私達と精霊ダンジョン
30話 私達と精霊ダンジョン
ダンジョン攻略を決意した夜……寮にて
「叡王の証、獅子王の仮面」
獅子の魔力がエリッタを包む。
エリッタの姿が獅子型の獣人へと変わる。
「どうですの、これで私だとわからないはずですわ!」
「……そうだね」
「クウキさんにもかけますわ!」
「私は大丈夫……隠蔽できる……」
認識阻害……
「……ほら」
「……クウキさん?」
「ここだよ……」
「……完全に消えてましたわ。」
「これでダンジョンには入れそうですわね!」
「そうだね」
「では行きますわよ!」
「お、おぉー……」
翌朝、ダンジョン〈聖霊の箱庭〉転移門前……
「すごいですわ……誰も気づいてないですわ……」
「……喋りすぎ」
堂々と門番の横を通り、魔法陣を踏む。
「転移ですわ!」
眩しい……
———
魔力濃度が上がる。
……成功した?
ゆっくりと目を開ける
見渡す限りの花畑に高い木が数本……
そして遥遠く、霧の中に
塔の影が一つ。
「すごいですわ……ほんとうにダンジョンに入ってしまいましたわ!」
「認識阻害……最強……」
「ありがとうございます。クウキさん!」
抱きついてくるエリッタ。
苦しい……
「で、どうする?」
「そうですわね……ひとまず、あの塔に行きたいですわ!」
「……わかった。」
花畑を進むこと数分……
異変に気づく。
「このダンジョン、なんか変……」
「どうしたんですの?」
「魔物もいないし、他の冒険者の気配もない……」
「そうなんですの!」
「あんたらみたいな人間に、誰が近づくのよ?」
「……声?」
「クウキさんも聞こえましたの?」
「ここよ!ここ!」
「エリッタ、上……」
「……もしかして精霊ですの?」
視線を上げると手のひらサイズの女の子が浮いていた。
「気づくのが遅いのよ!」
「申し訳ありませんわ、精霊さん!」
「アクアよ!」
「ごめん、アクア。私はクウキ……」
「エリッタですの!」
「妙な気配がすると思ったら、あなた王族ね!」
「そうですの!」
「アクア……ここはどこ?ダンジョンの中?」
「なに言ってんの?当たり前じゃない!」
「……でもなんか変。」
「よく気がついたわね、ここはダンジョンに相応しくない者が転送される隔離エリアよ」
「今回は王族の魔力に反応したみたいね!」
「普通のエリアには行けないんですの?」
「そうね!王族は危険だもの!」
「それは困りますの……このダンジョンを司る大精霊に会いに行きたいのですが。」
「それは無理ね。」
「そうですの……」
「ねぇ、アクア……」
「なによ」
「アクアはいつからここにいるの?」
「そんなの、忘れたわ……」
「この花畑、精霊には結構キツいんじゃない?」
この花畑、魔力を吸ってる……
「あんたには関係ないわよ!」
「……でも」
「話は終わり……ここから出て行って!」
目の前が真っ白になる……
「……ここは寮?」
妖精に転移させられた……
窓の外はまだ明るい。
「クウキさん、無事ですの?」
「大丈夫……エリッタは?」
「無事ですの……すみません、私が王族なばっかりに挑戦もさせてもらえませんでしたわ……」
「そうだね……ダンジョンにあんなエリアがあるなんて知らなかった……」
「違うダンジョンに行ってみる?」
「いえ、あそこがいいですわ。気になることもありますし……」
「なぜアクアさんは、私が王族だとわかったのでしょう?」
「……私も、おかしいと思った。認識阻害は常にかけていた。魔力なんか漏らさない……」
「まだ午前中ですの、もう一回突撃しますの!」
「……そうだね、大精霊に会いに行こう」
あの妖精はエリッタしか見て無かった……
魔力の塊である妖精には命を削られるような場所……
———
塔の中……
薄暗い窓のない部屋
「あの子ったら……あんなに大きくなって……」
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