第八話:人造の悪魔
ここまで読んでいただき、ありがとうございます!
第八話では、炎恩たちの戦いがさらに激しくなっていきます。
そして今回は、工場の地下で新たな「魔鬼」が登場します。
彼らはいったい何者なのか。
なぜ、この工場でこんな実験が行われていたのか。
少しずつ明らかになっていく世界の裏側にも、ぜひ注目してみてください。
それでは、第八話をお楽しみください!
(東北方——森林内)
ドォォォォン————!!
森の奥から、凄まじい爆発音が連続して響き渡る!
地面から太い蔓が勢いよく突き出し、エンの行く手を塞いだ!
「逃がすか!」
翠峰が両手を振る。
数十本もの蔓が、まるで巨大な蛇のように一斉にエンへと襲いかかる!
エンは後方へと下がりながら、それをかわしていく——
ドゴン! ドゴン! ドゴン!
蔓が地面を激しく叩きつけ、土砂と岩石が周囲へと吹き飛ぶ!
「こんなものか?」
「まだ終わってないぞ!」
ロックが一瞬で側面から飛び込んできた!
鬼化によって強化された力を拳に込め、エンへと叩き込む!
エンは腕を上げる——
ドン——!!
拳と拳が真正面から激突した!
凄まじい衝撃が周囲の木々を一斉に揺さぶる!
エンの足が地面を数メートル滑った。
「チッ……」
ロックはエンに息をつかせる暇も与えず、再び距離を詰める!
拳、肘、膝、蹴り——
怒涛の連撃がエンへと襲いかかる!
エンは攻撃を防ぎながら、素早く相手の動きを観察していた。
「……なるほど!」
ドン——!!
エンが身体を横に捻り、攻撃をかわす。
その瞬間——
ゴォォォォッ!!
両手から真っ赤な炎が一気に噴き上がった!
全身を旋回させ、その炎が暴風のように周囲を薙ぎ払う!
「紅蓮——ッ! ストーム!!」
ドゴゴゴゴゴゴゴ————!!
ロックと翠峰が同時に炎へと飲み込まれる!
「うわああああああ!!」
二人の身体が一瞬で吹き飛ばされた!
ロックは何本もの大木へと叩きつけられる——
ドン! ドン! ドン!
太い木々が次々とへし折れていく!
一方、翠峰は炎に吹き飛ばされ、空中へと投げ出された後、地面へ激しく叩き落とされた!
ドォン——!!
煙が一気に森全体へと広がっていく。
しかし——
「まだ終わってねぇ!!」
煙の中から、ロックが口元の血を拭いながら立ち上がる!
翠峰も地面に手をつき、ゆっくりと身体を起こした。
二人の鬼化の気配は——先ほどよりもさらに凶暴になっていた。
次の瞬間——
ドォン——!!
二人が同時に飛び出した!
ロックが先に地面を踏み込む!
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!
大地そのものが激しく震え始める!
「なに——!?」
エンが突然、足を止めた!
次の瞬間——
ドォン——!!
エンの足元の大地が突然隆起した!
巨大な岩柱が、まるで地中から現れた巨大な龍のように突き上がる!
エンは咄嗟に跳び上がる——
岩柱が身体をかすめ、そのまま背後の大木を粉々に砕いた!
ロックが両手を勢いよく振り上げる!
ドゴゴゴゴゴゴ!!
地面が次々と砕け散る!
巨大な岩石が次々と大地からせり上がり——
まるで巨大な拳のように、四方八方からエンへと襲いかかる!
ドン! ドン! ドン! ドン!
エンは空中で次々と岩石をかわしていく!
その瞬間——
「上だ!」
翠峰の声が響く!
エンが咄嗟に顔を上げる!
その目に映ったものは——
森そのものだった。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ————!!
数十本もの巨大な木々が一斉にしなり始める!
太い幹がまるで巨大な獣の腕のように、四方八方からエンへと襲いかかる!
ドォォォォン————!!
エンの身体を一本の巨大な木が正面から捉えた!
そのまま凄まじい勢いで吹き飛ばされる!
ロックが拳を振り抜く!
エンが飛ばされた先の大地が、一瞬にしてせり上がった!
巨大な岩壁が出現する!
ドン——!!
エンの身体が岩壁へと激突した!
しかし、地面へ落ちるよりも早く——
翠峰が両手を大きく広げる!
森全体が狂ったように蠢き始めた!
蔓、木の根、枝——
あらゆるものが四方八方からエンへと襲いかかる!
ドゴゴゴゴゴゴゴ!!
エンの身体が無数の蔓によって一瞬で絡め取られる。
エンは荒い息を吐きながら、何も言わない。
「……」
次の瞬間——
ゴォォォォッ!!
エンの身体から凄まじい炎が爆発した!
何本もの蔓が一瞬で焼き切れる!
しかし——
すでにロックが目の前まで迫っていた。
両拳を強く握りしめる。
足元の大地が一瞬で亀裂を走らせる!
ドォォォォン————!!
地面から伝わった凄まじい力が、そのままロックの身体へと集約される!
「大地——衝撃!!」
ロックが拳を叩き込む!
ドォォォォォォン————!!!!
エンを縛っていた蔓が一瞬で粉砕される!
しかし同時に、エンの身体も凄まじい勢いで吹き飛ばされた!
ドン! ドン! ドン! ドン!
何本もの木々を次々とへし折りながら、エンは地面へと叩きつけられる!
「ぐっ……!」
エンは片膝をついた。
口元から、一筋の血が流れ落ちる。
ゆっくりと顔を上げる。
目の前には——
砕けた大地の上に立つロック。
そして森の中央に立つ翠峰。
さらにその背後には——
森も、大地も。
すべてが二人の武器と化していた。
「……」
エンはゆっくりと立ち上がる。
次の瞬間——
ロックが両手を大きく広げた!
ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!
エンの足元の大地が突然崩れ落ちる!
地下から巨大な岩石が次々とせり上がり、数十本もの巨大な岩柱を形成する!
ドォォォォン————!!
岩柱が四方八方から一斉にエンへと襲いかかる!
エンは咄嗟に走り出す!
無数の岩石を次々とかわしていく。
しかし、その瞬間——
翠峰が再び手を掲げた。
エンの瞳孔が大きく開く!
周囲の森が——
一斉に蠢き始めた。
木々が目に見えるほどの速度で成長していく。
枝が絡み合い、蔓が伸び——
一瞬にして、森そのものが巨大な牢獄へと変貌した!
「もう逃げられないぞ!」
ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴ————!!
数え切れないほどの蔓が、まるで巨大な龍の群れのように四方八方から襲いかかる!
エンは必死に拳を振るい、全身から炎を爆発させる!
ドン! ドン! ドン!
一本……二本……十本……
蔓を焼き切る。
しかし——
さらに大量の蔓がすぐさまその穴を埋める!
「クソッ……!」
エンは追い詰められ、何度も後退する。
ドォン——!!
再び岩石が地面から突き出した!
エンが跳び上がる。
だが——
巨大な木の幹が横から襲いかかり、エンを激しく吹き飛ばした!
ドォォォン————!!
その身体が地面へと叩きつけられ、煙が一気に舞い上がる!
ロックと翠峰が同時に煙の中へと突っ込んでいく!
「これで!!」
「終わりだ!!」
ドォォォォォン————!!!
大地と森——
そのすべてが、この瞬間、同時に暴れ狂った!!
巨大な岩石が地面から次々と突き出し、
数十本もの蔓が空を覆い尽くし、
無数の木々が根元から引き抜かれていく!
森全体が、巨大な戦場兵器へと変貌していく!
その中心にいるエンへ——
ドン——!!
岩石が直撃する!
ドン——!!
再び蔓がエンを叩き飛ばす!
ドォン——!!
足元の大地が再び爆発する!
「倒れろ!!」
ドォォォォォォン————!!!
巨大な岩石と無数の蔓が、同時にエンへと襲いかかった!
森全体が爆発と煙に包まれる。
そして——
静寂。
ロックが荒い息を吐く。
翠峰も、煙の向こうを睨みつけていた。
「……終わったか?」
しかし——
煙の中に、
小さな赤い光が灯った。
「フッ……」
煙の向こうから、エンの声が響く。
「お前ら二人……」
炎が煙の中からゆっくりと滲み出してくる。
一つ……
また一つ……
そして——
ゴォォォォォォォン————!!!!
真紅の炎柱が天へと突き上がった!!
無数の蔓が一瞬で灰と化す!
岩石が高熱によって次々と砕け散る!
エンが炎の中から、ゆっくりと姿を現した。
その全身を包む炎は——
先ほどまでとは比べものにならないほど激しく燃え盛っている。
エンが顔を上げる。
その瞳からは、先ほどまでの余裕が消えていた。
「……もう、遊びは終わりだろ?」
ロックと翠峰が同時に息を呑む。
エンがゆっくりと拳を握りしめる。
ゴォォォォッ!!
真紅の炎が一瞬にして森全体を包み込んだ!
「ここからは——」
エンが二人を睨みつける。
「俺の番だ!!」
(同時刻——工場地下深く)
「急いで!!」
マンディが重い鉄扉を勢いよく押し開ける!
その扉の向こうには——
巨大な地下施設が広がっていた。
薄暗い照明の下、
数十基もの巨大なガラス容器が整然と並んでいる。
その中にいたのは——
すべて人間だった。
実験台に固定されている者。
意識を失っている者。
中には、すでに反応すらない者もいる。
「……」
マンディの瞳がわずかに揺れる。
「この人たち……みんな、連れてこられたの?」
目の前の光景を見つめ、マジェシーの表情も次第に険しくなっていく。
カイザーが歯を食いしばる。
「まずは人を助けるんだ! 連れ出せる奴は全員、外へ運べ!」
「分かった!」
一行はすぐに散開する。
ドン! ドン!
次々とガラス容器が破壊されていく!
「早く! 起きて!」
「歩けるか!?」
「出口へ向かえ! 止まるな!」
囚われていた人々が、一人、また一人と外へ運び出されていく。
その時——
警報が鳴り響いた。
マンディが勢いよく振り返る!
「何——!?」
ドォォォォン————!!
工場全体が突然、大きく揺れ始めた!
「グォォォォォォ————!!」
地下深くから、背筋が凍るような低い咆哮が響き渡る!
次の瞬間——
壁が内側から吹き飛んだ!
ドォォォォン————!!
暗闇の奥から、巨大な影が一つ、また一つと這い出してくる!
その身体は、もはや人間とは呼べない。
歪んだ四肢。
むき出しになった鋭い牙。
そして全身に刻まれた、無数の縫合痕。
その瞳には——
理性など、微塵も残っていなかった。
(少し前——工場内某所)
倒れた兵士が、目の前の光景を見つめていた。
工場内の配管は、すでにほとんど破壊されている。
「奴らを出せ!」
「しかし……」
「早くしろ!」
一人の兵士が、震える手でスイッチを押し込む。
カチッ——
(現在)
「改造……魔鬼……」
マジェシーが低く呟いた。
マンディの瞳孔が大きく開く。
「急いで! みんなを連れて逃げて!」
カイザーが皆の前に立ちはだかり、斧を構える。
「ここは俺に任せろ!」
「……!」
「残りは頼んだ!」
マンディとマジェシーは一瞬だけ顔を見合わせる。
そして、すぐに頷いた。
「分かった!」
二人は囚われていた人々を連れ、出口へ向かって走り出す!
改造された魔鬼たちが、ゆっくりと顔を上げる。
「グォォォォォォ————!!」
ドォォォォン————!!!
巨大な拳が地面へと叩きつけられる!
「うわっ!!」
一行は一斉に散開した!
そして、同じ頃——
(森の外——工場前)
「はぁ……はぁ……」
ヨギが荒い息を吐きながら、ゆっくりと地面へ降り立つ。
周囲には、すでに大量の王国軍兵士が倒れていた。
ダイゴも荒い息を吐きながら、その場にしゃがみ込む。
目の前には、戦闘によって荒れ果てた戦場が広がっていた。
「やっと……」
ダイゴがゆっくりと顔を上げ、工場へ視線を向ける。
「これで……次は……」
数名の革命軍兵士がすぐに集まってくる。
「報告します! 工場外周の敵はすべて排除しました!」
「東側にも敵は残っていません!」
「これなら、俺たちも中へ入って支援できます!」
ヨギはすぐには答えなかった。
ただ、目の前にそびえ立つ巨大な工場を見つめる。
そして通信機を手に取った。
「マンディ! そっちの状況はどうなってる……?」
「……」
返事はない。
ヨギが眉をひそめる。
「マンディ? マジェシー? カイザー? 聞こえるなら応答しろ!」
しかし——
返ってくるのは、静寂だけだった。
誰もが状況を理解できずにいる、その時——
突然——
ゴゴゴゴゴゴゴゴ————!!
「何だ!?」
地面が大きく揺れ始める!
次の瞬間——
ドォン————!!
工場の巨大な正門が突然、内側から吹き飛んだ!
巨大な鉄扉が宙を舞い、そのまま地面へと激しく叩きつけられる。
煙が一気に周囲を覆い尽くした!
「全員、警戒しろ!!」
革命軍が一斉に戦闘態勢へ入る!
ヨギは煙の向こうを睨みつける。
「……マンディ?」
しかし——
煙の中から、
重々しい足音が響いてきた。
ドン……ドン……ドン……
一歩。
また一歩。
巨大な黒い影が、ゆっくりと煙の中から姿を現す。
ダイゴの瞳孔が大きく開く。
「……何だ、あれは……?」
一体。
また一体。
巨大な影が次々と工場の内部から姿を現していく。
「グォォォォォォ————!!」
低く、凄まじい咆哮が戦場全体に響き渡った。
革命軍の兵士たちは、一瞬で動きを止める。
ヨギの表情も険しくなる。
「……あれは……」
その巨大な身体を見つめる。
その姿を見た革命軍の一人が、思わず後ずさる。
「ば……化け物……」
ヨギは拳を強く握りしめる。
そして——
目の前に立つ「それ」を真っ直ぐに見据えた。
「違う……」
「……あれは化け物なんかじゃない」
一拍。
ヨギが低く言い放つ。
「人間が造り出した——『魔鬼』だ」
第八話、最後まで読んでいただきありがとうございました!
今回は炎恩の戦闘を中心に、工場内部で起きている出来事も大きく動き始めました。
特に最後に登場した「改造された魔鬼」たち。
彼らが一体何者なのか、そしてこの工場では何が行われていたのか。
ここから物語の世界が、さらに大きく動いていきます。
次回もぜひ楽しみにしていてください!




