わたしと私の合格発表
私とわたしの合格発表
「少し早かったですかね……」
わたし、ハル・ヒラハシヤはレイギス魔法学園の合格発表に来ていた。
「入学試験の混雑が嘘のようですね。」
「ハル様、発表の4時間前でございます。」
「わかっています。文句があるなら、リナは先に帰ってもいいですよ。」
「ではそのように……」
「リナ……」
……暇になってしまいましたね。
「魔法創造、小石……679」
「魔法創造、小石……680」
あと少しで新記録ですね……
「こんなところでも修行ですか?ハル」
(ちょっと、邪魔……)
ふと、顔をあげると金色の剣が光る。
「アルデリア様⁉︎ご無沙汰しております。もしかして、エリッタ第二王女の護衛ですか?」
「そうです。エリッタ様が合格発表についてきて欲しいとおっしゃったので……ハルも14歳でしたね。」
王国騎士にしてA級序列4位、リィネ・アルデリアをこんな簡単に動かせるなんて、流石は王族ですね……
「わたしも合格発表を見に来ました。お互い、合格していると良いですね」
「ハルなら大丈夫ですよ!エリッタ様も優秀な家庭教師がついていたので大丈夫だと思いますが……少し心配ですね」
この学園は王族だろうが平気で落とす。
(ん?優秀な家庭教師?)
「アルデリア様が家庭教師をなされたのでは無いのですか?」
「違います。私がエリッタ様に指導できることなんて無いですよ。エリッタ様の家庭教師はハルもよく知っている人ですよ」
(よく知っている人?)
「それって……」
わたしの曇っていく表情を見て何かを察したのかリィネが笑みを浮かべる。
「そうです。マイヤ・マトローナですよ」
(あの女か……)
「エリッタ様もマイヤの名を聞くと……マイヤはいい子なんですけどね……」
あの女がいい子?
ん?魔力?
「叡王の証、獅子の門」
「お辞めください。エリッタ様!」
「でも今あの女の名前が……」
「大丈夫です。マイヤはいません!」
(大丈夫です。お気持ちわかります。)
「少し取り乱しましたわ。ところでリィネ、なぜあの女の名を?」
さっきと違い透き通った声が聞こえた。
「エリッタ様、ハル・ヒラハシヤです。ご無沙汰しております。」
「ハルさんでしたか、久しぶりですね。しかし私たちはもう同級生なので敬称は不要ですわ」
エリッタは、その美貌を振り撒きながらハルの手をとる。
「これからよろしくお願いしますわ。ハル」
「こちらこそよろしくお願いします。エリッタ」
(これ……エリッタ様、落ちてたらどうしましょう……)
「これよりレイギス魔法剣術学園の合格者を発表します。」
エリッタと師匠の話で盛り上がっていると、合格者の名前が書かれた大きな紙が空中に浮かんだ。
いつのまにか門の前に集まった人々は声をあげる。
(ハル……エリッタ……あっルーア受かってます……クウキ……)
「ハルの名前がありましたわよ。左の1番上……首席じゃないですか!」
(ハル?あっ、わたしか!)
「ありがとうございます、合格してて良かったです。エリッタの名前もこちらにあります。」
首席
心の重みが少し取れる
もう1つ……
「あっ……よかったぁ……」
1番下
そんなところにいたんですね……
「私達は城に戻りますが、ハルも送っていきましょうか?」
「いえ、わたしは少し残ります。」
「そうですか、ではまた学園で。リィネ行きますわよ。」
(約束覚えていますよね……)
「魔法創造、小石……716」
「魔法創造、小石……717」
「ハル様、お迎えに参りました。」
「リナ……もう少し……」
「ハル様、旦那様が心配なさっています。」
「でも……。いえ、わがままを言ってすみません。お迎えありがとうございます。」
わたしはポケットの中の返せなかったタオルを握りしめてた。
「そろそろ合格発表があると思うんだけど、なんで私ダンジョンにいるの?」
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