表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/48

26

 がたんごとん、と列車の走る音がした。

「孤独な戦いに勝利はありません。いつしか私は疲れ果て、その戦いに敗れるときがきました。そのときになると、いつの間にか、彼は私のそばからいなくなっていました。私の元に残っていたのは、まだ小さなあの子一人だけでした。あの子は私の宝物でした。私のすべてと言ってもいい存在でした。私の、……最後の希望でした。だから……、あの『悪魔たち』によって、あの子が私の元から連れ去られてしまったときになって……、ついに私の頭は壊れてしまいました。私は完全に人間ではなくなってしまったのです。私は私ではなくなってしまいました。私は遠いところに連れて行かれてしまいました。私はあの子に二度と会えなくなってしまいました。私はなにもかもを失ってしまいました。……だから私は考えることをやめました。そうして私はある一つの誰にも認知されることのない『透明な現象と呼ばれる存在』になったのです」


 天井の明かりがちかちかと点滅した。

 睡蓮さんはそこで口を閉じてお話をやめた。

 そして少し間をおいてから、「私の昔話はこれで終わりです」と笑いながら睡蓮さんは言った。昔話を終えたあと、睡蓮さんは言葉を話さなくなった。だから小唄も睡蓮さんと同じように言葉を話そうとはしなかった。言葉を話さないで、睡蓮さんの話の内容を頭の中で反芻していた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ