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王女の秘密

29話 王女の秘密


 

 ダンジョン聖霊の箱庭受付

 

「大人2人、お願いしますわ!」


「学生ギルド登録証を出して」

「ないですわ!」

「え?」

 

「私とクウキさんは特別なのでギルド証持ってないですの!」

「ギルド証がない奴は、ダンジョンには入れねえぞ……」

 

「エリッタ……諦めよ……」

「こうなったら強行手段ですわ!」


「ダメだよ。怒られるよ……」

「いや行きますわ。クウキさんとなら……」


 空間が軋む……


 はい……


 終わった……


「エリッタ様、ご機嫌よう。」

「あらキイナ様、ご機嫌ようですわ……」

 

「あなたの護衛と先生がどうしてもエリッタ様に会いたいらしくて、連れて来ましたよ。」


「エリッタさーん、クウキさーん、この課題でダンジョンに入ろうとするバカは、初めてですよー」

「エリッタ様……もっと自分の立場を考えて行動してください。ダンジョンがどれだけ危険かわかっているでしょう!」

 

「クッ……クウキさん、逃げますわよ……」

「……ごめん、むり」

「いつのまにか正座に!」


「キイナ様、クウキさんは私に無理やり連れてこられただけですわ!怒るなら私を怒って欲しいですわ!」

「エリッタ……」


「はぁ〜……ちょっと待ってなさい。」


 防音結界が大人達を囲む。

 

「フリアス、リィネちゃん、この2人どうする?

 たぶん諦めないわよ……監視しなきゃ」

 

「私は他の生徒も見なきゃいけないのでー」

 

「キイナ様、そもそもギルド証がないのでダンジョンには入れないのではないですか?」


「……うん、普通はそうなのよねー」

「……ですよねー」


「確かにエリッタ様スキル〈叡王の証〉にはその可能性がありますね……」


「……」


「わかりました。私が教師として責任持って制御します。」

「そんなことができるの?」

「お任せください、師匠。」

 

 結界の外では……


「クウキさんチャンスですわ!」

「エリッタ……」

 私は首を振る


「そうですわね……」

 ……

「まさかキイナ様が出てくるとは思いませんでしたわ!」

「ごめんね」


「……なぜクウキさんが謝るんですの?」

「それは……あっ結界が解ける」


「2人とも集合ですよー。」

「はいですわ。」

「……はい」


「他の皆のように草原とかで採取してもらえませんかー?」

「私達にそんな時間はありませんわ!」


「そうですか……ではダンジョンでの採取は禁止にします。今後入ろうとするだけで罰則を与えますよー。」

「もうあの研究所は綺麗ですわ!」

 

「甘いですねエリッタさん……私には自宅とあと一つ研究室がありますよー」


「エリッタ、ダンジョンは諦めよ……」

 

「……そうですわね。」


「高ポイントの薬草が欲しかったら図書室に行ってくださいねー。ダンジョン以外の採取場所が載ってるかもしてませんよー」


「わかりましたわ!クウキさん、図書室に行きますわよ!」

「待ってよエリッタ……」



「フリアスあなた、ちゃんと先生なのね」

「師匠の前では少し恥ずかしいですねー」


「ところでリィネさん、どうしてエリッタ様はダンジョンにこだわっているのでしょうか?」

「フリアス先輩も気になりますか……」

「そうね、私も気になるわ。」


「……そうですね。お2人は王族が生まれつき、上位精霊と契約していることは知っていますか?」

「らしいわね。王族の証ってやつでしょ。」

 

「そうです。でもエリッタ様にはそれが無いんですよ……」


「なるほどですねー……」

「このダンジョンで精霊契約しようとしているわけねー」

 

「今回は無関係の他人を巻き込もうとした。しかもまだ成長中の学生を……なんだか焦ってるように思います。」


「リィネさん、たぶんエリッタさんは焦っては無いと思いますよー」

「そうね。クウキの力に気づいているのね……」


 さて、クウキ……

 あなたはどうするのかしら?



 図書室にて……


「クウキさん、今日はすみませんでしたわ……」

「こっちこそごめん……」


「では……薬草学の本を……」

「そうだね……」


 そこから数刻、2人の間にはページをめくる音だけが響いた……


 こんなに静かな時間、久しぶり。


 私はこれが好きだったはずなのに……


 エリッタの瞳は、本なんて見てなかった。


 ママ……

 私、エリッタを護るよ。


「……行こう、ダンジョン」

「え?……あんなに怒られたんですのよ。」


「大丈夫……慣れてる」


「……私が王族だからですか?」


 エリッタの横顔に綺麗な金髪がかかる……


「気づいていますわよね?私はあなたの力を利用しようとしてますのよ……」


「知ってる。先生との闘い、寝たふりしてくれたんでしょ?」


「でも、私になにも聞かなかった。誰にも言わなかった。」


「私も気づいていた……エリッタが何か隠してる事……」

 

「そんなことで、私とダンジョンへ行くのですか……」

「そんなことじゃ無い。1人で抱え込むのは辛い。」


「エリッタの悩みを解決する。」

「そしたら2人で霊宝キノコ採って、また先生と掃除しよ。」

 

「……クウキさん。あなたはアホですわ!」

「そうかもね。エリッタは?」


「……私も……アホですわ……」


 クウキさん

 あなたはほんとうに……


 

 優しい人ですわ。

 

 

 

読んでいただきありがとうございます

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