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《人間地獄》  作者: 翔欸
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12/14

第十二話:「大声で叫べ!」

皆さん、こんにちは!

作者です!


『人間地獄』第十二話、ついに公開です!


今回の第十二話では、レノとエンの戦いがついに決着を迎えます。


二人が初めて本当の意味で力を合わせ、最後に繰り出す必殺技――


「雷炎・天獄穿滅!!」


そして、その一方で王都の情勢も大きく動き始めます。


黒龍副団長がダイウェイを連れて現れ、

ついに革命軍も王都へ姿を現しました。


第一話から少しずつ描いてきた物語も、

この第十二話で一つの大きな区切りを迎えます。


ここまで読んでくださった皆さん、本当にありがとうございます!


それでは――


『人間地獄』第十二話。


どうぞお楽しみください!

(此刻——壁内・王都の街道)


轟――――!!


雷光と炎が、再び同時に爆発した。


レノが側面から高速で接近する。


拳に荒々しい雷光を纏わせ、そのままワットドへと叩き込む。


「うおおおおおお!!」


『閃雷衝撃!!』


ドン――――!!


ワットドは龍爪を掲げ、その一撃を真正面から受け止めた。


しかし――


次の瞬間。


『炎皇烈拳!!』


エンが正面から一気に距離を詰める!


赤々と燃え上がる炎を拳に凝縮し、容赦なくワットドの胸部へ叩き込んだ。


ドォン――――!!


ワットドの巨大な身体が、大きく後方へと押し飛ばされる。


「グオオオオオ――――!!」


ワットドは激しく翼を羽ばたかせ、再び距離を取った。


しかし――


「逃がすか!」


レノが一瞬にして雷光へと変わり、追いかける。


バチィ――――!!


雷光が空中を幾度も閃く。


ワットドは振り返ると、巨大な尻尾を勢いよく振り抜いた。


ドォン――――!!


レノは間一髪で身をかわす。


その直後――


ワットドが大きく口を開いた。


灼熱の炎が、龍の口内に一瞬で凝縮される。


「またかよ!?」


エンの表情が変わる。


轟――――!!


巨大な炎が、一瞬にして街道全体を飲み込んだ。


レノとエンは同時に左右へ飛び退く。


二人は地面へ着地する。


だが――


すぐには再び攻撃へ移らなかった。


「はぁ……はぁ……」


エンは荒い息を吐く。


レノも自分の腕を見下ろした。


身体を包んでいた黄色い雷光は、まだ消えてはいない。


だが――


明らかに、先ほどよりも弱くなっていた。


そして――


ワットドもまた、激しく息を切らしていた。


巨大な龍の身体が、大きく上下している。


先ほどまで圧倒的な勢いを見せていた炎も、今では明らかに不安定だった。


三人の間に――


一瞬の沈黙が流れる。


次の瞬間――


ワットドが龍の口元を歪めた。


「……どうやら……」


「お前たちも、もう限界らしいな……!」


エンが顔を上げる。


「はぁ……はぁ……」


「お前だって……同じだろ……?」


ワットドは答えなかった。


ただ、二人を鋭く睨みつける。


なぜなら――


ワットド自身も理解していた。


このまま戦いが長引けば――


自分も、そう長くは持たない。


レノはゆっくりと拳を握り締めた。


「……これ以上、長引かせるわけにはいかない!」


エンがレノを見る。


「言われなくても分かってる!」


「くそっ……!」


エンは再び両手に熱を集め始める。


『炎皇――』


「待て!」


レノが空中のワットドを見上げた。


「俺たち、ずっと別々に戦ってるだろ!」


「このままじゃ、絶対に勝てない!」


エンが僅かに目を見開く。


レノは口元の血を拭った。


「アイツは……力も、速さも、防御力も……全部が強すぎる!」


「だけど――」


レノの視線が、ワットドの両翼へと移る。


「……もしかしたら、まだ勝機はある……」


エンもレノの視線を追う。


「……翼?」


レノは頷いた。


エンの瞳が大きく見開かれる。


「まさか……?」


「もし……アイツを地上に縛りつけることができれば……」


エンは数秒間、黙り込んだ。


そして――


口元に僅かな笑みを浮かべる。


「なるほどな!」


レノも応える。


「勝負は、一瞬だ!」


二人を見下ろすワットドは、露骨な不満を浮かべていた。


「本当に失望したぞ……!」


「もっと良い素材だと思っていたのに……」


「所詮は、この程度の実力なのか……?」


次の瞬間――


エンが再び突っ込んだ。


「うおおおおお!!」


ドォン――――!!


赤い炎が、ワットドへと真正面から叩き込まれる。


「フン! その程度の火力で!」


「俺にとっては、ただの痒みにすぎん!」


ワットドが咆哮しながら龍爪を振り上げる。


しかし――


二人が激突した、その瞬間。


バチィ――――!!


一筋の雷光が、ワットドの背後を駆け抜けた。


「何――――!?」


レノが一瞬にしてワットドの左翼の後方へ現れる。


「捕まえた!」


レノが両手に電気を集中させる。


無数の電流が絡み合い、巨大な網となっていく。


ドォン――――!


『雷電枷鎖!!』


バリバリバリバリ――――!!


無数の巨大な雷電の網が、一瞬にしてワットドの左翼へ絡みついた。


「グオオオオオ!!」


ワットドが激しくもがく。


「離せぇぇぇぇ!!」


しかし――


「今だ!」


レノが叫ぶ。


エンが大きく跳躍した。


そして――


ワットドの反対側の翼を、両手で力強く掴む。


「こいつを――」


エンの全身から、炎が一気に噴き上がる。


「地面に叩き落としてやるあああああ!!」


轟――――!!


赤い炎が、ワットドの右翼を激しく包み込む。


「アアアアアッ!! 熱い熱い熱い!!」


「離れろぉぉぉ!!」


ワットドが必死に翼を羽ばたかせる。


だが――


もう遅かった。


「うおおおおおおおお――――!!」


バリバリバリバリ――――!!


轟――――!!


雷電と炎が、同時に爆発する。


バキッ――!! バキッ――!!


両側の巨大な翼が――


同時に、完全に砕け散った。


ドォン――――!!


ワットドの巨大な身体が、完全にバランスを失う。


「グオオオオオオオオ!!」


そのまま――


空中から地面へと激しく墜落した。


轟――――!!


王都の街道全体が、大きく揺れた。


煙塵の中――


ワットドがゆっくりと身体を起こす。


巨大な龍の翼は、見る影もなく砕け散っていた。


「俺の……翼が……」


鮮血が、龍の身体を伝って流れ落ちる。


ワットドはゆっくりと顔を上げた。


その龍の顔に――


初めて、恐怖が浮かんだ。


しかし――


ほんの数秒後。


その恐怖は、次第に歪んだ興奮へと変わっていく。


「ハハ……ハハハハハ……!」


「そうだ……これだ……!」


「やっぱり間違っていなかった……!」


「お前たち二人……」


「最高級の素材だあああああ!!」


レノは荒い息を吐く。


エンも全身傷だらけだった。


二人はワットドの前に立つ。


「まだ終わってないぞ――」


レノが拳を握り締める。


エンもニヤリと笑った。


「ここからだ――!」


ワットドは俯いたまま――


身体を激しく震わせ始めた。


次の瞬間――


轟――――!!


凄まじい炎が、ワットドの身体の内側から一気に噴き出した!


「調子に乗るなあああああああ――――!!!」


街道全体が、一瞬にして灼熱に包まれる。


ワットドが大きく口を開く。


凄まじい炎が、龍の口内へと凝縮されていく。


「飛べなくなったから何だ!!」


「俺はそれでも――」


「お前たちを倒せる!!」


轟――――!!


巨大な火柱が、一直線に放たれた。


「来た!!」


「決めるぞ! レノ!」


レノの瞳が鋭くなる。


エンも同時に一歩踏み出した。


二人は互いに視線を交わす。


言葉は――


必要なかった。


なぜなら――


二人には、もう分かっていた。


互いが何をするつもりなのか。


二人は同時に手を伸ばした。


雷光が激しく集束していく。


炎もまた、同時に燃え上がる。


黄色い雷光と赤い炎が――


互いに絡み合っていく。


「うおおおおおおおおおおおお――――!!」


二人の力が――


この瞬間、完全に融合した!!


バチィィィィ――――!!


凄まじい雷炎の力が、一気に爆発する。


二人は同時に叫んだ。


『雷炎――』


ドドドドドドドドド――――!!


雷電と炎が巨大なエネルギーの奔流へと変わり――


正面からワットドの火柱へと激突する。


『天獄穿滅!!!』


轟――――!!!!!!


三つの力が――


王都の街道の中央で、真正面から激突した。


大地が激しく震える。


雷光、炎、爆風が――


一瞬にして戦場全体を包み込む。


「グオオオオオオオオオオオオ!!」


ワットドが狂ったように咆哮する。


しかし――


レノとエンは歯を食いしばった。


二人の力は――


止まらない。


それどころか――


最後の一瞬。


さらに力を爆発させる!


「倒れろ!」


「うおおおおおおおおおおお――――!!!」


轟――――!!!!!!


巨大な雷炎の奔流が――


ワットドの炎を、真正面から完全に貫いた。


「な――」


次の瞬間――


轟――――!!!!!!


巨大な爆発が――


街道全体を飲み込んだ。


――――ドドドドドドドドド!!


雷光と炎が絡み合い、巨大な嵐となって戦場を包み込む。


ワットドの姿は――


爆発の中へと完全に消えた。


爆発の余波が、徐々に収まっていく。


王都の街道は、すでに見る影もないほど荒れ果てていた。


レノとエンは、爆発の中心を挟むように立っている。


二人の身体は傷だらけ。


そして――


身体を包んでいた鬼化の気配も、徐々に消え始めていた。


レノは荒い息を吐く。


エンはそんなレノを数秒間見つめた。


次の瞬間――


パァン――!


二人の手のひらが、勢いよく打ち合わされた。


「やったぁぁ!!」


エンが満面の笑みを浮かべる。


「ハハハハハ! 本当にあのクソトカゲを倒したぞ!」


レノも思わず笑う。


「当然だろ!」


しかし――


エンが突然、眉をひそめた。


「……でもよ」


「ん?」


「さっき技の名前を叫んだ時なんだけど――」


エンが真剣な顔でレノを見つめる。


「声……小さすぎないか?」


「……は?」


「『天獄穿滅!』」


エンが先ほどのレノの声を真似する。


「それだけか?」


「チッチッチッ――」


エンが指を振りながら首を横に振る。


「こういう時はな――」


エンが大きく息を吸い込む。


「天獄穿滅ああああああああああああ!!!」


その声が、街道全体に響き渡った。


レノは呆然とエンを見つめる。


「お前……頭のどこかおかしいんじゃないのか?」


「いいか、レノ!」


『技の名前はなぁ! 大声で叫んでこそ気合いが入るんだよ!!!』


「誰がそんなこと決めたんだよ!」


「俺だ!」


「お前が決めたのかよ!?」


二人は互いに睨み合う。


次の瞬間――


レノの瞳が大きく見開かれた。


「……あっ!」


エンが振り返る。


「どうした?」


レノは自分の手を見下ろす。


先ほどまで身体を包んでいた黄色い雷光が――


急速に消えていく。


「まずい……」


「なんか……おかしい……」


エンも自分の身体を見下ろす。


赤い炎も、同じように徐々に消えていく。


そして――


頭に強い眩暈が走った。


「俺も……同じだ……」


二人は同時に黙り込む。


「……」


「……」


次の瞬間――


ドサッ――!


レノの身体から、突然力が抜けた。


「おい……」


エンが手を伸ばし、レノを支えようとする。


しかし――


ドサッ――!!


エン自身も、その場に倒れ込んだ。


二人の身体は、同時に人間の姿へと戻っていく。


王都の街道には――


二人が倒れている姿だけが残された。


そして遠くでは――


爆発によって巻き上げられた煙が、まだゆっくりと漂っていた。


(同じ頃――城門前)


「……」


アイヴェルは依然として城門の前に立っていた。


手にした電磁砲も、まだ下ろしてはいない。


その後ろでは――


奴隷たちが皆、恐怖で身体を震わせながら、彼女の背後に身を寄せている。


向かい側の守備兵と貴族たちも、迂闊に動くことができない。


両者はそのまま――


睨み合いを続けていた。


その時――


轟――――!!


巨大な影が、遠くから凄まじい勢いで飛んできた。


「なに――!?」


ドォン――――!!


ワットドの身体が、城門前へと激しく叩きつけられる。


凄まじい衝撃が、辺り一面に大量の煙塵を巻き上げた。


「な……なんだ……!?」


「怪物……?」


「違う!」


「あれはさっきの……炎を吐いていた龍!?」


人々は驚愕しながら、煙塵の中を見つめる。


すると――


ワットドの巨大な龍の身体が、徐々に縮んでいく。


龍爪。


龍鱗。


龍の身体。


そして――


悪魔の角。


それらが一つずつ、人間の姿へと戻っていく。


そして最後に――


全身血まみれになった一人の男が、地面へと倒れ込んだ。


「……」


その場にいた全員が、一瞬言葉を失った。


アイヴェルも大きく目を見開く。


「成功……したの……?」


そして――


微笑んだ。


「レノ……!」


しかし――


その場の全員がまだ驚きに包まれていた、その時。


ギィィィィ――――


城門が――


ゆっくりと開いていく。


全員の視線が、一斉に城門へ向けられた。


黒いマント。


その背中には――


飛竜騎士団を象徴する飛竜の紋章。


飛竜騎士団副団長――


黒龍。


彼が、城の中からゆっくりと姿を現した。


「……!」


アイヴェルの瞳が大きく見開かれる。


「副団長……!?」


黒龍は答えない。


ただ、一歩ずつ階段を下りてくる。


そして――


その手には、一人の男の肩が掴まれていた。


刃は――


その男の首元へ突きつけられている。


「国王……陛下!?」


守備兵たちが、一斉に動揺する。


黒龍に拘束されていた人物――


それは、まさしくダイウェイだった。


「……!」


ダイウェイの顔は、すでに真っ青になっていた。


身体は震え続け、もはや自分の足で立つことすら難しい。


冷たい刃が首元に触れている。


彼はこの時、初めてはっきりと感じていた。


死が――


すぐ目の前にある。


それでも――


広場にいる守備兵と貴族たちは、叫ぶことをやめなかった。


「飛竜騎士団はいったい何をしている!?」


「国王陛下を人質にするとは!」


「早く! 国王陛下をお助けしろ!」


「なんという無礼な連中だ――!」


混乱した声が、次々と響き渡る。


ダイウェイが、勢いよく顔を上げた。


「全員、黙れ!!」


その場にいた全員が、凍りつく。


ダイウェイは歯を食いしばる。


「全員……」


声は震えていた。


荒い息を吐きながら――


「全員、武器を捨てろ……!」


「なに――!?」


守備兵たちが呆然とする。


ダイウェイの身体は、まだ震えていた。


それでも――


再び叫ぶ。


「俺が言っているんだ!!」


「全員、武器を捨てろ!!」


「早く――!!」


カラン――! カラン――! カラン――!


一人、また一人と――


守備兵たちがゆっくりと武器を地面へ落としていく。


貴族たちも、完全に動揺していた。


「国王陛下!」


「そのようなことをしては――!」


「まだ我々には――」


「黙れ!!」


ダイウェイが再び怒鳴りつける。


だが今度の声には――


もはや国王としての威厳はなかった。


そこにあったのは――


ただの恐怖だけだった。


アイヴェルは、その光景を黙って見つめていた。


数秒後――


ゆっくりと電磁砲を下ろす。


「……そういうことだったのね……」


彼女は城の階段に立つ黒龍を見つめる。


そして――


それ以上、何も言わなかった。


理解したのだ。


飛竜騎士団は――


すでに任務を完了していた。


その時――


「――ダイウェイ!」


広場の後方から、低い声が響いた。


その場にいた全員が、一斉に振り返る。


街道の奥から――


大量の人影が現れた。


これまで暗闇に身を潜め、機会を窺っていた者たちが――


ついに、その姿を現した。


平民。


奴隷。


そして――


かつては兵士だった者たち。


彼らは皆、武器を強く握り締めながら――


目の前にいる国王を睨みつけていた。


そして彼らこそ――


各地でダイウェイ王国の支配に反抗してきた者たちによって結成された――


革命軍だった。


そして、その先頭を歩く男――


ダイハオ。


ダイハオは、一歩ずつ城へ向かって歩いていく。


彼の視線は人々の間を越え――


最後に、自分の弟へと向けられた。


「……兄さん……!?」


ダイウェイが震える声で呟く。


ダイハオは答えない。


ただ、目の前の弟を見つめていた。


「そんな……ありえない……!」


かつて王座の上から国全体を支配していた男は――


今や、刃の前に立ち尽くすことしかできなかった。


しばらくして――


ダイハオが静かに口を開く。


「ダイウェイ……」


「この国は……」


「もう、お前のものじゃない。」


ダイウェイの瞳が震える。


ダイハオはその視線を越え――


背後に広がる王都を見つめた。


「今日から――」


「民の運命を、一人の王が決めることはない!」


広場が静まり返る。


誰も、何も言わない。


ただ風だけが――


ゆっくりと王都の街道を吹き抜けていく。


そして――


かつて王権の象徴だった旗が、風の中で静かに揺れていた。


この日――


王都の歴史は、書き換えられ始めた。


(同じ頃――画面は再び王都の街道へ)


煙塵が、ゆっくりと晴れていく。


荒れ果てた街道。


その上に――


レノとエンは、まだ倒れたままだった。


しばらくして――


エンの瞼が、僅かに動く。


「……」


そして――


エンはゆっくりと目を開けた。


ぼんやりとした視界に――


見慣れた姿が映る。


「……マン……ディ……?」


マンディが、エンを見下ろしていた。


「……やっと起きたね?」


エンは一瞬、状況を理解できなかった。


そして――


自分の頭が、マンディの膝の上に乗っていることに気づく。


「……」


エンは慌てて身体を起こした。


「本当に……ごめん。」


エンは俯く。


「俺が無茶をしたせいで……みんなを危険な目に遭わせた……」


「もし、あの時俺も一緒にいたら……」


マンディはそれを聞くと――


頬をぷくっと膨らませ、怒ったような顔をする。


「もう……!」


「二度と……やらないで!」


エンは何も言い返さない。


ただ、俯いたまま――


「……ごめん。」


マンディは、しばらくエンを見つめる。


そして最後には――


「はぁ……もういいよ。」


困ったように息を吐いた。


「……これも、あなたらしいけどね。」


そして――


その表情は徐々に柔らかくなっていく。


「でも……」


「みんな……無事でよかった……!」


エンが顔を上げる。


「マンディ……」


マンディは小さく微笑んだ。


しかし――


その背後には。


腕を組みながら立っているカイザー。


その顔には――


笑みなど一切ない。


むしろ――


「あとでたっぷり話を聞かせてもらうぞ。」


そう言わんばかりの、恐ろしい気配を漂わせていた。


「……」


「……」


二人の視線がぶつかる。


エンは、ゆっくりと視線を逸らした。


「うわあああああああ!! 痛い痛い痛い痛い!!」


「……やっぱり、もう少し寝ておこうかな……」


そして――


その頃。


もう一人の男も、ゆっくりと目を開けた。


「……う……」


レノがゆっくりと身体を起こす。


目の前には――


マジェシーが手を差し伸べていた。


その顔には、穏やかな笑みが浮かんでいる。


レノは一瞬、彼女を見つめた。


そして――


その手を取る。


ゆっくりと立ち上がった。


レノは、目の前に広がる荒れ果てた王都の街道を見つめる。


そして遠くに目を向ける。


そこには――


倒れたワットドの姿があった。


レノは数秒間、何も言わなかった。


やがて――


その口元に、僅かな笑みが浮かぶ。


「……俺たち……勝ったのか?」


エンも振り返る。


二人は互いの顔を見つめた。


もう、何も言わなかった。


ただ――


二人とも笑った。


この戦いは――


ついに終わった。


しかし――


少し離れた場所。


ヨギは、静かに街道に立っていた。


倒れたワットドを見つめる。


そして――


遠くにある城へと視線を移す。


王都の情勢は――


完全に変わってしまった。


ヨギはしばらく黙っていた。


その顔に笑みはない。


ただ、僅かに眉を寄せる。


「……これから……」


彼は小さく呟いた。


「……どうなっていくんだろうな……」


風が、荒れ果てた王都の街道を吹き抜けていく。


誰も答えない。


ヨギはただ――


静かに前を見つめていた。


これから起こることを――


考えながら。

第十二話、無事に終了しました!


まずは――


ここまで読んでくださった皆さん、

本当にありがとうございます!


第一話から始まった『人間地獄』も、

ついに第十二話を迎え、第一章が正式に完結しました。


血魔剤、奴隷、人造悪魔、帝牙


そして、王都で巻き起こった大きな騒乱。


レノ、エン、アイヴェル、そして飛竜騎士団の仲間たちも、

ここまで長い道のりを歩いてきました。


今回、個人的に特に気に入っているのは、

レノとエンが初めて本当の意味で力を合わせたところです。


そして今回のタイトル――


「大声で叫べ!」


これはもちろん、エンのあの台詞から付けました。


「技の名前は、大声で叫んでこそ気合いが入るんだよ!!!」


……という、エンらしい一言です(笑)


でも、このタイトルにはもう一つ意味があります。


今回、大声で叫んだのは、

レノとエンだけではありません。


アイヴェルも。


ダイハオも。


革命軍も。


そして今まで声を上げることのできなかった人々も――


自分たちの運命のために、

ついに声を上げ始めました。


だからこそ、今回はこのタイトルにしました。


そして――


第一章が終わったということは、

ここから物語はさらに大きく動き始めます。


王都の政権は崩れ、

革命軍が姿を現し、

帝牙は未だ暗躍を続けています。


次の章からは――


これまでとは比べものにならないほど大きな戦争へと、

物語は進んでいきます。


今度の戦いは、

数人の戦いではありません。


国と国。


人間と悪魔。


そして、それぞれの信念がぶつかり合う――


本当の戦争です。


これからレノたちは、何と戦うのか。


帝牙は次に何を仕掛けてくるのか。


そして、この戦争の先に待っているものとは――。


ぜひ、これからの『人間地獄』も楽しみにしていてください!


最後になりますが、

ここまで『人間地獄』を読んでくださった皆さん。


感想をくださった方、応援してくださった方、

そして、少しでもこの作品に興味を持ってくださった方。


本当にありがとうございます。


そして次から――


本当の戦争が始まります。

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