表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
15/41

十四話 共闘

「おーい! ニヤ、帰るよー!」


 ニヤが眠っていた場所まで戻るとニヤが居ない。


「あれ?! あれ? ニヤ! ニーヤー!! 何処なの?! 返事して!」


 ニヤが寝ていた場所から居なくなっていた。寝ていたのに居なくなくった?! いや、ちょっと訳が分からないんだけど。


 ニヤがいた場所をよく良く見ると、地面に何かが這ったような跡が残っていた。


「これは、何かの魔物の足跡?」


 ゴチャゴチャした感じの足跡が森の奥の方に続いていたので跡を追う。


「ニヤ、食べられたりしていないでね」


 跡を見失わないよう、慎重にかつ出来るだけ急いで進むと、すぐにソレを発見した。


 私と同じ位の背丈の木が動いている。左右に揺すりながら短い足代わりの根っこを動かして歩いている姿はちょっとかわいく見えた。


 ソレが何体かワサワサと歩いている中に、頭の上に乗せられたニヤを見つけて慌てて追いかける。


「ちょっと待って! その子を置いて行きなさい!」


 後方から木に向かって呼びかけるけど、木は聞こえていない様子で歩き続ける。


「こら! ちょっと止まれ!!」


 一番後ろを歩いていた木に近寄り、枝を掴もうと手を伸ばす――


 ヒュンッ!


 枝先の葉が頬を掠める。


 頬を触ると、薄っすらと滲む血が……


「キ、キ、キ、キ、キ、キッ!」


 全ての木が立ち止まり、こっちを見る。


 いや、ニヤを抱えた木だけが先に進んでいる。


「待って! その子を置いてゆけ!」


 先に行こうとすると、他の木が立ち塞がり私の邪魔をする。


 木の節が目に見え、口にも見える。


「キ、キ、キ、キ」


 器用に発せられる声。


「通さないって言うのね」


 剣を抜いて構える。


「木を切るならこんなより、斧とかの方が良かったのかな?」


 なんて事が考えらるくらい油断していた。


ヒュンッ ヒュンッ!


ビシッ!


バシッ!


「こいつら、速い!?」


 さっきのでも分かったはずだったのに、この木は歩くのは遅いけれど、枝を振り回して攻撃するのは、速い!


 鞭のように枝をしならせて、縦横無尽に振り回してくる――


「クッ!」


 幸いなのは、枝はそれ程硬くなく。剣でなびくとスパッと切り落とせる事。


 何度かそうやって枝を切り落とし、いよいよ振り回せる枝が無くなってきた所で。


「うりゃー!」


 その胴体に向けて剣を振りかざす。


 ズバッ! と言う手応えと共にドサリと倒れる木。


「うん、助かるのはこの剣の切れ味の良さだね」


 程なくして木の魔物を全て倒し終えた私は、落ちていた魔石と枝? を拾ってマジックバッグへと入れる。


『スリーピー・ウッド(幼体)の魔石』

『スリーピー・ウッド(幼体)の枝』


 なる程、お目当てのスリーピー・ウッドだったけれど(幼体)が付いていた。


 こんな枝じゃあベッドなんて作れないから、親を倒せって言うわけね。


 ハッと気が付つく、もしかして連れて行かれた先に親が居るの?!


『スリーピー・ウッド(魔物)

眠っていたり、衰弱して動けなくなった生き物に取り付いてその根から養分を吸い取る。

スリーピー・ホロウと行動を共にする事が多い』


 やばい! ニヤが干からびてミイラになる前に助けなきゃ!


 何となく幼体が向かっていった先に走っていくと、少し広くなった空間に出た。


 そして。


「ニャ! ウチは不味いニャ! それに、そんなぶっといの刺されたら死ぬニャ!」


 ニヤが大声て叫びながら、スリーピー・ウッドの攻撃を避けて逃げ回っていた。


「ニヤ!!」


 すぐにニヤの隣に駆け寄り、襲ってくる根っこを剣で弾く。


 バシッ!


「ニヤ! 大丈夫?!」

「大丈夫なのニャ! スリーピー・ホロウはどうしたニャ?」


「アイツはここ!」とマジックバッグをバシッと叩く。


「次は、コイツも持って帰るよ!」


 距離を取ったところから、改めてスリーピー・ウッドを確認する。


「大っきいニャ」


「幼体は私達と変わらないくらいだったけど、コイツは五倍以上ある。きっとボスよね」


「どうやって倒すニャ?」


「幸い歩くのは遅いから、私とニヤで挟み撃ちにしてあの厄介な枝を切り落とす。その後、私の剣で本体をズバッと切り倒すってのでどうかしら?」


「それで行けるのニャ?」

「小さいのは何とかなった!」


 ニヤと握手をしてから左右に分かれる。


「ほらー! 足の遅いスリーピー・ウッド! こっちまでおいでー!」


「ほらほら! ウチはこっちだニャー!」


 左右で牽制しながらタイミングを計る。


「コッチきた!」


シュッ! シュッ!


 振るってくる枝を避けながら、さらに枝先を切り落とす。


「今ニャ!」


 そのタイミングでニヤが本体に近寄り、本体を攻撃! 反撃をもらう前に枝が届かない距離まで戻る。


 今のは予定の逆。考えているのは、スリーピー・ウッドが枝でニヤを攻撃している隙に、私が本体を聖剣でズバッとやりたいの。


「ほらほら! 届いてないよー」


「そんなチンタラした攻撃、当たらないニャ!」


「キ、ギ、ギ、ギ、ギーッ!」


 お、怒った?


 バシバシと枝を振り回してくるスリーピー・ウッド。足が遅いせいで攻撃範囲の外にいれば、危なげないのだけれど。


「コッチだニャー!」


 ニヤに翻弄されて、段々と攻撃がニヤ寄りになってくる。


「ギ、ギ、ギー!」


 ビュン! ピュン! ドスッ!


 激しい攻撃を寸前の所で回避しながら、チマチマと攻撃も加えるニヤ。さすがこの辺はベテラン冒険者!


 そして私と言えば、スリーピー・ウッドの意識がニヤに向いている間に少しずつ距離を詰めていた。


「ギ、ギィーー!!」


 余りにも自分の攻撃が当たらないスリーピー・ウッドが大振りになる。


「今ニャ! その胴体の穴ボコに剣を突き刺すニャ!」


「待ってた! とりゃー!」


 ズボッ!


「ギ、ギィーー! ……キ、キ、キ」


 ズズーン!


 ついに大きな音と共に倒れたスリーピー・ウッド。


「やった!」

「やったニャ!」


 そして、残ったのは魔石と丸太。


「ダメニャ! そんなに大っきいの入らないニャ」


「大丈夫! 初めてだからちょっと怖いだけ、すぐ終わるから」


「ムリムリムリムリ」


「先っぽだけだから、ほら!」


「ニャーーッ」


「ほら、全部入ったよ」


「うううう……キズものにされたニャ」


「もう、ゴメンって! ちょっと傷ついただけじゃない。スリーピー・ウッドの丸太、これで全部入ったわね」


 嘆きの森のスリーピー・ホロウとスリーピー・ウッドの討伐依頼を達成した私達は、素材を持ち帰る為にニヤのマジックバッグに入れようと悪戦苦闘していた。


 思った以上にスリーピー・ウッドの丸太が大きかったから。

 でもギリギリで入って良かった。

 これで、ベッドが作れる!!


「スリーピー・ホロウはどうするニャ?」


「ふふふふ……これの叫び声を聞けば三日三晩眠れる。スリーピー・ホロウの呪い! 私にどれだけ効くのか試させて貰うわ!!」


 その夜、スリーピー・ホロウの瓶を手に私は深呼吸をする。


 ふーーっ!


「よし!」


 スリーピー・ホロウを封印した瓶を開封!


「ォォオオオーー!!」


 独特の叫び声が響いて、頭にガツンと睡魔がやってきた――


 ・

 ・

 ・


 三時間後……


「何故目が覚めるの……」


「ォオ」


「あなた、三日三晩眠らせるんじゃ無かったの?」


「ォオ……」


「三日三晩、悪夢を見させて呪い殺すんじゃ無かったの!!」


「ォオオ……ン」


「オオ、オオしか言ってないで何とか言いなさいよ! もっと本気出しなさいよ!」


 思わず剣を抜いて振ってしまう。


「ォオオオオン……」


「あっ! コラ! 勝手に消えるな! 責任とってけ!!」


 カラ……ン


 討伐不可能と言われていたスリーピー・ホロウが、弱っていたところに厳しい追求を受けて浄化され、魔石へと姿を変えた。


 ・

 ・

 ・


「これがスリーピーホロウの魔石……」


 受付のリリアも、スリーピー・ホロウの魔石は初めて見るとあってマジマジと瓶の中の魔石を眺めている。


「お前、また何かやらかしたらしいな」


 奥の部屋から出てきたギルド長も少しお疲れ顔だ。


「何かって、今度は何もやってない! 勝手にスリーピー・ホロウが浄化されちゃっただけよ!!」


「それがやらかしたって言うんだよ!! 大聖堂の聖女にだって浄化出来ないスリーピー・ホロウを説教で浄化したなんて言っても誰も信じねえぞ!?」


「でも、本当なんだもん……」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

『スリーピー・ホロウの叫び声』

 快適睡眠三時間、ただしあかりが説教して浄化してしまった為、一回のみの効果。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ