あれ、王様きちゃった
紫黒はそのままあたしの縄を解いてくれた。
ここまで縛られて連れてこられたことと、こいつのセリフで状況証拠は十分、てことらしい。
トキワ、シオンも一緒にあたしを守る位置に立つ。
王様の部下は、少し離れたところから状況確認中、かな。
「な、何をしている!?」
まあそうなるね。
「……キキョウは大事な妹だ。守るのは当然だろう」
「僕たちもあなたたちのおかげで、毒の影響をうけましたからね」
(大事にされてるね)
ほほえましそうに見てる人物一人。
うん。ほんとに大事にされてる自覚はあるよ。
同じくらいあたしも大事だもんね。
「な、な、な……」
変装を解いた3人に、呆然とするしかないセイラン。
とくに、紫黒の容姿にくぎ付け?
(私のことについては、各国の王家の直系なら知っていてもおかしくはないからな)
その容姿のことで、表に出たことなくても、話くらいは聞いていたってことか。
「で、他国の王族があんたのしたことに対する証人、ってなってるけど、どうするつもりかな?」
潔く、罪を認めるか、開き直るか……。
「……さい」
お。
「うるさいうるさいうるさい! お前たちに何がわかる! 私は王族なのだぞ! 王位を目指して何が悪い! なぜ男だからと王にはなれないんだ!」
まあ、これについては気持ちがわからなくはない、かな。
ただ、理由についてきっちりと勉強してなかったのかって、疑問に思うけどね。
ここらへんに詳しいシオンと紫黒があきれてるよ。
「男だから王になれないわけじゃないよ。王にふさわしくないから王になれないだけ。シルフっていう種族の特徴かな。男が上に立つと、なぜか暴走するらしいんだよね。いまのあんたみたいに。国をダメにしかねない。だから王は女性、政治は宰相がやってて男性、そういうすみわけにしたらしいよ」
種族特性、てのはどうしようもないらしい。血筋に何か問題が出てしまうってことは、まあ普通でもないことではないし。
「そのことは、幼いころより学んでいたはずです。各王族は、自身の一族について把握していなければなりません。それをあなたは……」
って、おい!?
フリージアさん何してんの?
たしかにここは王族の屋敷だけど、王様来ちゃっていいの?
一応犯罪があったばっかなんだけど。
「だからこそ、私が来たのです。この子について私にも責任があるでしょうから」
あー責任感ありすぎかも。後ろの宰相さん、悲痛な表情になっちゃってるし。
「はあ。まあいいけどね。毒まき以外はあたししか被害にあってないから、そっちは構わないよ。だけど、毒に関しての罪は償ってもらうし、今後についても、報告はほしいけどね」
あたしがやることはもう終わりかね。いいけど。
「祭りまではここにいるから、連絡は待ってるよ」
「はい。ありがとうございます」
フリージアさん来たことで、自失していたセイランは連れて行かれた。
この屋敷に勤めていた人とかは、宰相さんが責任持つといってた。
これで終わりなのかな、と思わなくもないけど、なんかあっさりしすぎているような気もするな。
終わりならいいんだけど。




