その後の行方
「何者か、セイランをそそのかした者がいるようです」
報告という名のお茶会に呼ばれて、フリージアさんが言った。
ちなみに参加者は、あたし、紫黒、黒羽、長さん。
他のみんなは……王族とのお茶は肩がこるからいやだとさ。あたしは人身御供かね……当事者だから仕方ないけど。
「そそのかした、とは?」
「宰相が屋敷の者に確認したそうなのですが、しばらく滞在し、その間セイランと親しくしていた者がいるそうなのです。ところが、キキョウ様がさらわれる数日前から、行方が分からなくなっていたと」
なにもんだよ、そいつ。
「ふーん。そいつについての特徴は?」
「誰も覚えていないそうなのです。はっきりしていることは、男性であるということと、魔術師であるということ、それだけなのです」
これは……。
「後で神様たちに確認してみる。状況によっては手を借りるかもしれない」
「構いません。そのものは私のかわいい甥に手を出したのですから」
だね。あたしもそうだけど、フリージアさんもおなじ。身内に手を出すものは許さない!
顔を見合わせて黒い笑みを浮かべるあたしたちに、我関せずとばかりにお茶を飲む紫黒と、おかしに夢中の真竜コンビだった。
「長さん、おかし好きなんだ?」
何となく聞いてみると、
「うむ。この甘いのはいままでになかった味わいだからな。ついつい食が進む」
「おいしーよ」
楽しそうだな。そんなとこ悪いけど、聞きたいことあんだよね。
「長さん。その魔術師ってのに心当たりは?」
「ふむ。おそらくは魔族の生き残りであろう」
「魔族?」
「うむ。昔神々が滅ぼした種族でな。特性として他者の負の感情を喰らうのだ。問題はそのために他者を傷つけるのを厭わないところにある。普段の生活の場で出るていどの負の感情でも充分なところを、より大きい、彼らにとって味わい深い感情を持たせるためにさまざまな事件をおこしてな。それでも最初は救おうとしたのだが心を改めなかったために、滅ぼすことしか出来なかったそうだ。ただ、生き残りがいるらしいとも聞いている。その生き残りもなにもしなければ、そのまま放置の予定だったが……」
「動き出したってことだね」
「うむ。ただ、彼らは性別を持たず、姿を自由に変えることが出来る。その点に注意が必要だろう」
おう。そうすっと、見た目での判別は不可能か。
うーん、そうすると……。
(何が思い付いたのか?)
「……まあ、試しに魔道具何種類か作ってみるかな」
「いくつも作れるほど、手段を思い付いたのですか?」
「いや、ちょっと考えてみても、気配とか、魔力の種類とか、そもそも種族を見分けるとか、思い付くよね」
「……」
あれ、フリージアさんびっくりするしちゃってるけど、そんなにおかしなこと言った?
(ここ世界の人は、あまりそういうことを考えた事はなかっただろうから。あっさりとそういう風に思い付く桔梗に、尊敬の念をもって、みんな心酔していくんだろう)
紫黒、心酔って。そんなつもりはないんだけど……。
(いままでがいろいろと閉鎖されてたところがあるから、これで丁度いいとも思う)
そうですか。
……ま、まあ、いまはそのことは置いといて、まずは真犯人さがしだな。




