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Cheatahs!!  作者: 樹祕朶椏
15/18

第15話 Elite(いつも支えてくれるあの人へ)

これは、ある一人の事務員にしてギルド長にして優秀なエリートにして、ただ一人の女の子の追憶である。

「カーラさん。君に新しく建つギルドの管理をお願いしたい」


 受け取った異動指令が、虚無感で満ちた私のからだによく響く。


「…………全部無駄だったんだな」ボソッ


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 私の能は『同時複数処理マルチタスク

 別々の物事を同時に思考できる超人の能であり、簡単に例えるなら 2+2 と 2×2 の二つの式に対し迷いなく 4 と答えられるようなそんな感覚を常に持つ。

 ハッキリ言ってその程度が限界の能である。

 だけれども私は、私にだけ与えられた…………いや、皆それぞれが各々《おのおの》のみに与えられたこのちからを最大限発揮できるように生きていくべきだ、という使命感を持っていた。

 けれど同時に思考を処理できても、処理能力が上がるわけではないし、体は一つしかないし、使い過ぎればパンクだってする。

 だから私は努力した。

 だからたくさん勉強したし、

 だから人より行動するよう心がけたし、

 だから能を鍛えた。

 その結果は明白だった。私は人より出来が良いとされた。

 いわゆる優等生——。

 いわゆるエリート——。

 いわゆる天才——。

 だけれども私は、その内のどの言葉にも興味はなかった。相応ふさわしくないと思ったというと少し違う気がする。実際に人より優れた結果を出しておきながらそんな謙遜をするのはいささか卑怯のように思えるから。だが驕ったということは決してないということも自信を持って言える。なぜならば、テストやタスクに囲まれた空間で私の能が人より優れた結果を出すことは、むしろそれが前提であるようなものだからだ。

 考えてみれば私は…………他人ひとより劣ることを、恐れているのかもしれない…………。


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「カーラさんこっちもお願いします!」

「はーい!!」


 学校を卒業した私はギルドで、それも中枢にして選りすぐりの強豪、 “本部” の事務員として勤めることになった。

 ここがギルドの面白くも難しいところなのだが、ギルドという組織において “本部” というのは一意に定まる訳ではない。

 ギルドは多目的複合施設であるため、その規模、どんな設備をどれだけ充実させているかというのは確かに一つの指標にはなりうるが、ギルドの最も広く知れ渡った、代名詞とも言えるのはやはり任務ミッションである。

 誰しもが依頼者になりえ、

 誰しもが解決者になりうる。

 頼み事の種類は大から小からピンからキリ。大事の際には国からも依頼が来る程の知名度と積み重ねてきた実績の山々。

 故にギルドは、任務ミッションの重要度とその解決率こそがギルド間の競争における最重要項目であり、その競争レース一位トップを取っているギルドのことを “本部” と呼ぶのである。そして、勿論本部を支えるに相応しい事務員がそこで働くのは必然。本部が移れば同じく職場を移す、そんな上澄みを “本部付け” と呼び、我々事務員の間では最も格の高い名誉ある称号であり、入社一年目にして見事 “本部付け” として選ばれたのが——


 わたくし笛果綺てきはきカーラである。


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『仕事ができるのを鼻にかけてるよね(笑)』

『自分は人とは違うって雰囲気がさ(笑)』

『やっぱり私たちみたいのとは違いますね……』

『皆が皆同じレベルで仕事ができると思わないでください!!』

『教えられても……その……私なんかじゃ到底……』

『 “無理” って言えないんですよ〜。言わせないっていうか。高いとこから高圧的に来られたら萎縮しちゃって仕事なんかできないですよ〜』

『優秀すぎても困っちゃうよな(笑)』

『立つ瀬がないっつーか、ぶっちゃけあの人いれば俺らなんていなくてもいいもんな(笑)』

『これもやっといてよ。え?できないだなんてことはないでしょ(笑) だっていつも涼しい顔してなんでもこなすじゃないか』

『君みたいに周りはなんでもこなせる訳じゃないんだよ!?』

『いや……そんな……でも俺らだって必死になったのに……これじゃあんまりに……』

『あの人が受付立つとなんか “労働” を全部否定される気持ちになるよな』

『わかる(笑)』

『いい加減にしてくださいよ!!俺たちは命張って仕事してきてんのにあんたはいっつもルールがどうだシステムがどうだって!!俺たちは今を精一杯生きてるのに!!あんたにはそれに応える心みたいなのはないのかよ!!』


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「…………………………」


 離れゆく古巣……いや、巣というほど長く働いてはいなかったあの建物が見えなくなるまで、見えなくなっても私は考えていた。


(あれは、誰が悪かったのだろう……)


 私は私に出来ることを惜しみなくやり尽くしてきたという自負がある。それでも、私が受け入れられるということはついぞ一度もなかった。なら、私にもなんらかの落ち度があったと考えるべきだろう。


「……やっと着いた」


 この新天地で、私には私以上に頼れる存在はいないのだから。


〜大森林入口〜

ギルド・森林最奥支部—未だ名は無い—

一話にまとめるつもりだったのに跨いでしまった。てへっ

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