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私の失敗

36話 私の失敗


 数日前……学園長室に赤い髪の影——


「久しぶりっ!ナツメちゃん!」


 勢いよく扉が開き

 そのままソファに倒れ込む。

 

「マイヤ……なんのようじゃ?」


「解ってるくせに……ダンジョンの件に決まってるじゃん。」

「……お主が行くのか?」


「そうだよ?感じたでしょ、消滅したダンジョンを一瞬で復活させた魔力……私達クラスじゃないと無理じゃない?」

「そうじゃな……」


「なんなら一緒にどう?」

「行くわけないじゃろ……」


「そうだよね……それで?なにを隠してるの?」


 声色が変わり

 部屋に魔力が満ちる……

 

「……別に何も隠しとらんわ。」


「本当に……?」

 鋭い眼光がナツメに刺さる


「マイヤよ。それは妾を脅しているのかのぅ?」


 部屋に満ちる魔力の色が変わる。


「違うよ知りたいだけ」

「……ほう?」


 2種類の魔力が渦巻く、部屋。


 窓が鳴り、書類は舞う


 その中で睨み合うS級達。


 お互いの口角は上がっていた。


「……やめじゃ!部屋が壊れる!」

「そうだね。戦いに来たわけじゃないしねっ」


「まぁ自分の目で確かめてくるんじゃな。」

「そうするよ……できれば一緒に行きたかったけど……」


「1人で大丈夫じゃろ。」

「わかったよ。無理そうだったらまたくるねっ」


 マイヤが扉に向かう。


「マイヤよ……強くても弱いやつもいるんじゃよ……」

「ふっ……なにそれ?」


 扉が閉まる……


 部屋が光り

 もう1人のS級が姿を現す。

 

「マイヤにバレちゃったわね」

「そうじゃな……」


「これで反省してくれたらいいけど……」

「クウキには妾から忠告しておくかのぅ」


「ありがと……」


 

 

 そして現在……クウキの花畑——


 

「ちょっと!勝手に鑑定するんじゃないわよ!マナー違反でしょ!」


「あっ、鑑定されてるのわかるんだ。さすが元剣聖の孫」

「なんでわかるのよ!」


「それを見たらわかる。」

 ルーアの腰の双剣に目を落とす……


「懐かしいなぁ……子供ながら憧れたよ。その剣を持った剣聖にねっ」

「あんた私のお婆さまを知っているの?」


「私も一応冒険者だからね。剣聖くらい知ってるさ……で、剣聖の孫……」

「ルーアよ!」


「ルーア、もう一度聞く……どうやってここに来た?」

「だから、ダンジョンを彷徨ってたら、魔法陣踏んで。気づいたらここに居たって言ってるでしょ!」


「それは今日の話し?」

「今日はクウキが見つけた転移門を潜って……」


 2人が私を見る。


「……キノコ探してたら見つけた。」

「ちょっと!クウキも鑑定したでしょ!」

 やめてほしい……


「ごめんごめん。でもねルーア……ここはダンジョン〈聖霊の箱庭〉の最深部だよ?常識なんて通用しないんだよ?」


「確かにそうね。私が間違ってたわ……帰るわよ、クウキ!」

 振り向いて私の手を引く……

 

「なんだ、意外と素直じゃん。」

「先輩の言うことは聞くものだわ!」


「じゃあもう一つ……ルーア!それを置いていけ!」


 ルーアが不自然に止まる……

 

「……ルーア?」

 

「それだよ……今ルーアが手を引いてるそれだよ。」


 あっ……

 私か……


「クウキ……マイヤさんに話してあげて!」


 私を差し出すように背中を押す。


 ルーアはそんなことしない……

 

「ごめん、ルーア……洗脳解除……」

 

 洗脳されてたルーアがその場に倒れ込む。


 私のせいだよね。


 私の結界がルーアを包む。

 

「……やめてよ。」


「友達が洗脳されて、怒った?」


 空が曇り

 風が強まる……


 それを見て笑うマイヤ……


「やっぱり君だったんだね……」


 ゆっくりと剣を抜く。


「君、何者?」


「……戦うの?」


「君は討伐対象だからね」


 ……そっか

 

「私はクウキ。」


 顔を上げる……

 

「……ただの女の子だよ。」


 綺麗な花園は荒野に変わっていく……


 私達は真っ直ぐ目を見ていた。


 

読んでいただきありがとうございます

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