契約者。
最深部に確かにフェニックスは居た。
大きな大きな焔の身体をした鳥だ。その堂々たる姿に萎縮するアリア。そして、現代でいうサウナのように熱い皮膚がピリつく空間に恐怖心が煽られる。
ピシャー!フェニックスがと一鳴きするとシルヴィアは特大の魔法陣を展開し辺り一面水浸しにした。
大きな水飛沫で服も髪もびしゃびしゃに濡れる。これは熱への対処法なのだろう。
全身水浸しになろうと全く気にならないくらいに戦闘に集中している。
「シヴァさん!」
「危なくなったら一度隠れてね。」
そう言うと無詠唱で身の丈以上の水で作られた大剣を作った。よいしょっと肩にかけ持つと岩柱を蹴り上げ大きく飛躍する。
天高く飛んだシルヴィアは、勢い良く回転しながらフェニックスの右翼を狙って大剣を振り下ろす。ドガン!と確かな手応え。
また、フェニックスが鳴くと辺り一面の水が干上がるような炎の攻撃がシルヴィアを襲う。が、体を反らし再び跳躍する。今度は左翼を狙い全体重を乗せて大剣を振り下ろした。
洞窟内でジュウジュウと水蒸気の音がこだまする。
本来なら護衛のアリアがシルヴィアを守るものだがここは彼に任せて後衛でサポートをするのが間違いないだろう。
パン!と魔法銃を放つと雷魔法がフェニックスに当たるがびくともしない。今はリュートがシルヴィアの肩にいる為魔力不足なのか全く歯が立たない。
『汝らは何を求める』
二人に問いかけるフェニックス。その声は頭に直接響く穏やかな女性の声だった。
「フェニックス、彼女と契約をしてほしい。」
一度大きな岩に降り立ち、水の大剣の柄に腰を下ろすシルヴィア。
アリアも構えていた銃を一度下ろして警戒を解く。
『いいでしょう。よくぞ此処まで辿り着いた者達よ。』
「えっ、いいんですか!?」
『但しリヴァイアサンと契約した者とです。』
「そこを何とか彼女にしてくれないか。」
交渉は続いたが、結局契約者となったのはシルヴィア。
アリアも納得しているが彼は今まで計画してきたことが崩れると、落胆した。
水の大剣を霧状にして革手袋を外し、大きな溜息を吐いたシルヴィアは攻撃態勢を解いたフェニックスの頭に右手を着いた。
「…我は契約者、汝に名を授けよう…。」
その神々しい契約中の姿はアリアにとって人生で一番貴重な場面だと、瞳に焼き付ける。
何て美しい光の中ゆっくりとシルヴィアの右手に光が収束していく。契約の完了だ。
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