私達が守ったもの
38話 私達が守ったもの
心地よい風を受けながら私は2人の少女を見下ろした。
まぁ、とりあえず運ぼう……
転移の魔道具。
行き先は学長室……
扉を勢いよく開ける。
「ただいま〜。勝ったよっ」
担いできたクウキとルーアをソファに寝かせる。
「これここの生徒でしょ?隠してたことを吐いてもらうよ。」
生徒にゆっくりと近づくナツメ。
「お主……やっちまったなぁ……」
ナツメの髪が逆立ち、部屋の気温が下がる。
この魔力……抵抗できない。
立ったまま身体が動かない……
凍った?
「これは延命処置じゃ。お主がキイナに殺されないようにな。」
声が出ない。
魔力が動かない。
なにもできない。
延命……?
思考も動かない……
「パリィン……」
空間が割れた……?
「キイナよ……さすがに気づくか。」
ヒビが広がり、隙間から圧倒的に重い魔力……
「……マイヤ、覚悟を決めるのじゃ。」
魔法陣が現れ、強烈な光が部屋を包む……
光が止み目を開ける……
キイナさん……?
世界最強がそこに立っていた……
ソファを見て、私を見る。
静かに口を開く……
「ねぇ、そこに寝てるのはクウキなの?」
「そうじゃよ……」
「マイヤがやったの?」
拘束されてなかったら、逃げていた……
逃げたら私は……
「……」
「ナツメちゃん拘束解いて。」
「じゃが」
「大丈夫、私は冷静よ……」
ナツメが扇を振る。
「はぁはぁ……キイナさんお久しぶりです。」
息を整える。
「いいから質問に答えて……」
「私がやりました。」
「なんで?」
「……ダンジョンを復活させるほどの力を感じたので。」
「確かにすごい力よね……」
「はい!。ギルドもあの力を危険視してまして。」
「じゃあギルドの判断に従ったの?」
「……はい、私も実際に見て……」
「なにか被害が出た?」
「……いえ、でもダンジョンが……」
「復活したんでしょ……攻撃された?」
「……いえ」
「被害も出てない。攻撃もされてない……どこが危険なのよ?」
「クウキの力は容易く王都を壊滅させることができます!そんな存在を放置していい筈がありません!」
「誰が決めたの?」
「……私の勘が」
「勘だけで、あなたは14歳の女の子をここまでしたのね。」
「しかし私がやらなければ……」
「クウキは友達と遊んでいたわね。」
「……しかし私は」
ナツメの目を見る……
助けて欲しかった。
「強くても弱い者がいる……妾はそう言ったな?」
言葉の意味がやっとわかった。
クウキは強い、強いのに……
キイナの手が肩に置かれる。
「そもそも、王都を壊滅させる存在に無傷で勝てる訳がないじゃない……」
「……戦いじゃなかった。」
私の勘がなんだ。
危険だと思ったからってなんだ。
私は友達想いの女の子を一方的に……
違和感の正体に気づいたとき、
私は膝から崩れ落ちた。
涙はすでに出ていた。
「呆れた。」
「私はその子になんてことを……」
「マイヤ……あなたは一流の冒険者として完璧な仕事をしたわ。鋭い洞察力と素早い判断で未来を救った。」
「……キイナさん」
「でもそれじゃダメ。あなたはS級なんだから、強いんだから。肩の力を抜いて、余裕を見せなさい。」
「そしたらそんなもの……流さなくなるから。」
キイナさんの手が温かいことに気づいた。
私は……まだ弱かった……
違う……
今やるべきことは後悔じゃない。
「早くクウキの手当てを!」
クウキに駆け寄る。
「こら!余裕を持ってって、言ったばかりでしょ!」
「しかし……」
「これに関してはこちらが謝るわ……」
「えっ?」
「クウキ、起きなさい!」
………
「あなた、ダンジョン改造したこと、マイヤを使って隠そうとしてるでしょ?」
……やばい、バレてる。
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