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わたしの特別な少女

わたしの特別な少女


 

 一撃に魔力を全て乗せれたら500点くらいは出せると思いますが……

 (頑張ってください!)

 

 盾の前で真剣な表情になるクウキさん……


 わたしの勘が警鐘を鳴らす……

 

氷の担い手(アイスソーサラー)

 

 ちょっと……


「……アイスアロー」

 

 ……待って


 急激な魔力反応

 凄まじい衝撃

 粉々のなった盾

 涙目のクウキさん

 9999


 学園長……?


 わたしの意識はそこで途切れた。


「はっ……ここは……?」

 耳鳴りがする……


 (一体なにが?)

 壇上を見ると、俯いているクウキさんと学園長が立っていた。


「これまで吸収してきた魔力の蓄積が盾の許容量を超えて爆発したのじゃ。そういえば9999と表示される前、ほんの一瞬じゃが300と表示されとったぞ」

 

「そうでしたか、すみません学園長。1223番の点数を300点とするっ」

 

 ……わたしが感じた魔力は学園長のもの?


 いつからそこに……?


 にしてもあの爆発からクウキさんを守った学園長、さすがS級ですね……

 (あれに1発……遠いですね)


 そして何事も無かったかのように実技試験は終了した。

 


「あの爆発は凄かったですね」

 (クウキさんが無事でよかったです。)

 

「そっそうだね」


 (クウキさんはいつも肯定してくれる……)

 

「わたしは意識を失なってしまいました……弱いです。」

 

「あの状況だったらしょうがないよ、みんな倒れてたし……」

「そうですか……?」

 

「そうだよ、そんなことより明日の模擬戦に備えなきゃ!」


 (キラキラの笑顔で……)

 

「そうですね!主席合格するためにも頑張らないといけませんね!」

 

「私も入学できるように頑張る!」


「はい!頑張りましょう!では……」

「じゃあ、先に部屋戻ってるね」

 

「えっ?練習しないんですか?」

 (一緒に練習……)

「ちょっと疲れたし身体を休ませようかな。」

 

「そうですね……身体を休めるのも戦略ですね。」

 (確かに、クウキさんの魔力量で300点はかなり無理しましたからね。)

 

「ごめんね、先に戻ってるね。」


 わたしも一緒に……と言いかけて止まった。

 浮かれてる暇は無い。わたしは剣聖にならないといけないから。

 (浮かれていた……?)

 

 気合いを入れ直し運動場に向かう。

「あらっ、ハルじゃない、実技試験どうだった?」

 (またコイツですか……)

 

「はぁ……まあまあでしたよ……」

 

「ちょっと!ため息つくんじゃないわよ!」

 

「ため息くらい出ますよ。で、なんのようですか?」

 

「いい事教えてあげるわ!今回の実技試験で歴代最高得点が出たんですって!」


「え?」

 

「確か、1300点を叩き出したそうよ。明日の模擬戦で当たらなきゃいいわね」

 

 それだけ言うとルーアは寮に帰って行った。

 

 模擬戦の組み合わせが成績順ならば、明日の相手はそいつになりそうですね。


 学生時代の父を超えた存在との模擬戦。


「首席になれるかなぁ〜」


 わたしの壁は……

 

 いつも高い……


 なぜか心は踊っていた。



「こんなものですかね。」

 

 満足するまで素振りをしていると、食堂の利用時間が過ぎていることに気づく。

 

 (クウキさんはご飯食べたでしょうか?)

 

 部屋に戻ると予想通り寝ていた。

 

魔力創造(エンテレイン)、クリームパン」

 

 食事を済ませて、二段ベットの梯子に手をかけると下の段から吐息が聞こえてきた。


「今日はありがとうございましたっ。」

 

 いつもより軽やかにわたしは眠りついた。


 


 次の日、朝日と共にに目を覚ますと下段を覗き込む。


 (ひとまず見納めですね)


「ハル、近いんだけど」

 (わたしはなにを……)

 

「食事の時間なので、クウキさんを起こそうと思いまして……」

 

「ありがとうハル。でも夕食には早くない?」


 かわいい……

 ……じゃなくて

「もう朝ですよ。」


「え?」

「えっ?」


 

 朝食を摂り模擬戦の会場に向かうと対戦票が張り出されていた。


「えっとわたしの相手は〜」

 ルーア•ダルクル、608点

 

 1300点の奴じゃない?

 わたしより高い点がもう1人いる?


 (クウキさんの相手は〜)

 アリージュ・ニック、1325点


 えっ?

 

「おかしいです!他の組みは同じくらいの点数で組まれています。これは何かの間違いです。」

 

「そうだね、確実に負けるよね……」


 (クウキさん……)

 

「でも私は諦めない!この学園でやりたいことがあるからね!」


 (わたしを心配させないように作り笑いを……)

 

 ルーアを一瞬で倒してせめて応援しにいきましょう

 


「模擬戦の相手がルーアだなんて嬉しいです」

 

「私も嬉しいわよ!、今までの屈辱ここで返してあげる」

 

 ルーアの構えと共に模擬戦開始の笛がなる。


 

「少しは強くなっていて安心しました。ではまた」

 (はやくクウキさんの元へ……)

 


「これは……」

 

 闘技場には大きなクレーターが1つ……

 

 そして何かが引きずられた痕跡……

 

 それ以外なにもない。

 誰もいない。

 

 わたしはその場に立ち尽くす事しかできなかった……


 そういえば試験中でしたね……

 面接会場に行かないといけません。

 


「あら、ハルじゃない!面接会場は一緒みたいね!」

 (コイツどこにでもいますね……)

 

「あれ?もう動けるんですか、結構本気で斬ってしまったのですが?」

 

「治癒魔法特化のA級冒険者がすぐに来てくれたわ!ハル程度の攻撃でついた傷なんて一瞬よ!」


 あの傷を負ったルーアが一瞬?

「次の方、どうぞ」

 

 クウキさんも無事に決まってます。

「次の方ー、どうぞー」


 あの笑顔を思い出す……

「次の方ぁ!」


 

 雰囲気が悪い面接を終えると荷物を取りに部屋向かう

 

 (中で物音がする……)

 

「はにゃ?お邪魔してるニャ」


 なんで?

 

「ここで、何しているんですか?」

 

「クウキが何も持たずに帰ったから荷物を整理してこいってナツメに頼まれたニャ、全く人使いが荒いニャ」

 

 流石にルーアのようにはいきませんか……

 

「クウキさんは大丈夫なんですか?」

 

「たぶん死にはしないニャ、そんなことよりもこのタオルはクウキのかニャ?」

 

 あれはクウキさんの……

 

「それ!わたしのです」


「それじゃ、手伝ってくれて助かったニャ」


 (わたしはなにを……)

 この試験で成長したわたしは胸を張って家路についた。

 

 

「ただいま帰りました」

 

 3日ぶりの自宅はなんだか懐かしく思える。

 

「おかえりなさいませハル様、試験はどうでした?」

 

 メイドのリナの顔を見るのも久しぶりで懐かしい。

 

「試験はまあまあでした。すみませんが、疲れたので今日もう休みます」


 ベッドに倒れ込む……

「まだ魔力は残っていますね……」


 タオル……

 

魔力創造(エンテレイン)、マネキン人形」


 本物にはほど遠いですが今はこれで我慢しましょう。

 

 早く本物のクウキさんに会いたいです。


 偽のクウキさんからは本物の匂いがした……

 

読んでいただきありがとうございます

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