閑話 さて、食べ歩きに出発
王さま会えんの2日後かー。
時間、できちゃったな。
(桔梗、ちょっといいかい?)
おや、紫黒だ。
(なに?)
(時間が空いたからな、町を歩いてみたいんだ。付き合ってもらえないか?)
あー、そういうこと。他の4人はみんなデートだしね。
(了解。あたしもヒマだしね)
(では、神殿の入り口で待ってる)
(おー)
ま、たいした準備もないし、さっさといこっか。
「おまたせ」
(早かったな。女性の仕度は時間が掛かるものと思ったけど)
「……あたしにそんな必要あると思う?」
(愚問だったか)
「そ」
そもそもあたしが着飾ってどーする、だよね。見せる相手もいないし。
(そういえば、先程マリーが私の部屋に人形をたくさん置いてったが? ……その人形に彼が埋まっていたりしたんだが)
長さん、あみぐるみにうまったんだ。
「なんか黒羽がよく埋まってるからかな? ……マリーとふたりで」
埋まるの、好きみたいなんだよね。
(そうか……)
そうなんだ。
「それでだね。出掛けるっていったら、紫黒の部屋で長といるってなったの」
(ああ。私が部屋を出るときに、入って来てたな)
うーん。気持ちいいのかなぁ。
「とりあえずは、お昼食べよっか」
神殿出たのお昼前だし。
(……今日は桔梗に任せる。こういうところでどう選べばいいか判らない)
そうか。
「食べたいものとかある?」
(珍しいもの、かな)
珍しいか。お、丁度いいかも。
「じゃ、あの店で」
ふたりで店にはいる。そのメニューには、ハンバーグステーキセットが!
「これふたつ。お願いします」
「あら、知ってるんですか?」
「知ってます」
「?」
紫黒が首かしげてるけど、実物見るまでおたのしみってね。
「どうぞ」
目の前にはハンバーグステーキ、パン、サラダ、スープといった、どっかで見たようなメニュー。
(これは?)
「まずは食べてみてから」
あたしはナイフをハンバーグに入れる。
おー、肉の配分とかよく出来てておいしーわ。
(初めて食べるが、なかなかだな)
「でしょ」
……それにしても。
「やっぱり所作とか、綺麗だわ」
(そうか? 桔梗もなかなか良いと思うが)
「ありがと。だけどあたしのは幼い頃に覚えたものだからね」
体が覚えてる感じでも、本人としてはうろ覚えもいいとこ。
(それだけ出来てれば、王宮でも問題ない)
そうですか。
食べ終われば(料金は割勘です)、また町を散策。
お、あれは。
「新しい色の毛糸でたんだ」
うん。そのうち買わないと。
(買っていくか?)
「今日はいい。落ち着いたあとにゆっくりと選ぶ」
(そうか。そういえば、あの人形の山も桔梗が作ったのか?)
「趣味でね。マリーが大喜びだったりするもんだから、ついどんどん作っちゃうんだ」
(良ければ、私の妹にも作ってやってもらえないか)
「いいよモチーフは何がいい?」
(真竜でいいと思う)
「了解。では、長くらいでっかいのを……」
(おい⁉)
「というのは冗談で。ちびっこい黒羽でいいかな」
(……そうしてくれ……)
はっはっは。そのうち大きいのも作るけどね。っといっても1メートルくらいの。大きすぎるとちょい危険だろし。
お、あれは。
「あそこ行こっか」
(あれは?)
「スイーツの店」
甘いものー。甘いものー。
で、あたしはクリームたっぷりのケーキ。紫黒はいつの間にか作られてたチーズケーキでした。
「甘いの苦手?」
(……甘いものというより、クリームが少々苦手でね。多少ならいいんだが)
クリームたっぷりの目の前のケーキみて、
「これが美味しいのに」
おもわずつぶやいた。
(いや、無理だ)
まあ好みということで。
食べ終わったあと、町を歩いてみたけど。
「けっこう治安とかいいみたいだね」
(今の王は堅実だからな)
きちんと国のことを考えて治めている。これは重要だな。
「……明日、か」
まずは話してみないと。
(何事もなければいいが)
頷いて神殿を見上げた。さっさと厄介事はおわらせないとね。
色気より食い気。
今は政治の方に意識がいってるふたりです。
はたからみたら、こっちもデートなんですけどね。




