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Vの者!~挨拶はこんばん山月!~  作者: サニキ リオ
超番外編 ~推しのVたれ!~
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【ヴィラン】対極の存在

 飛乱さんの部屋を訪れると、そこには荷物をまとめた飛乱さんの姿があった。


「乃尋さん?」


 私が来ることを予想していなかったのか、彼女は驚いた顔をする。

 それでも、すぐに気を取り直していつも通りの表情で言った。


「もうすぐ消える人間に会っても何も得るものはありませんよ」

「私はただ友達に会いに来ただけだよ」

「友達、ですか」


 オウム返しに呟いた後、飛乱さんは自嘲気味に笑う。

 それから窓の外を眺めながらゆっくりと口を開いた。


「……私にはそんな言葉をかけてもらう資格はありません」


 バーチャル学園に入学してからの短い間だけど、私達は確かに友達になれたと思う。

 しかし、飛乱さんは声を震わせると暗い声で続けた。


「おかしいと思わなかったんですか? 最新機種のパソコンにウィルスソフトもインストールされているパソコンがこんなに早く壊れるなんてあり得ない。原因があるとしたらUSBメモリ経由のウィルス感染くらいだと」

「まさか」


 考えないようにしていた可能性。あり得ないと切り捨てた仮説。


「乃尋さんのパソコンを壊したのは私です」


 それを今、飛乱さんはハッキリと肯定した。


「どうして……」

「乃尋さんは燐林さんと絡んだことで初配信前なのに、登録者数が安全圏に入りました」


 歯を食い縛ると飛乱さんは目を伏せて続ける。


「パソコンが壊れても何とか友達の力を借りて配信する。そのストーリー性にリスナーは食いつくと思ったんです」

「てぇてぇ営業……」

「ええ、お二人に乗っかる形なら私みたいな才能のない人間も生き残れると思ったんです。結局、生き残れはしましたが、自分の実力がない人間はどんなに周りに寄生しても寄生虫でしかないことを思い知りましたけど」


 飛乱さんは私のことを気にかけてくれた。ダンスだってみんなより出来ていたし、私は飛乱さんに何度も救われていた。


「元々、乃尋さんに声をかけたのも、自分よりも何も出来なさそうな人を見て安心したかったからなんです。でも、あなたは実力のある人間だった」


 でも、飛乱さんは私のことを友達だなんて思ってもいなかったのだ。

 マウントを取るための選んだちょうどいい凡人。そいつが急に自分を置いて人気者になってしまった。彼女の感じた劣等感はいかほどだっただろうか。


「私の夢もこれで終わりです。生き延びてしまったからこそ自分の手で終わらせるんです」

「待って、飛乱さ――」

「だから、乃尋さん。あなたは心置きなく自分を嵌めた最低の人間が敗れ去ることを喜んでください」


 まるで私と決別するように。あるいは、自分自身を責めるように。


「さようなら、もう会うこともないでしょう」


 その口調は冷たく突き放すようなものだったが、どこか寂しそうな響きを帯びていた。

 結局、その言葉を最後に私は部屋を閉め出されたのだった。


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