私と王女の秘密
32話 私と王女の秘密
「アクア、あなたが私の契約精霊なんでしょう……?」
窓から夕陽が差し込む……
俯く、アクア
「……」
「最初に会ったとき、私達はクウキさんによって魔力隠蔽された状態でしたの。」
「転移門を管理しているグランはともかく、弱ったアクアに隠蔽の突破は難しいですの。」
「なのにあなたは私の顔を見て、王族と呼んだ。」
エリッタの目は本質を視る……
「……そうよ。私の本当の名は、アクリア・レイギス。代々王族に仕える契約精霊よ」
「エリッタが産まれる前からあなたを知っていたわ。」
「……ごめん」
絞り出した言葉は、少し震えていた。
エリッタの顔が見れない……
「……なんですの?」
「ごめん、エリッタ……」
精霊の涙が床に落ちる……
「アクア、顔を上げますの!」
目の前の少女は笑っていた。
「アクアが謝ってる意味がわかりませんの!正体を隠してたくらいで私は怒らないですわ!」
「違うわよ!あたしがいない14年間、あなたは苦しんだでしょ⁉︎」
「確かに、いろいろ言われました。お前は王族じゃない〜とか、第二王女は出来損ないだ〜とか。」
「精霊がいないからって、やばい家庭教師もつけられましたわ……」
「……なんだか、腹たってきましたわ!」
「ほらね。あたしが契約しなかったからでしょ……」
「いいえ……あなたがいない14年間は私を強くしましたわ!」
「そして、14年間アクアは人々を守り続けた。」
「だから前を向いて、今度こそ私と契約してください!」
「……できないわ」
「……えぇ?」
「できるわけないでしょ!あたしは、あんたの友達を犠牲にしてここにいるのよ!」
「あぁ……その事ですか……」
「ダンジョンに戻らないと……あの子死ぬわよ!」
窓に向かって飛ぶアクア。
「アクア!」
エリッタが鷲掴みにする。
「私の友達を信じて欲しいですの!」
「信じる……?クウキからはなんの魔力も感じなかったわ!信じられるわけないじゃない!離しなさい!」
「ではこうしましょう。あと少しご飯の時間までに帰ってこなかったら探しに行きましょう!」
「……エリッタ、なにを言ってるの?」
「クウキさんは大丈夫ですの!」
……寮の床が光る。
「転移門……?」
「エリッタ!逃げなさい!ダンジョンと繋がるわ!」
アクアが僅かな魔力で結界を張る。
魔法陣から影が現れる……
「あれって……」
「なにしてるの!早く逃げなさい!」
影が実態になる。
キノコの香り?
「ふぅー、疲れた……」
抱えてるキノコを机に置く。
「クウキさん!」
「ただいま……エリッタ」
アクアの目が開く……
「ちょっと!なんでここにいるのよ⁉︎」
「……キノコ取れたから?」
「クウキさん、グランとは戦ってないですの?」
「うん……ダンジョン消したくないし。」
「……そうですの」
「……エリッタ、引いてる?」
「いや、そんなことないですの!ただ、どうやってグランを説得したのか気になりますわ!」
「説得もしてないけど……」
「じゃあ、どうして……」
「なんか、花畑に魔力流したらキノコ生えるって言われたから流して……
もういいって言われたけど、キノコ生えなくて……
少し全力で流して……
キノコ1個生えてきて……
もうやめろって言われて……
でもキノコ足りないからもっと流した。
そしたらいっぱい生えてきた。
ついでにグラン消えてた。」
(ダンジョンも消えた。でもコアに魔力流して復活させた。)
怒られたくない。
「まさか……ダンジョンも?」
……
「……ダンジョンは一応残った。」
一回消えたけど……
「疲れたからもう寝るね……」
ベッドに入り込みイビキをかき始める。
「……ね?大丈夫でしょ?」
「……たぶんダンジョンが大丈夫じゃないわよ。」
寝顔を覗き込む2人……
「私達はこの天使を守らなければいけないですわ!」
「そうね、天使から世界を守らないとね。」
「じゃあ契約ですわね!」
「お願いするわ!」
契約
私、聖刻アクリア・レイギスは
汝、エリッタ・レイギスに忠誠を誓い
王たる道を示します。
互いの魔力が共鳴し、暖かな光が部屋を包む……
手の甲にほんの僅か……覚悟の痛み……
この日、狭い寮の一室に、王国の未来が生まれた。
後日……
「ここが先生の家ですの!汚いですの!」
「エリッタさーん、これは罰ですよー。はしゃがないで下さーい。」
「……仕事して」
「クウキさんも早く中に入ってきてくださいねー」
「え、ほんとに……」
「ほんとですよー」
「先生ー、これはどこにおきますのー?」
「……あっ、ゴキブリ」
「マイヤさん、久しぶりですねー」
「先生ゴキブリにマイヤって名付けてますの?」
「そうですよー」
「狂ってますわー」
「……おうちかえりたい」
本を片すエリッタの手の甲には、聖霊の刻印が刻まれていた。
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