私ともう1人の努力家
34話 私ともう1人の努力家
青い空、
心地良い風、
好みの花の香り、
最高の寝床……
のはずだった。
「クウキ!なんであんたがここにいるのよ!」
こっちのセリフだよ……
「……昼寝」
「なんでダンジョン内で昼寝してるのって聞いてるの!」
いやなんで入ってきてるの……
「……キノコ探してたら、偶然見つけたから」
「やっぱりダンジョン来てるじゃない!嘘ついたわね!」
「……ごめん」
「いいわよ!それにしても、心地のいい場所ね!綺麗で、暖かくて……」
「そうでしょ……ルーアも一緒に昼寝……」
「嫌よ!」
「え?」
「ここに居ても強くなれないでしょ!」
「でも今日は休日……」
「だからなによ!早くここから出るわよ!修行しなきゃ!」
「わかった、それならそこの魔法陣踏んだら出れるよ……」
ルーアとは分かり合えないな……
花畑に転移門を開く……
「なんだ出れるのね!」
「じゃあまた明日……」
「せっかくだし、ここで修行してこうかしら!」
「でも早く出たいって……」
「こんな簡単に出れるなら焦らないわよ!しかもこの環境修行に持ってこいだわ!」
「……えー」
「ちょっと、待ってね……」
背負っていた大きなリュックを探り出す……
「ほらっ!」
短い木刀が2本、飛んできた……
ギリギリ受け止める。
「……なにこれ?」
双剣を構えるルーア
「あなたも双剣使いだったわよね!構えなさい!」
「……そうだけど」
久しぶりに握る……
「行くわよ!」
振り下ろされたルーアの木刀
すかさず合わせる
「カンッ……」
「私の不意打ちをガードした……
やっぱり、ただの寝坊助じゃないわね!」
「偶然だよ……」
ルーアの素早く正確な木刀が再び私を狙う。
「カンッ!」
「良いわね!」
「ありがと」
カンッ……カンッ……カカンッ……
同年代との模擬戦は初めてだなぁ
満開の花畑に木刀を振るう二つの影——
その心地よい音はしばらく続いた……
カンッカンッ……カンッカカカカンッ……
長いな……
カンッ!
私の木刀が飛ばされ、花びらが舞う……
「はぁ……はぁ……あんた強いのね。」
仰向けで倒れるルーアは笑っていた。
「ルーアも強かった……」
「そんなことないわよ!」
「……正確で、迷いがない剣筋……少しハルと似ていた……」
「……そんなこと……ないわよ」
何時になく歯切れが悪い。
「私とハルが似ている訳ないじゃない。あの子は特別なのよ!私とは違うわ……」
「そうかな……」
「そうよ!」
「私から見たら2人とも似たもの同士だよ。」
「……どこがよ」
「ルーアもハルも毎日修行してる。授業の前とか休日とか……私には真似できない。2人とも特別……」
「クウキはハルをちゃんと見ているのね……」
「……ルーアも見てる」
隣に寝そべり横を見る
銀髪の小柄な少女は腕で目を隠した……
私が作った青空に太陽なんてないのに……
「……クウキも特別よ」
「え?」
「……普通ダンジョンで昼寝なんてしないもの。」
「そうなの?」
「そうよ。」
模擬戦で汗をかき、
同じ空を見ながら寝転ぶ……
いつもより気持ちがいい……
そういえばここは最高の寝床だった……
2人は夢に落ちた。
——
「クウキ!起きなさいよ!」
「あれ……ここは?」
「なににボケてるのよ!帰るわよ!」
ルーアが手を引っ張る……
「ちょっと、私はここでお昼寝の続きを……」
「なに言ってんの!ダンジョンに1人でおいておける訳がないじゃない!」
「……やっぱりハルと似てる」
「うるさいわよ!」
私が作った秘密の転移門……
「ここに出るのね……意外と学園に近いじゃない。」
「そうなの」
日が落ちて灯りが灯る街道を寮に向かって歩く。
ルーアの足取りは少し速く、手を引かれる……
学園の門が見えてきた……
人影が一つ
「あれクウキさん、ルーア今帰りですか?なんだか珍しい組み合わせですね。」
「あら。ハルじゃない!別に私がクウキと一緒でもいいでしょ!」
「別にダメって言ってませんが……」
「ハルはどこ行くの?」
「今日はずっと寝ていたので、少しランニングを……クウキさん達はどちらに行ってたんですか?」
「秘密よ!」
「秘密……」
「んー……花畑……で修行ですか?」
「なんでわかったのよ!」
「リュックから木刀がはみ出てますよ。あとここです!」
私の髪から花びらをとる。
ルーアは大きなリュックを押さえる。
「……ありがと」
「でもルーア、あんまり無理したらダメですよ。休日なんだから少しは休みなさい」
「うるさいわね!あんたに言われたくないわよ!」
「ふふ……ではまた夕食で!」
「……じゃあね」
ハルは走り去った……
「ハルもルーアのこと見てる……」
「……うるさいわね」
「……今日は楽しかった」
「そうね!来週もあそこ行くわよ!」
「……えっ」
「決まりね!」
私の休日はこのキラキラした笑顔に奪われた……
「……わかったよ」
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