21
まだ日が昇っていない時間帯誰かに揺すられ目が覚める。
妙さんのようだ。
おやすみなさい。
「お嬢様クレア先生が来てますよ。」
そうだ起きないと怒られる。
妙さんに髪を整えられ服を着替えさせられ玄関に出る。
アリスとクレア先生が待っていた。
「寝坊助。」
アリスが近づいてきて私の頬っぺたを引っ張る。
面白いのかそのまま引っ張られ続けているなかクレア先生の方を見ると時計を見ているようだ。
「遊んでないでいくぞ。」
クレア先生が私とアリス両方の手で抱え車まで行きドアを開け放り込む。
運転席に移動し出発する。
車の中を見回しても準備すると言っていた物が乗っていない。
「荷物は現地で渡されるわよ。」
「そうなの?」
「うん。」
目的地までアリスと話をしていると車が止まった。
どうやらついたようだ。
「降りろ、ここからは飛行機だ。」
クレア先生が親指で後ろを指すと確かに空港があった。
アリスとの会話に集中し過ぎて気が付かなかったようだ。
クレア先生が待機していたであろう黒服に車の鍵を渡し空港に入っていく。
ついていくとロビーで搭乗手続きをしているのだろう受付で話していた。
周りを見回すと日が登り始めたばかりなのに結構人がいる。
その中にチラホラ堅気に見えないマッチョがうろついている。
「護衛じゃない?」
アリスは普通の事だと態度を変えず過ごしている。
もしかしてアリスもというかクレア先生もいいとこのお嬢様なのではと疑問に思っていると。
「乗るよ。」
手続きが済んだようで二人ともクレア先生に手を引かれ搭乗する。
飛行機の中でアリスと将棋やチェス、オセロをして遊んで過ごした。
訓練が開始されたら遊んでいられるかわからないからね。
1時間ほど遊び朝も早かった事から眠気が襲ってくる。
アリスも同様のようで毛布を添乗員さんに貰い少し寝ることにした。
眠り過ぎた時の気だるさを感じ目を擦りながらゆっくり覚醒していく。
「あら、起きたのね。寝過ぎよ小冬音。」
「ふぁい。今何時?」
「今は朝の8時よ。」
時間を聞けば1時間ほどしか経っていないようだ。
飛行機の中ではなく車の中のようでクレア先生が運んでくれたのだろう。
車の外が気になり外の風景を見ようとしたが窓にスモークが貼られておりよく見えない。
見ようと身を乗り出そうとすると。
「小冬音、ジュース飲む。」
アリスがジュース片手に差し出してくる。
受け取るとかなり冷えておりさっき買ったものかとアリスにお礼を言う。
「ありがとうアリス。」
アリスの方を見ると冷蔵庫からもう一本出していた。
冷蔵庫?と疑問に思い改めて車内を見回す。
高級そうなソファにテレビとスピーカー、小型のテレビも複数ついている。
私は奥の方で眠らされていたみたいで左手の方にいるアリスと話していて気がついていなかったが右を向けば長い車内が目に入る。
右左とアリスの顔と車内を交互に見ているとアリスが笑い出す。
「分家とは言え日本の旧財閥の親族なのに初めて乗ったの?」
旧財閥親族と言っても1年目の初心者です。
私の行動が余程可笑しかったのかアリスは笑い続ける。
私はそんなアリスに静かに近づき脇腹を掴む。
両指を上下に細かく動かす。
「や・・・やめて。ゆるしてぇ。」
アリスの顔が美少女がしてはいけない顔になってきた所で離す。
「許してあげます。それでどこに向かってるの?」
「何処にって私の家よ。そこで一泊してから合宿みたい。あ、見えてきた私のお家。」
アリスは嬉しそうに言い車が止まるとドアを開け駆け出す。
アリスも子供だな・・・私と違って。
私もアリスに続き車を降りる。
「やっぱりリムジンか。」
車を降りて車の外観が見える。
私がというより誰が見ても内装の形状的に真っ先に気がつくだろう。
私は車に近づき運転席を覗き込む。
運転手の頭の部分が見えたが短髪でクレア先生ではないようだ。
「何してるの?ママが運転してると思った?この形の車は特殊だから運転手は専属の人だよ。」
クレア先生でも無理なのか。
「そういえばクレア先生は?」
「ママは明日の準備があるって他の所に行ったよ。それよりお家に入ろ。」
アリスに手を引かれ家を目指すが。
アリスの家・・・大きい。
この家だけが大きいのでは無く周りの家も大きい。
そして道路を行き交っている車は右側を走り大きい車が多い。
「ねぇ、アリスのお家って・・・。」
「アメリカのお家だよ。」
お互い見つめ合い無言になる。
反応しない私に痺れを切らしアリスが動かない私の背中を押して家をを目指す。
押されている間もパスポートを発行した記憶がない。
もしかしてアメリカに出荷された?
いろいろな事を考えていると玄関に着いたようだ。
「長旅で疲れただろ。おやつも用意してあるからくつろぐと良い。」
誰?
急に声をかけらた事で再起動した私が声を発した人物を見る。
白髪だが肉体に衰えがないのが服の上からわかるほどに筋肉があるが優しそうなおじいさんであった。
「Grandpa!」
アリスがおじいさんに抱きついていく。
えーっとグランパって・・・ああ、おじいちゃんか。
アリスは何か早口の英語で楽しそうに話している。
やめてくれアリス、私にはまだそのレベルの英語は無理なんだ。
げっそりしていると。
「ああ、ごめんおじいちゃんに小冬音の紹介してたの。」
それくらいは雰囲気でわかる。
言葉が理解できていないだけで。
「小さな美人さん、改めて自己紹介をさせてもらうね。クレアの父でアリスの祖父のアーロンだ。」
大きいゴツゴツした手と握手をする。
「孫の友達になってくれてありがとう。」
アリスに聞こえないように呟いた表情は孫を思う慈愛に溢れていた。
「何してるのおやつ食べたらプールよ。おじいちゃんも早く。」
「やれやれ、小冬音君も行こうか。」
待ちきれないアリスが私の手を取り家の中に入っていく。
アリスの子供らしい一面に癒されながら大きいおやつを一緒に頬張っていく姿をおじいさんに見られ優しそうに見つめられた時は少し恥ずかしかったが明日からの事を考えなければ幸せだ。




