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《人間地獄》  作者: 翔欸
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第三話:王国の真実

ここまで読んでくださった皆様、本当にありがとうございます。


第三話では、レノとアイヴェル、黒龍たちがそれぞれ別々の場所へ調査に向かい、この国に隠された異変へと少しずつ近づいていきます。


王都、闘技場、工場、そして革命軍。


それぞれの場所で起きている出来事は、一見すると別々の事件に見えるかもしれません。


しかし、そのすべては一つの「真実」へと繋がっていきます。


そして今回、エンが辿り着いた場所で出会う人物とは――。


ぜひ最後までお楽しみください。

アイヴェルとレノから話を聞いた一同は、皆一様に険しい表情を浮かべていた。


「そんなことが……」


誰もが信じられない様子だった。


黒龍はしばらく考え込んだ後、翌日の調査と行動について、それぞれに指示を出した。


⸻


(深夜)


「なるほど……まさか、そんなことが……」


ダムは報告を聞き、驚きを隠せなかった。


「そうだ……他に何か情報はあるか?」


黒龍が尋ねる。


「それがな……ここからは、よく聞いてくれ」


ダムは真剣な表情でそう告げた。


そして、その情報を聞いた黒龍の表情が一変する。


⸻


(翌朝)


黒龍とヨギは、再び王都へと向かった。


「影の情報によれば……国王は昨日、何者かと通信をしていた。そして、その会話の中で『血魔剤』という言葉が出てきたらしい……」


黒龍は周囲を警戒しながら続ける。


「この国そのものに……何か問題がある!」


「だが……昨日ダムから聞いた話は、本当に事実なのか……?」


黒龍は一人、考え続けていた。


「なあ、副団長……」


ヨギが周囲を見渡す。


「どうした?」


「……なんだか、誰かに尾行されているような気がしないか?」


先ほどまで賑わっていた商店街。


しかし――


突然、そこにいた人々が一斉にその場から離れていく。


そして次の瞬間。


周囲から大量の兵士が現れ、二人を取り囲んだ。


人々の中から、一人の将校が姿を現す。


「飛龍騎士団……! お前たちの行動はすでに把握している! 無駄な抵抗はするな! 大人しく投降しろ!」


「いつから気付かれていた……?」


ヨギは理解できなかった。


「ここへ入ってからの行動に、ほとんど不自然な点はなかったはずだ……!」


⸻


(昨日・ダムとの会話)


「俺たちの部隊に……裏切り者がいる可能性がある」


「どうしてそう思う?」


黒龍は問い返した。


「数日前の南方戦線で、俺たちの作戦が敵に漏れていた」


「その戦闘に参加していた隊員たちは……ほぼ全員が大きな被害を受けたんだ」


⸻


黒龍は目の前の状況を見つめる。


その瞬間――


地面から大量の黒い影が湧き上がった。


黒い影が二人を包み込む。


そして次の瞬間、二人は飛龍騎士団専用のマントと装備へと身を包んでいた。


黒龍はゆっくりと腰の刀を抜く。


「……もし、俺たちが従わなかったら?」


その口元には、殺意を宿した微笑みが浮かんでいた。


⸻


(北東部・森林)


マジェシー、カイザー、エン、マンディの四人は、北東部の森林を調査するため、一組の班として行動していた。


「ここまで来ても……まだ煙が上がっている場所は見つからないな」


マジェシーが前方を見渡す。


「だったら、俺がこの森全部燃やしちゃえばいいんじゃないか!? そうすれば全部見えるだろ!」


エンの手から炎が燃え上がる。


次の瞬間――


カイザーがエンの耳を思い切り掴んだ。


「痛い痛い痛い痛い!!!」


「馬鹿野郎! お前、本気で事を大きくするつもりか!?」


カイザーは怒鳴った後、呆れたようにため息をつく。


「俺たち飛龍騎士団は、調査するときは徹底的に目立たないようにするんだ!」


「そして、戦うべき時が来たら――その時は全力で叩き潰す!」


エンは耳を擦りながら、素直に頷いた。


「まったく……団長はどうしてこんな奴を仲間にしたんだ……?」


マンディは慣れた様子で答える。


「昔から何も変わってないね……」


「ん?」


エンが突然、鼻を動かす。


「……お前ら、何か匂わないか?」


「……前方からだ!」


マジェシーが匂いのする方向を指差す。


「よし! じゃあ、行って全員ぶっ倒そう!」


そう言うと、エンは一人で前方へ走り出した。


「おい! 勝手に行くな! 戻ってこい!」


カイザーが叫ぶ。


しかし――


エンはすでに三人の視界から消えていた。


「まったく……」


マンディは呆れたように首を横に振る。


「君の幼馴染……本当に大変そうだね」


マジェシーは感心したように呟いた。


⸻


一瞬の出来事だった。


「……あれ?」


エンは立ち止まり、辺りを見回す。


「俺……もしかして……」


そして――


「迷子になった……?」


「うわあああああああああ!!!」


エンは頭を抱え、髪をぐしゃぐしゃに掻きむしった。


⸻


(教会・鐘楼/闘技場地下入口)


レノとアイヴェルは闘技場のスタッフに変装し、その内部へと進んでいった。


通路は薄暗く、狭い。


天井からは水が滴り落ち、辺りには湿った空気が漂っている。


そして、通路の先には――


無数の鉄格子が並んでいた。


その中には、完全に鬼化した魔鬼たち。


そして、人の手によって改造されたと思われる魔鬼まで収容されていた。


「……恐ろしいな」


レノは鉄格子の中を見つめる。


「普通の人間が、こんな化け物たちを相手にするなんて……不可能に近い」


その反対側には、さらに大量の鉄格子が並んでいた。


しかし、そこにいたのは魔鬼ではない。


鉄鎖に繋がれた――


大勢の人々だった。


彼らは震え、泣きながら助けを求めている。


アイヴェルがその一人に近づく。


「……どうして、あなたたちはここに閉じ込められているの?」


「俺たちは……あいつらの娯楽の一部なんだ……!」


アイヴェルは言葉を失った。


「ここにいる人間の多くは……王都に税金を納めることができなかった者たちだ」


「それだけじゃない……闘技場の賭博で借金を抱えて、返済できなくなった者もいる」


別の男が続ける。


「そして……あの怪物たちに挑戦させられている奴らも、同じだ」


「勝てば高額の賞金がもらえる――そう言われて、この道を選ばされる」


「だが……ほとんどの奴は、生きて帰れない」


その時――


一人の女性が突然、アイヴェルの手を強く掴んだ。


「お願い……私たちを助けて……!」


「!」


アイヴェルが何かを尋ねようとした、その瞬間――


大勢の武装兵士が一斉に現れ、二人を取り囲んだ。


「見つけたぞ!」


「飛龍騎士団だ!」


レノの手に電光が走る。


アイヴェルも両腕を構え、電磁砲を展開する。


戦闘が始まろうとしていた。


⸻


(北東部・森林)


マジェシーたちは煙の匂いを辿りながら森を抜けた。


そして――


目の前に広がっていたのは、無数の工場だった。


「見つけた!」


「行こう。内部を調査するぞ!」


三人が工場へ向かおうとした、その瞬間――


森の中から大量の武装兵士が飛び出してきた。


「対象三名を確認!」


「命令を受けた! 全員、捕らえろ!」


マンディはすぐさま二丁拳銃を抜く。


マジェシーとカイザーも戦闘態勢に入った。


⸻


(エン)


ようやく森を抜けたエンは、そこで偶然、謎の洞窟を発見した。


エンは目を閉じる。


「……出てこい」


そして静かに告げる。


「そこにいるのは分かってるぞ!」


すると――


洞窟の奥から、一群の武装した者たちが現れた。


彼らは銃を構え、エンに狙いを定める。


エンも両手に激しい炎を燃え上がらせた。


その瞬間――


「待て!」


集団の中から、一人の大柄な男が歩み出た。


男が手を上げる。


すると、周囲の者たちは一斉に武器を下ろした。


男はエンのマントを見つめる。


「そのマントの紋章……」


「お前、飛龍騎士団の人間だな?」


「そうだけど、それがどうした?」


エンは拳を構える。


「喧嘩するか?」


「俺はダイハオ。この者たちを率いている」


男は名乗った。


「俺たちは、この国の民間革命軍だ」


エンは拳を下ろす。


「……革命軍?」


ダイハオはエンを見つめる。


「飛龍騎士団……名前は聞いたことがある」


そして、少しだけ表情を緩めた。


「ようやく……この国に目を向けてくれたんだな!」


そう言うと、ダイハオはエンに背を向ける。


「迷惑でなければ……俺たちについてきてくれ」


「頼む。俺たちを信じてくれ!」


エンはしばらく考えた。


そして――


静かにダイハオの後をついていった。


⸻


(王都)


「巻き起こせ――暴風!」


ヨギの手に空気が集約される。


そして、勢いよく前方へ叩きつけた。


巨大な竜巻が発生し、目の前の兵士たちをまとめて吹き飛ばしていく。


【人物紹介】


ヨギ

能力:暴風


全身に空気を集約し、強烈な風を巻き起こす能力を持つ。


「くそっ……!」


「この二人……強すぎるだろおおおおおお!!!」


黒龍は刀を振るい、周囲の兵士たちを次々と退けていく。


その時――


一人の男が黒龍へと飛びかかった。


黒龍は刀身で攻撃を受け止める。


「お前たちが、この男に敵うはずがないだろう!」


男――リラボードの両手が、豹のような鋭い爪へと変化する。


何度も黒龍へ向かって爪を振るう。


しかし黒龍は、卓越した身のこなしと剣技で、その攻撃を次々とかわしていく。


「さすがは副団長……!」


リラボードは嬉しそうに笑う。


そして――


「鬼化……開始……」


次の瞬間。


リラボードの身体が完全に一頭の凶暴な豹へと変貌した。


頭には二本の角。


口元からは涎が垂れ、目の前にいるものすべてを引き裂こうとしているかのようだった。


「速い……!」


黒龍が反応するよりも早く、リラボードの姿が消える。


次の瞬間――


四方八方から、猛烈な攻撃が襲いかかってきた。


「バラバラにしてやる!」


リラボードが力を込める。


そして――


「碎屍万段だぁぁぁ!!」


鋭い爪撃が黒龍の身体を切り裂いた。


「はははは!」


リラボードは笑う。


「なんだ……この程度だったのか!」


しかし――


「……ん?」


リラボードは違和感に気づく。


先ほど切り裂いた黒龍の身体が――


ゆっくりと消えていく。


それは、ただの影だった。


「……なに?」


次の瞬間――


「ぐあっ!」


周囲にいた兵士たちが、次々と倒れていく。


「何が起きている!?」


リラボードは辺りを見回す。


一人。


また一人。


気づけば、周囲の兵士たちは次々と倒れていた。


そして――


いつの間にか、黒龍が目の前に立っていた。


「お前は……いつから、俺を殺せると思っていた?」


黒龍は刀を握り、一歩前へ踏み出す。


その瞬間――


黒龍の姿が消えた。


「……!」


リラボードが振り返る。


しかし、すでに黒龍はその背後に立っていた。


「……え?」


リラボードの視界に映ったのは、黒龍の背中。


その背中が――


上下逆さまに見える。


そして視界が下から上へと移った、その瞬間――


リラボードの首が宙を舞った。


黒龍は刀を振り抜き、静かに呟く。


「子猫が大虎を前にして逃げないとは……」


「随分と舐められたものだな」


「副団長、これからどうします?」


ヨギがさらに兵士たちを吹き飛ばす。


黒龍は周囲を見渡す。


「どうやら……俺たちの行動は完全に知られているようだな」


「一度ここを離れるぞ」


「おそらく、あいつらも襲撃を受けている!」


⸻


(エン)


「ここは……?」


エンは洞窟の中を見渡し、驚きの表情を浮かべた。


洞窟の内部には――


数百人もの男女や子供たちが集まっていた。


身体中に包帯を巻いている者。


手足を失っている者。


ボロボロになった服を身にまとっている者。


そこにいる誰もが、深い傷を負っていた。


「お前たちは……一体、何者なんだ?」


エンが尋ねる。


ダイハオはすぐには答えなかった。


ただ黙って、洞窟の奥へとエンを連れていく。


そして――


一人の老人が、椅子に座っている姿が目に入った。


老人は古びたコートを身にまとい、顔には無数の傷が刻まれていた。


その表情には、長い年月を生きてきた者だけが持つ深い哀愁が漂っている。


老人はエンを見つめる。


「ようこそ……」


「我々の最後の隠れ家へ」


エンは老人を睨む。


「……お前は、誰だ?」


老人はしばらく沈黙した。


そして――


静かに口を開く。


「私は……」


「この国の――かつての王だ」


「……え?」


エンの目が大きく見開かれる。


「お前が……王……?」


エンは、その言葉を信じることができなかった。

第三話「王国の真実」を最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます!


今回は、飛龍騎士団がそれぞれ別の場所へ調査に向かい、王都、闘技場、工場、そして革命軍へと物語が大きく動き始める回になりました。


特に今回の最後では、エンが革命軍の隠れ家へ辿り着き、そこで「かつての王」と名乗る老人と出会います。


この国で一体何が起きたのか。


そして、現在の王国と血魔剤にはどのような関係があるのか。


ここから少しずつ、この国に隠された真実が明らかになっていきます。


次回もぜひ、よろしくお願いします!

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