お久しぶりの神様とのお茶会
「これでよかったかな?」
創国の神殿から、神様たちの空間へ飛んでのお茶会。
いやー。ほんとに久しぶりだな。
スマホではちょくちょく話してたから、わざわざここに来る必要性をあんまし感じなかったからな。
「……そうだね。たぶん、これが最良だったと思う。ありがとう、キキョウ」
ほかの神様たちもわずかな微笑みを浮かべている。
やっぱり、リリスって特別だったのかな?
「……訊いていい? リリスってどういう存在だったの?」
けっこう曖昧な質問かもしんないけど、ほかに言い方も思い付かない。
「そうね。キキョウちゃんには知る権利があるものね」
「妾もそう思う。むしろ知っておいてもらったほうがよいじゃろ。これからあの子が人として生きていく以上はの」
「うむ」
「そうだな」
ほう、とひとつため息をついて、ダイヤモンド様があたしの方を向く。
「……あのこはこの世界の創成に関わった、いわば本来神となるはずだった存在なんだ」
「もともと、あの子は魔族の長の子として生まれた。魔族に性別はないから、生まれたというよりも自らの分身を産み出したといったほうが正しいのかな。そして、長より強い力をもっていたため、あの子自身がすぐに長となった。
我々が新たな世界を創造することにしたのはその頃だった。異形と呼ばれ、悪魔と排斥されるものたちをあつめ、新たなる世界にうつる。そのために魔族にも協力を要請した。
あの子も人間たちに危機感をもっていたようで、すぐに協力を受け入れてくれた。……なにしろ、人間たちから見て、魔族はまさに悪魔そのものだったから。魔力の扱いに長けた魔族の力をかりて、新たなる世界の創造をなし、移住した。
そして我々は神となり、あの子もまた神となるはずだった。
……だが、魔族たちはその時に暴走を始めてしまった。
人々の負の感情。もとの世界で容易く産み出されていたそれが、こちらの世界では難しくなった。そもそも争うことを望まず、移ってきたものたちだったから。……そして魔族は争いを起こした。自らの望む負の感情を得るために。
あの子は長としてそれを止めよとした。だけど、その言葉を聴くものはいなかった。
……たしかに望む形の負の感情といったものはなかったかもしれないけど、生き物が存在する以上、生きていくのに必要な位は存在していたから。それでもそれ以上のものを望み、他者を害するものたちの存在を、赦すことはできなかった。
そして、魔族は滅びた。あの子を残して。
我々はあの子を滅ぼすことなどできなかった。
ともに、この世界を創造した仲間であったから。
あの子の一族が世界に争いを持ち込んだことで、あの子自身を神とすることも、共に在ることも許されなかった。
我々にできることは、ただ見守ることだけだった。
そして、キキョウ、君が来てくれた。
しがらみを何も持たないからこそ、君はあの子を救ってくれた。
本当に、感謝している。
だから、我らは君が望むなら、すべてを叶えることを約束するよ」
……んー。そんなこと約束されてもな。
「あたしはあたしのやりたいことやっただけだから。そーゆー約束されても困る。あたしの願いを叶えるってのなら、ときどきこうしてお茶会に誘ってくれるだけでいいよ。……できれば、もとの世界の料理のレシピとかはほしいかもしんないけど……」
はっはっは。つい食い気に走っちゃったよ。
よそむいて笑うあたしに、みんな一瞬ぽかんとしたあと、一斉に笑いだした。
「わかった。それくらいの事なら問題ないから。料理の本を何冊か取り寄せておくよ。次のお茶会の時にでも渡そう」
「うん。楽しみにしてる」
それから、みんなで他愛のない話をしてから帰った。
神様たちの憂いも解決したようだし、これからウェディングケーキと、ドレスの準備にはいっちゃおうっかな。




