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私のママはやっぱりチート



 光の中から現れた圧倒的な存在が、逃走を諦め硬直している私を抱きしめる。

 

「クゥウ〜キちゃ〜ん、久しぶりね〜会いたかったわ。どうして王都にいるの?」

 

 抱きしめる力が強く痛い。

 (私も強く抱きしめる)

 

 約2年ぶりの再会で嬉しいのはわかるが痛い。

 (一応抵抗はしない)


 いい匂いがする。柔らかい。

 (うれしい)

 

「久しぶりママ、学校の試験を受けにきたんだよ。」

 

 痛いのを我慢して答える。

 

「魔王クラスの魔力が王都に近づいてくるから、ママびっくりしちゃったわ」

 

 一応隠蔽している私の魔力が見破られている。

 

「キイナ、久しぶりニャ。」

 

 ミミロさんもママと知り合いみたいだった。


「クウキとキイナは親子だったニャ?」

 

 ミミロさんは驚いた表情でママに顔を見る

 

「ミミロちゃん!」

 

 ママはミミロさんと目が合った瞬間ミミロさんをモフり出した。

 

「やめるニャ〜、クウキ助けるニャ〜」

 

 私には無理だ、そんな目で見ないでくれ。


 誰にもママは止められない

 (私もミミロさんをもふもふしたいのに!)

 

「ミミロちゃんがクウキを連れてきてくれたの?」

 

 ミミロさんをモフり終わったママは、私たちと一緒に馬車に乗り検問の列に並ぶ。

 

「そうニャ、フリーグに依頼されたニャ」

 

「そうなの……私に言ってくれれば一瞬で王都までクウキを送れるのに」

 

 そんな不服そうな顔されても、パパと私にはママへの連絡手段がないから無理だ。

 

「ママお土産あげる」

 

 ママの機嫌が悪くなりそうだったので、咄嗟にクマの魔石を渡して機嫌を取ろうとする

 

「あらエンペラーグリズリーの魔石じゃない、クウキが倒したの?」

 

「そうだよ」

 

 ママの笑顔が怖くなってきた。

 

「ミミロちゃんの前でスキルを使ったってこと?」

 

 ママには全てバレてると思い魔石を出してしまった……

 

 正直言って、この時完全にママとの約束を忘れていた。


「あっミスった」

 

 私のスキル「万物の鏡」は見たり聞いたりしたスキルをなんでもコピーできるスキルで強すぎるが為にママ以外の前で使ってはいけない約束だった。

 

 しかしそれだと不便なのでスキル「上級剣術」と「氷の担い手」だけ人前で使うことを許されている。

 

「氷の魔法しか使ってないよ」

 

 嘘はついていない。


 しかしクマを倒したときに使った「氷槍の乱舞」は「氷の担い手」ではなく上位スキル「氷界の聖騎士」の魔法だ。

 

「下位スキルでエンペラーグリズリーを討伐できる訳ないでしょ、クウキちゃんはいつから嘘をつくようになったの?」

 

 いや、嘘はついてない……

 

 ママの視線がミミロさんに向く

 

「ミミロちゃん、クウキちゃんの強さについては他言無用よ?」

 

「もちろんだニャ」

 

 ミミロさんは、ママの機嫌が悪くなったのを感じとってとても良い返事をした。

 

「クウキちゃんには、自身の立場を教え直す必要がありそうね!」

 

 ママ……笑顔で殺気を発しないで、怖すぎるから。

 

束縛の断絶(クロノス)、転移」

 

 怒ったママはスキル束縛の断絶(クロノス)で馬車ごと私達を転移させた。


 ここはどこ?

 

「ここは私の家の庭よ」

 

 馬車から降りると目の前に中々大きいお屋敷が建っていた。

 

 うわぁ〜お金持ちの家だぁ。

 

「ミミロちゃんはこれで依頼達成ね?」

 

 笑顔で威圧してる……

 

「そうですニャ、ではギルドに報告してきますニャ」

 

 ミミロさんは逃げるように門から出ていった。

 

「じゃあ私も……」

 

 ミミロさんを追うように門に向かうとママの冷たい手が肩を掴む。

 

「クウキちゃんはどこに行こうとしてるのかしら?」

 

「学校の下見に……」

 

「明日の朝、私が連れていってあげるから大丈夫よ」

 

 はい、もう諦めます。


 こわいけど覚悟決めてました。


 久しぶりにママの説教を堪能しようと思います。

 

 心を強く持ち屋敷の方を向くと、ママが満面の笑みで手を引いてきた。

 

「見せたいものがあるの」

 

 ママに手を引かれ屋敷の中に入ると、すぐに地下室に連行された。

 

「ここは?」

 

 地下室には家具などは一切なく、ただただ広い空間が広がっている。

 

 変わったこといえば、部屋全体に強固な結界が張ってある。


 (私がお昼寝の時に張る結界よりも硬いんだろうなぁ)

 

「すごいでしょ?」

 

 ママは体をほぐすような動きをしながら部屋の中央に立っている。


 大体何をするかわかった……

 

 ママとの模擬戦は2年ぶりだなぁー

 懐かしいなぁー

 嫌だなぁー


 軽いトラウマが蘇ってくる。

 

「クウキちゃんが全力を出しても壊れない部屋よ、クウキちゃんの過ごしてきた2年間を見てあげる」

 

 ママとの戦績は47勝1256敗


 ルールはお互い体に結界を纏って、先に纏った結界が壊れた方が負け

 お互い全力をだすと街が消し飛ぶので攻撃系スキルの使用は禁止。


 魔力を飛ばしたり、魔力を拳に込めて殴り合うシンプルな地獄。

 (戦闘訓練ではなく魔力を制御する修行らしい)

 

 幼い頃から戦い続けてきて、10歳くらいから20回に1回は勝てた。


 昔に私とは違う、今日は勝ちに行こう。

 

万物の鏡(ユニバーサルミラー)、結界」

 

 私が結界を纏った瞬間、数え切れない量の魔力弾が飛んできた。


 魔力を足に込めて跳躍し避ける。


 それを読んでいたママが目の前で拳を振るかぶる。反射的に私も拳を突き出した。

 

 魔力の衝突とともに、両者後方の壁に叩きつけられた。


 結界はまだ無事だがまともに受けていたら負けていた。

 (この容赦なく攻撃してくる感じ……懐かしいなぁ……)

 

「隙だらけだよママ」

 

 体勢を立て直そうとしているママに、今度はこっちから無数の魔力弾を打ち込む

 

 しかしママの魔力弾に相殺されてしまう。

 

「さすがね!少しヒヤヒヤしたわ。でも無駄な魔力弾が多いわね。もっと的を絞りなさい!」

 

 褒めてくれてるのはわかるし、アドバイスは嬉しいけど、少しは息を切らしたり、汗をかいたりしてほしい……

 

 ママは成長を見せてこいと言わんばかりに、ニヤニヤしながらこちらに向かって来る。

 

 心配しなくても、ちゃんと見せてあげるよ。

 

 私は再び魔力は足に込めてママに急接近すると、全力の連打を繰り出す。このスピードについてこれる?

 

「少し速くなったみたいね」

 

 私の拳を捌きながら余裕を見せているママに、

 私は敗北をプレゼントする

 

 戦いが始まってから今まで圧縮した魔力を霧のように散布し続けていた

 

 今部屋全体に私の魔力が満ちている。

 

 上下左右360度からの攻撃にママは耐えらてるかな?

 

「爆ぜろ」

 

 圧縮していて魔力が一気に膨張し爆発する。

 

 眩い光と轟音、そして凄まじい衝撃が地下室全体を襲い、私とママを壁に叩きつける。

 

 我ながら凄まじい威力に驚いている

 ママはもっとビックリしているに違いない。

 

 衝撃の後

 ママの結界、私の結界、地下室の結界も吹き飛んでいた。

 

「私の勝ちだね」

 

 床に倒れているママを起こしながらドヤ顔を決める。


 ダンジョンを知ってからの数年間、ダンジョン内でお昼寝する為に鍛えた私の魔力量を舐めないでもらいたい。

 

 私もめっちゃ叩きつけられて体中が痛い。

 

「もう完敗よ、私の娘は魔王にでもなるのかしら?」

 

 疲れ切ったママが微笑みながら抱きしめてくれる。


 ミミロさんとの旅で、

 ママとの模擬戦で、

 なんとなくわかった。


 たぶん戦闘面に関していえば、私はこの王都の中でも群を抜いて強い。


 この力を使えば何にだってなれる。

 不可能はない


 けど無理なの

 (楽していきたいの!)


 私は働きたくない……

 誰かのヒモになりたい……

 

 

読んで頂きありがとうございます。

次回もよろしくお願いします。

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