み魅力的な唇から白い煙が溢れた。


「暖かいスープがいいですね。」


アリアも魔法銃を2丁ホルスターから取り出しパン!パン!と狙い正しくモンスターの魔石を撃ち砕く。

二人がかりの戦闘は簡単なものだった。フェンリルが荷台で寝たままでいながら魔力不足に至らない。契約の効果の凄さを感じた。確かな手応え。


「いやぁ、一時はどうなるかと思いましたが助けていただきありがとうございました。荷台も無事です。」


年配の商人は冷や汗をハンカチで拭いながら物陰から出て来た。安全のために隠れていたのだろう。


再び荷台に戻ると乾燥させた肉と硬いパンを齧る。道中の食事は本当に寂しいものだ。


「しっかし、硬いわねこのパン。」


文句を言いながら少しずつ齧るユリヤ。食料を持って来たのはアリアだ。


「嫌なら食べなくてもいいんですよ。」


干し肉をフェンリルに分け与えながら呟く。

フェンリルは尻尾をゆらゆら振りながら干し肉に齧りつく。

食べ終わり、撫でろとぐいぐい額をアリアに押し付ける。


「わかった、わかった、お前のお陰だよ。」


溜息を吐きながら白銀の美しい毛並みを撫でる。

本当にフェンリルのおかげで魔力不足に陥るどころか、溢れ出す魔力で全ての弾が強化されている。


「…で、アリアはどうしたいの?宰相って言ったらSランクどうのじゃなく、会えないわよ。」


無言でフェンリルを撫で続け、溜息。

白銀の毛並みがどうにもアイツを思い起こさせる。この子は違う。契約だってあるのだ。


「もしも会えたなら私はどうしたいんでしょうね。」


「だから、会えないって。」


ユリヤは再び煙草に火を灯し吸い始めた。


アリアにとってのアイツの話は今まで詳しく聞いたことがなかった。ただ、仇ということだけ。


興味が出てきて聞いたら後悔しか残らなかった。


「へぇ、あんたにも愛とか恋とかあったんだ?」


茶化すことで重く暗い空気を消したかった。ユリヤはんーつと声を上げながら背伸びをし、横になった。


「そうですね、自分でも夢を見ていた気がしてます。いや全部夢だったらよかった。」


アリアもガタガタと鳴る荷馬車に横になった。

重力で流れ落ちた雫は木材に染みをつくる。

久しぶりの感覚に自分で驚きながら目元を拭う。

明日も早いのだ任務に集中しようと爪の跡が残るほど拳を握り、悔しさや悲しさを痛みで逃した。














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