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不穏なうわさ

浮かれて町を歩いてても、聴こえてくるものってある。

誰と誰が喧嘩した、別れた、などなど。

ちょっとしたうわさでも、元となる基盤みたいなものはある。

聴こえてきてたうわさ話、これらは些細な出来事ばかり。

それでも、町中で囁かれたなら、なにか理由があるはず。

ましてや、そのすべてが人と人との関わりあいが途切れたという状況を示すようなものならば。


「わたしたちもきいたわ。最近だとカップルが両方浮気して別れたとか、喧嘩したとか」

「おれたちもすぐに別れることにならないように、とか忠告されたしな」

見た感じ仲がいいカップル相手にそういうこと言ってると。

「僕たちも似たようなこと言われたよ」

「……この手の顔のいい相手と付き合うと、騙されて捨てられるよ、と言われました」

「ないね」

「ないわね」

「ないな」

思わずみんなで突っ込んじゃったよ。

「そもそも、マリーもコスモスちゃんも自分の加護で浮気したとか、心変わりしたとかって分かるよね」

「もちろん」

「わかります」

このふたりの加護って、ようはどんな人間かを見分ける、聞き分ける能力で、つまり感情の変化なんかも感じ取れるってことだからね。

それに。

「他に気になる相手ができたら、ふたりとも先にはっきりと言うだろうし」

能力の有無関係なく、相手をなるべく傷つけないようにするのは、ここにいるメンバーのデフォだったりするし。

だけど。

「ここで何が起こってんだろうね」

(とにかく、それが判明しないと動きづらい)

「だね」

これも魔族の策略とかなんかね。

人々の間に不和を撒くっていう。

んー。なんて言うんだろね。これって。

不和の種を撒くなら、兵や貴族に撒きそうなものだけどね。

争うつもりならなおさら、自分に向かって来たとき、息が合わないように画策するのはありだろうけど。

はて?

「とにかく今は情報を集めることだね。そうしないと、なにも判断つかない」

そうなんだけど……。

「なんか、これって食事してるだけ、とか言わないよね?」

「あ!」

そう。魔族は人の負の感情を味わう。そのために不穏なうわさ撒くとかありそうだけど。

「まあ、それでも内容が甘い気はするけど」

喧嘩別れはあっても、相手を刺したとか、憎んでるとか、そんなのはないしね。

「……ほんとに、これが魔族のせいなら、いったい何をしたいんでしょうね……」

これからそれを調べないとね。

この町で魔族が何をしてるのかを。

……目の前の探査の魔道具には、確かにその存在を示す光点があった。

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