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普通ってなんだっけ。


アリアは拾われっ子だ。大きな大きな木の根元の窪みに寝かされていたそうだ。

それで近所の歳の近い子供に虐められたこともあった。

事実ではあるが子供の純粋さは時に残酷だった。

父は武器屋を生業としていた。母は現代の記憶が蘇った6歳の時に病気で亡くなった。

優しい両親であった。現代の記憶を辿ってみると色んな異世界転生があるのを思い出す。私はかなり恵まれていると思いを馳せるアリア、現代最期の記憶ではヒカリ。


特別な力なんて無い。普通。でもそれが一番幸せなのだと知っていた。悪役令嬢や聖女様のお話、それらはアリアとかけ離れたお伽噺のようだった。

それがまさか。


父はいつも武器の手入れを欠かさずやるんだぞと、口酸っぱく言っていた。やれ新しいカスタマイズだ、それ新型銃だ、と。

愛銃、名前をつけていた。父にも同期の冒険者にも話した事は無い。思い入れが強いこの子の名前はフェニックス。

シルバーのディティールに夕焼け色に似た線が幾つも魔法陣を描いたもの。元々、魔法が撃てる型式だったが不得手だったからずっとノーマルの弾で冒険者を続けていた。

それが、彼シルヴィアとの出会いで大きな変化を齎した。


弾丸はカインさん特製。微弱の魔力で大きな魔法銃となり飛躍的に戦闘が楽になった。

ペンダントとリングで危険な攻撃は全て跳ね返るお守りとなった。

憧れていた人に揶揄われる程の仲になれ、遂には御令嬢から婚約者を奪った、万年Bランク冒険者。

目まぐるしい生活はとても怖くてとても眩しかった。

楽しいというよりも心細かった。

もう元には戻れない恐怖と期待。普通とはなんだろう。















シルヴィア=ローレライは王国の陰日向に咲く貴族の長男だ。生まれてすぐリヴァイアサンと契約ができた天才と呼ばれ続けた男であった。

座学にも長けており戦闘能力は王国近衛師団にスカウトがくる程の手練れに成長し、期待が期待を呼ぶよう一族総出で彼を国の重鎮に添えようと本人の知らぬところで血も流れていた。

つまらない。とても。彼にとっては一族が何だと、王国が何だと、魅力を全く感じず権力も欲してはいなかった。


いつからか彼はリヴァイアサン、リュートを肩に変装と自衛の為の眼鏡をかけて冒険ギルドに出入りするようになった。

そこで見つけたのだ、眼鏡越しでも読めてしまう彼女の異質を。


『見つけた』



あの子が欲しい。あの子が良い。あの子じゃなくてはいけない。


初めての感情と我儘。

彼の紅い瞳には彼女はどう映し出されたものだったのか。











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