旅の話
今まで黙っていてくれたみんなにちょっと尋ねる。
「それで、あたしたちが来るまでは、どんな話してたの?」
「ああ、今までの旅の話だな」
「キキョウちゃんと会ってから、ここに来るまでにあったこと」
「……彼のことも、話しておいたよ」
「大変、だったんですね……」
大変だったのは、あたしよりも火の国のひとたちだけどね。あたしはこの世界ではあんまり関わんなかったし。
「まあ、そっちは片付いてるしね。大変だったのは火の国と、……マリーだし」
妹さんのことがあったからね。
……そのふたりが不幸な結果を迎えたって神様には教えてもらってる。トキワにだけは話した。マリーには聞きたいなら話すっていってある。……どんな答えでも、マリーにとってはつらいことなのか、聞く気は今のとこないみたいだけど。
「……わたしは大丈夫、よ」
そっと微笑むマリーに、あたしはなにも言えなくなっちゃったけど。
「ま、暗い話はそこまでだ。それよりも、キキョウがいろいろやらかした話の方に移るぞ」
はい!? やらかしたって何!?
「そうね。まず、一番大きいのは、糖とか、クリームとか、甘いものをいっぱい作ったことかしら?」
「いや、魔道具の新しい方式を作ったことの方が大きい!」
「おれとしては、服飾とか大勢の意識を改善したことだと思うが?」
「……こうして聞くと、いろいろなことをしてたんですね」
(それも、一年もたたないうちに、だな。)
「すごいです! キキョウ様、すごすぎます!」
おや、木蓮ちゃんの声、初めて聴いたよ。かわいらしいねー。
あ、そうだ。
「そういえば、紫黒にたのまれて、ふたりにあみぐるみ作ったんだった。よければもらってくれるかな?」
と、白と黒の真竜のあみぐるみを取り出す。
うれしそうに手を伸ばす木蓮ちゃん。
それをみて、何やらうずうずしている真竜コンビ。
おい?
「……マリー、部屋の隅にでも、お願い」
「わかったわー」
苦笑しながら部屋の隅に人形の山を出す。
真竜ふたりとも、大喜びで飛んでったよ。
「あの……」
「……気にしないで。あのふたり、人形に埋もれるのが好きみたいで……」
「わたしもうもれてみていいですか?」
うずうずし始めた木蓮ちゃん。腕にはしっかりとあみぐるみ二個抱いてるし。
「えっと?」
「……しかたありませんね。ちょっとだけですよ?」
「はーい」
菫さんの許可を得て、木蓮ちゃんも人形の海にダイブ。
やれやれ。
なんとなく埋もれまくっている3人を見てほっこりしてました。
「とりあえず私たちはどこに泊まればいいのですか?」
話がひと段落ついたところで、コスモスちゃんが言った。
そういえば、それ聞いてなかったな。
「城に部屋を準備させています。部屋割りなどは、お好きにしていただければ」
「ありがとうございます」
いろいろとこれから大変になるし、まず今日一日はゆっくりと英気をやしなおう。
ちなみに、全員一人部屋です。結構広い。さすがお城だな。




