それから
とりあえず役目は終えたし、城からは出ようかな。
……そう思った時期もありました。
結論からいうと、いまだにあたしたちは創国の城に留まってる。
菫さんと木蓮ちゃんにお願いされちゃことわれないね。
それと、あたしにやることもできちゃって、今は城と神殿を行き来しつつ、ときどき町で息抜き、ってかマリーとトキワの結婚式の衣装の作成中。
服飾関係の人たちが、大いに乗り気になっちゃって、楽しんでやってる。
あ、あと約束もはたさないとな。
「紫黒、いる?」
場所は木蓮ちゃんの部屋。
(何かあったのか?)
そこには紫黒と木蓮ちゃん、それにマリーとリリスがいた。
どうやらリリスをみんなで可愛がってたよう。
「前に約束した、魔力封じの魔道具ができたからもってきた」
(できたのか⁉)
うん、ちっこいのに文字刻むのが手間だったから、今になっちゃったけどね。常に身に付けてる必要がある以上、ピアスにすんのがいいと思ったんだよね。
「これがそう。ピアスだけど大丈夫だよね?」
(ああ、問題ない)
もともと小さなピアスはつけてたからね。……いざってときの金策用らしいんだけど。
紫黒はすぐにピアスをつけると、魔道具として起動した。
……よし。問題なく起動してる。
「一応確認は庭でする?」
(その方がいいだろう)
ということで、王城の庭にしゅっぱつ。
マリーはおねむなリリスをつれて部屋に戻ったけど。
庭での実験。
その場にはあたしたちと長さんのほかに、王族の方々みんなあつまってたり。
「やっぱり気になる」
「当然です。ようやく普通に暮らせるようになるかも知れないのですよ⁉」
家族にとっちゃ、重要なことだな。
「それじゃ、どうぞ」
あたしは話すようにうながす。
といっても、何て言ったらいいか悩んでるみたいだけど。
まつこと暫し。
「……木蓮」
最初は妹さんですか。
なにごとも起こらないとわかると、紫黒は次々に家族を呼んでいった。
「……大丈夫そうだね」
「うむ。感謝するぞキキョウ様」
「やったね、キキョウ」
真竜たちと見守っていると、紫黒がこっちにきた。
「……桔梗、ありがとう」
「どういたしまして」
にっこりと笑うと、なんか意味深な表情になったような?
「これで、家族も安心できるだろうし、城から出ることもできる」
へ、城からでるって?
「しょっちゅう出掛けてなかった?」
けっこうあたしと出掛けてたような……。
「父上、私が王族から外れることは問題ありませんよね」
断定。王家から外れるって……?
「……しかたあるまい。これからはキキョウ様とともにいくつもりなのだろう。ならば止めることもできまい」
え、あたしとって?
「桔梗さま。ふつつかな息子ですけどよろしくお願い致しますね」
これって決定事項?
「ときどき遊びにも来てくださいね。待ってますから」
えーっと。
周りを見るとみんなにこにこしてるし……。
はあ、あきらめます。
どうやら紫黒とは長い付き合いになりそうだなー。
っとそうしている間に時間だ。
「そろそろ神殿にいかないとなんないから、あたしはこれで」
「もうそんな時間か。今日は悪いけど……」
「ん。家族との団らんを楽しんどいて。……あたしは苦労してくるから……」
はあ、やっかいだけどしかたない。
「桔梗さま、美味しいものを用意させておきますから、がんばってください」
「はーい。いってきまーす」
そして神殿にむかう。
……神様の代理をこなすために、神官修行が必要だなんて、聞いてなかったんだけどな……。
次回、本編ラスト。




