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似たもの同士のふりをして。

アイリーン=トゥリアはある約束を守った。


彼女はシルヴィアに本気で惚れ込んではいない。そもそも貴族の婚姻は一族の繁栄や力を守るために行われるようなものだからだ。

幼い頃からアイリーンはシルヴィアを見てきた。

お茶会に誘えば来てくれるがお誘いは一度も無かった。それはアイリーンにとっては楽だと思ったが周りは残念がり、将来の心配をよくされたものだ。

シルヴィア=ローレライは未来の王国重鎮。それがどれだけのプレッシャーなのか推量れない。一度だけ聞いたのだ。

将来の話を、


「シルヴィア様、数ある期待にプレッシャーは感じないのでしょうか?」


失礼を承知で震える唇からこぼれ落ちた素直な心。


「いや、何も感じない。アイリーンこそ、大丈夫かい。」


シルヴィアは表情に乏しいが優しかった。心が温まる気がして彼女はこのまま婚約者でも良いではないかと思うようになっていた。

ところが、ある日お茶会には誘われなかった17年だったが彼から呼び出しがあったのだ。


大きな空色の瞳が飛び出てしまうのではと心配になるほど見開かれる。

婚約の解消の打診。これまで一度たりともじっくりと顔を合わせた事など無かったのに今初めて顔を見た気を起こす。


「欲しい人が現れた。」


理由を聞く前に話される。

これはもう決定事項なのだろう、彼にとっては。


婚約破棄。それは自身に大きな鉛を背負わされる気持ちになった。

愛など無くても良かった。それでも支えられる妻となりたかった。初めて彼への好意をこんな時に自覚する。


「今までありがとう。」


心のこもらない感謝の言葉。私がもっと早く自覚して積極的にお会いしに行けば良かったのだろうか。

もっと彼好みの女性になれたら良かったのだろうか。

今となってはもう遅い。

せめて、彼の台本通りに動いたらこの元婚約者の散り様を憂いてくれるだろうか。


「最後の我儘です。貴方の想い人と合わせてくれませんか?」

「会ってどうするんですか。」

震える唇は更にいらないことを言葉にしてしまう。


「ただの興味ですわ。」



嗚呼、こんな時に縋れる女ならば違う未来があったのでしょうか。







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